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「おいしいおかゆ4」🕯️おはなしをどう終わらせる?

「おいしいおかゆ」のおはなしのことが続きます。

・貧乏な女の子が森でおばあさんからお鍋をもらう(起)
・お鍋でおいしいおかゆを食べられてひもじくなくなり幸せになる(承)
・お母さんが止め方がわからずおかゆが町中にあふれ出す(転)
・女の子が帰ってきてお鍋を止めて収まる(結)
でも、この町に帰ってくる人たちは、自分の通る道を、ぱくぱく、食べて、食べ抜けなければなりませんでしたとさ。

東京子ども図書館「おはなしのろうそく1」より あらすじを紹介

おはなしの基本は「起・承・転・結」
どんなお話も終わらなければ面白くない。
特に、「おはなし」のように耳で聞くものは、終わりは明確に、はっきりと。
おはなし会では「あれ、どうだったんだっけ?」となると、
お話の世界から現実の世界に戻ってこれません。

「おいしいおかゆ」のお話はとてもよくできていて、最後は

とうとう、おかゆがながれこんでない家は、町であと1けん、ということになったとき、女の子が帰ってきました。
そして、たったひとこと、
「ちいさなおなべや、やめとくれ!」
といいますと、おなべは、ぐつぐつ、にるのをやめました。

東京子ども図書館「おはなしのろうそく1」よりそのまま抜粋 

この、女の子がいうたった一言「ちいさなおなべや、やめとくれ!」をどう語るのかは、おはなし仲間でも意見がわかれるところ。

・大声で慌てて叫ぶように(おかゆで町が大変なのが遠くからわかるから)
・普通の声でちょっと慌てて(「やめとくれ」で止まるのがわかっているから)
・普通の声で普通に(「やめとくれ」は魔法の言葉だから)

正解はありません。
テキストに書いてあるのは
「ちいさなおなべや、やめとくれ!」のたった一言。
これをどう解釈するかは語り手それぞれ。

そもそも、この「町」ってどれくらいの大きさの町?
女の子の家は町のどの辺りにあるの?

森のそばの小さな町。
盆地の町。
女の子の家は町のはずれ?

私は、このお話を覚えて語り始めて15年以上経ちますが、この部分では今も迷ってしまいます。
女の子の家は町中の密集して住居があるところで、
女の子はあふれ出したおかゆを見て大変だと思うけれど、おなべに言い聞かせるようににるのを止める一言を言う。
で、その声の大きさは? それが、毎回その場の流れで変わってしまう。
私の「おかゆ」はまだ成長途中。

この「おいしいおかゆ」はストーリーテリングを始める人が最初の方によく覚えるお話で、短くて、わかりやすくて、起承転結がはっきりしている。

でも、短いからこそ、おはなしの世界に入ってもらい、おはなしの世界で遊んでもらうのが難しい話。
いろんなお話を覚えるけれど、ここに帰ってくるおはなし。

動画やエッセイや、短いものが好まれることは多いです。
短いだけのものか、短いけれど大きな世界を表しているものか、
17文字の俳句の世界の大きさをみれば、形式だけでないのはわかるでしょう。
読みやすさ、見やすさは、長短が関わってくるのでしょうけれど、
心に残るかどうかは、その作品世界の大きさが関わってくるのでは?

おはなしの世界によく入り込んでくれる子どものよくある感想。
「一軒だけずるい~!」
おかゆが流れ込んでない1軒はどうなったんでしょうね(笑)
このように、おはなしの世界で遊んでくれると、おばちゃんも一緒に遊ぶことができて楽しくなります。

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