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「生理休暇は甘えじゃない!」労務担当者と働く女性たちの本音トークしてみた


 生理休暇とは、労働基準法第68条で「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定されています。しかし、生理休暇の有給・無給に関しては会社で一任されており有給としている会社はまだまだ少ないです。


F休って何?

労働環境の整備と健康支援目的に生まれた、生理日の就業が困難な女性が取得できる制度です。取得理由の言いづらさや、取得しづらさを排除するためにFemaleの頭文字を取って「F休」としています

アイジーコンサルティングでは、社員の声を集めるプロジェクトの提言から、有給とは別に特別休暇として「F休」の制度化が決まりました。

今回は、F休が導入されてから1年以上が経ち現場の声をお届けするべく、女性社員にインタビューしました!

F休の導入ついて詳しくは、弊社の特設サイト『for long 365+1』の下記リンクからご覧ください!



*個人特定を防ぐために、この記事に出てくる方はフィクションです。ご了承下さい。

プロフィール

かのんさん:事務職として勤める。内勤での業務が主。中堅社員。

さあやさん:営業職として勤める。外回りの業務が主。中堅社員。

あんなさん:事務職として勤める。内勤、外勤あり。ベテラン社員。

れいなさん:労務担当者。社員の相談窓口担当もしている。


症状によるパフォーマンスの低下


ーーーみなさんは、生理の辛さやその辛さで仕事中に困ることはありますか?

かのんさん:腹痛がひどく、立ってるのも座ってるのも辛いので仕事中もじっと座っていられないくらいきついですね。でも、痛みは結構あるんですけど起き上がれないほどではないから、薬を飲んで会社に来ることが多いです。

さあやさん:分かります!私も薬を飲めば違和感はありますけど動けるので休まず会社に来てますね。症状が重たい月とあまり重たくない月があり差があるので自分でもいつ来るのか分からずコントロールできないのが辛いです。

ーーー外勤だと症状が重たい時は結構辛くはないですか?

さあやさん:そうですね。辛いし、長時間トイレに行けないかもしれないっていう心配はありますね。商談が長引いたときは特に、腹痛よりも『トイレに行けないから、経血が漏れていないかな』という不安がいつも大きいです。

ーーーそうですよね。私も出血量が多いので心配になります。私は症状が酷く、動けなかったり起き上がれない時もあります。そのような出社・業務が困難な場合はF休を取ってますね。



職場の理解とF休への安心感


♯上司との相談風景


ーーー症状は人それぞれであって、生理痛が酷いと最高のパフォーマンスが発揮できないですね。生理痛が酷いことを男性上司に言えますか?職場の理解はあると感じますか?

かのんさん:店長には、軽く説明はしていますけど相談しづらい内容があったりするので、そういった内容は労務担当者(F休等の働き方に関する社内の相談窓口担当者)に相談をしていますね。担当者が女性なのでとても相談しやすいですし、相談ができる体制があるのはとても助かります。

さあやさん:私は、上司には相談していないですね。言えば理解してもらえる職場だとは思いますが、私自身がそもそも人に話すようなことではないと思っているので女性社員だとしても相談はしないですね。

ーーー私は、職場の人にはオープンに話していますね。店長も店舗のメンバーも理解をしてくださっているので体調が悪い時は「女性の日です」と伝えていますね!F休がなかった期間が長かったとは思いますが、F休が導入されてからあんなさんはいかがですか?

あんなさん:私は、もともと症状が酷くて数年前に婦人科系の病気の手術をしており、いまはだいぶ症状が落ち着いていますがまだ重い時があります。手術となると休暇をいただく必要があり男性上司に相談が必要だったのですが、やはり言いづらかったですね。また、「無理せず休んでね」と過剰に心配されてしまって。男性上司も、どう接すればよいか戸惑っていたのだと思います。気遣いはありがたいですが、難しいですよね。社内でF休制度ができる前だったので今みたいに社内全体で理解も進んでいなかったと思いますし。

業務に支障をきたしてはいけませんが、私もさあやさんと同じく周囲に迷惑をかけられないので休むという感覚がなく、本当に限界がくるまでは仕事を優先してしまいがちです。
F休制度ができたことで、社内での理解が進みました。生理は個人差があるので、同じ女性でもF休取得に対して理解できない人もいるとは思いますが、私は、F休を取得する人に対しては何も思わないですね。休む分、皆さんちゃんと仕事を調整してやると思いますので。

ーーー確かに、同じ女性でも制度が変わると意見は分かれますよね。だからこそ相談しやすいF休の担当者っていう存在は必要不可決ですね。

あんなさん:やっぱり男性にF休について言うのは、結構勇気がいることなので限界が来るまで言えないですけど、女性上司だったら言えるのかなとも思いますね。

労務担当者:私としても、女性っていうのが大きいのかもしれないと感じています。私の立場が男性だったら相談件数も違っていたと思います。社員の健康診断結果の把握を全部労務担当者の私がしていて、事情を抱えてる人の状況を把握してるからこそ相談相手もしやすく、気にもかけておいてあげれるのがありますね。

結果として、会社的に制度として整えてくれてあるっていうのがいいなと思ってます。

あんなさん:そうですね。それに、F休が導入されたことで周りのみんなと「実は私結構重くてさ」とか「実は、辛くても休みづらかった」など自分の考えを共有する一つのきっかけになったと思います。休みづらいと感じてるベテラン社員に若手から「休みなよ!」「使えばいいよ!」って言いやすくなりましたね!使うかは別として制度があることへの安心感はあると思います。

ーーーなるほど。安心感は確かにありますね。あと名前が呼びやすいですね。生理休暇だと言葉がダイレクトで抵抗ある人もいますから。担当者としても、社員の安心感に繋がっていると感じますか?

労務担当者:安心感はあると思いますよ。生理休暇って無給か有給かは会社判断で選定できるんですよ。もともとアイジーは無給扱いだったんですよ。それが制度化されて、特別休暇扱いになってからは今まで有給消化していたり、休むのを我慢してきた人たちに対しては非常に助けになってますね。

ただ、女性が多いところではやっぱり意見が分かれていて「今までF休なくてもやってこれたんだからわざわざ使う必要性ある?」みたいな声があったりしていろんな意見はありますね。


F休は実際に活用されているのか?社内の浸透度合いは?



ーーー考え方は人それぞれですね!続いて、先ほど少し触れましたが改めて休暇を取ることに対して抵抗はありますか?

かのんさん:抵抗はないです。初めて相談するときは、すごいどうしようかなって迷ってたんですけど、一度相談してからは抵抗なく休みも取ってるし、報告もしてるので大丈夫ですね。

さあやさん:私は、やっぱり正直抵抗があります。自分自身の問題ですけど、さっき言われたように今まで取らなくてもやってこれましたし。過去に有給を使っていた実績があれば言いやすいのかなとは思うんですけど。みんなが何も思わないのは分かってるけど「今まで有給使ってなかったのに、F休ができたから休み始めた」と思われるのが嫌という気持ちの方が強いですね。

商談やミーティングがあってそのスケジュールを飛ばしてまで休まなくても、薬を飲めばなんとかなるので取りづらいというか取らないですね。

ーーー私も、かのんさんと一緒でF休を取ることに抵抗が無いので、さあやさんのように感じている方が居たことは、知ることが出来て良かったです。ありがとうございます。続いて、導入されて1年と少し経ちましたがF休は実際に活用されていますでしょうか?

労務担当者:必要な人にはしっかりと活用されている感じですね。やっぱり一定数しんどい人も居るので、職種問わず、部署の偏りもなく本当に必要な人が使ってくれてるかなという感じは受けます。

ーーー活用されていることはとても素晴らしいですね。労務担当者から見て、社内にF休は浸透していると感じていますか?

労務担当者:浸透しているとは思いますよ。F休制度が出来たのは、1年半前になるんですけど、そのときに勉強会をして落とし込みもしっかり行ってます。上長たちの会議でも、F休の申請を承認する立場として理解してもらう必要があるので男性陣たちも理解はあると思います。

それに、皆大人なので「生理」ということ自体を知らない人はいないと思うし、詳しく知らなかったとしても「そういう事なんだ」っていうのを勉強会を通して機会も作ったのでそういう面では、全社的に浸透も理解もしてもらえているのではないかと思います。

♯実際の勉強会資料 ♯一部抜粋

〇勉強会内容
・生理とは、生理期間中だけではなく、生理期間前の症状も指すこと
・生理期間前の詳しい症状について
・F休は、必ずしも生理期間中のみ使用することではない。症状により仕事が就業困難な場合は生理期間前の取得も認められること
・PMS(月経前症候群)や生理により仕事のパフォーマンスが下がること
・社内の男女比は、男性の方が多い為男性もしっかりと理解する必要がある
・法律によって認められていること
                                              etc….


働きやすい環境を全員で作り上げていく



ーーー勉強会の内容もしっかりとした内容ですね。休んでしまうことは仕方がないにしても、周囲に影響を与えてしまうのも事実です。F休を取得する場合、休んだ分、休む分はどう対策していますか?

かのんさん:そうですね。生理周期などをみて、生理周期と被りそうなときは仕事を詰め込まず外勤を減らしデスクワークの業務を集中して行ったり他の週でまかなったりするように仕事を調整をしています。必ずしも、仕事のパフォーマンスが落ちてしまいどうしても無理だったら、時間有給を使用して1時間早く帰ったりしています。そっちの方が効率が上がりますね。

さあやさん:そういう考えもあるんですね。私がもしF休を取るとしたら、商談をリスケするか、同僚に代わりに商談をお願いします。今は個人ではなく同行営業を基本としているので、同行者が私の商談の履歴をわかっているため代理で行くこともできるようなフォロー体制があるんですよね。

ただ、自分がアポイントを取得した商談は自分で行きたいので、その時間だけ薬を飲んででも行くと思いますが、残りの事務処理は同行した人にお願いしますかね。営業チーム内での情報共有・フォロー体制があるからこそ、休んでもフォローしてもらえるんだろうなとは思います。この話に関しては、生理だけじゃなくてコロナとかインフルエンザの時とかでもフォロー体制がしっかり出来ていれば業務シェアが出来るので休みは取りやすいと思います。

ーーーそのような考え方がありましたか!新しい発見です。

あんなさん:その考え方いいですね。会社として、みんなが働きやすくなります。介護で休んだりお子さんが熱出しちゃって出社できないとなった時などを含めて、F休ができたことで、じゃあ誰かが休んだらどうするのっていうことを身近に感じ考えやすくなりましたね。

♯皆さんにとっての働きやすい環境は?


ーーーそうですね。最後に、自分たちで働きやすい環境を作っていくためにはどうしていくべきなのか。意見としていかがですか?

あんなさん:ここはね、さっきさあやさんが言ってくれたフォロー体制にも繋がってくるかもしれないですね。

ーーー確かに、私としては女性の先輩とか相談しやすい先輩を作っておいたり、上司に生理痛が酷いことを事前に相談をしておくことも一つの手段かなと思います。さあやさんはいかがですか?

さあやさん:もちろん上司への相談も必要かなとは思うけど、仕組みとして相談しないと回らないというよりも、普段の中で業務が回ってるっていう方が理想的かなと思います。これに当てはまらない人もいますけど、特に営業事務さんは業務シェアが進んでいますよね。休んだら、違うエリアの人が処理してくれたり、緊急の処理も他店舗の事務さんがやってくれたりとフォロー体制がしっかりとしていますね。事務さんのように仕組化ができればF休に限らず休みやすいのかなと思います。男性、女性に限らず介護や看病など不測の事態で休暇を取っても仕事をカバーし合える、それが当たり前になっていって欲しいですね。

ーーーそうですね、仕事が属人化しないように細分化も必要ですね。ありがとうございます。かのんさんはいかがですか?

かのんさん:事務は、協力体制がしっかりとしているので、今まで見てきた会社の中では『休んだ後に仕事が溜まって辛いな』というのは少ないですね。それに、気を使って休まないといけないのは、私としてはちょっとどうなのかなと思うので、こういう気持ちにならないのは、しっかりとした協力体制があるからだと思います。自社だけで完結できない仕事、商談とかはとても難しいと思うのですが、他部署でも協力できる体制が構築できるとみんながもう少し休みを取りやすくなるのかなと思います。

ーーー確かに、休みの後に業務量が溜まっていると休みを我慢してしまったり、休みづらさに直結してしまいますね。休みの後のフォローというのは大切ですね。あんなさんはいかがですか?

あんなさん:私は、基本的にF休を取るのは権利で、取っていいと思います。ただ、自分の仕事に責任を持っていることが前提だと思っていて、自己責任をちゃんと持った上で休めばいいし、だからこそみんな休んだ分、工夫して仕事をすると思うんです。

例えば、お子さんの体調不良や介護など、突発的な休みが必要となった時に「お互い様。助け合い」だと捉え、自分たちで働きやすくするために営業事務の皆さんは協力体制を作ってきたと思います。他にも、先ほどさあやさんが言っていたように、自分の仕事に責任を持っているので自分の体調よりも仕事を優先したいときもあると思います。万全の体調で仕事ができないという悔しさを持った上で仕事を優先する、この我慢は悪だと言ってはいけないと思っています。ただ、無理せずにいつでも休むことができるというその安心感があるだけで、自分なりに頑張れたりするかなと思います


体調が悪い時に自分なりに工夫して仕事ができていればいいと思います。生理を言い訳に自分の仕事から逃げるとか減らすとかの発想じゃなくて、もっと成果を出すためにF休を効果的に使って、肉体的にも精神的にも負担を減らしていけばいいのかなと思いました。F休を取得した分、自分で工夫して仕事をすればいいんだよっていう発想の仕方をしていったら、もっとF休を活用しやすくなるかなと思うし、この発想は有給や育休なども当てはまるかな。この発想はとても素敵だと思います。

ーーーあんなさんのおっしゃる通り、仕事をする中での安心要素はとても大切です!休んだ時は自分で工夫する。ここがポイントですね!
最後に、労務担当者としていかがですか?

労務担当者:私は、社員の機密情報の取り扱いなど持っている仕事が特殊で業務シェアに慎重な面があるのですが、だからといってもし私が明日死んだら誰も業務内容が分からないでは困りますし、誰かがフォローできる体制は会社として必要です。決して1人で仕事をしているわけではないので、周りに助けてもらえるような環境作りを自分からも作って、提案して、声に出していかなければならないっていう風に思ってます。

仕事を共有する体制づくりは自分からの働きかけも含めて、職場環境を整える、会社側に求めるばかりではなくて、自分たちができることとかっていうのを見つけて行動に移すことは大事かなと思いますね。

しかし、いろんな意見が上がって求めるばかりではダメだよって言いいますが、F休含めて制度として存在していないと理解が得られない部分もあったりすると思います。社員みんなの知識とか思いを揃えていき、みんな働きやすいような環境を自分たちで作るという体制がうちの会社はできているので、弊社の社長が良く言いますが、仕事において主語を会社ではなく自分という思いで仕事をしていってもらえば自ずといい会社になっていくんじゃないかなと思っている次第です!



まとめ

今回の対談では、生理休暇がどのように職場環境や個人の働き方に影響を与えるのかについて、それぞれの立場から意見を交わしました。特に、社内に浸透しているのか、生理休暇を利用している人と利用してない人の声を深堀りしました。生理休暇は、女性の働きやすさを考える上で重要なテーマですが、制度だけでなく、周囲の理解や職場文化の変化も必要不可欠です。皆さんの職場ではどのような取り組みができるでしょうか?

ぜひ、この記事をきっかけに生理休暇について一度深掘りしてみてください。


取材・執筆者:橋本
2024/12/24時点

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