自分に合った家

「私に新築注文住宅は合わない」(多分、合わなかった)

いいものはたくさんあれども、自分に合うとは限らない。
私は築9年の中古住宅を30年前に購入し、築40年を前にしてチョコチョコ私好みに直している。
多分、このスタイルが私に合っていたのだろう。

住む場所の確保、それは人生の中でとても大きなウエートを占める。

31年前、住む家がなくなった。
夫の転勤、転職のため、社宅扱いだった家を出なくてはならなくなった。
私は妊娠に伴う切迫早産で入院中。
退院したらどこに住めばいい?

とりあえず里帰り出産。
体は実家に、荷物は義実家に。
両方てんやわんや。

夫の転職を機に義両親と親子4人が同居。
人が増えて人間関係も大慌て、2世帯分の荷物を詰め込まれた家も大慌て。
まさに「足の踏み場もない」

さて、どこに住もうか?

とりあえずどこかに家を借りようか?
・・いやいや、ここで同居をやめると義実家との人間関係が壊れそう。

全方位で家を手に入れて独立することを考える。

① 義実家の所有する駐車場になっているところに家を新築する
・・建築確認を申請。街中の矮小地。体を小さくして暮らしてしまいそう。

② 荷物を整理し、建て増しをして義実家で同居
・・義実家は街中、商業地域。固定資産税を月に換算すると5万円。
・・建て増しのローンと固定資産税の両方は払えない。

③ 新築の注文住宅
・・すぐに住む場所が欲しい。家が建つまで待っていられない。

④ 新築の建売住宅
⑤ 中古住宅
・・新築は中古住宅+1000万円。

家についての考え方は人それぞれ、家族それぞれ。
私たちの考え方は、
「気持ちよく住めればいい」
「人生を家に捧げたくない。経済的にゆとりを持って住みたい」
「将来の同居など人生のステージが変わった時には売れる家がいい」

こうして⑤中古住宅を本格的に探すことになりました。

幼い子どもと暮らすので、家を汚すことは想定内。
ほぼリフォームもせず親子4人でわちゃわちゃ暮らす。
子どもと暮らせる時間は意外に短い。
おぎゃーと産まれた子が18までは10年ちょっと。
(成人して同居することはあるけれど、それは同居人として対処)

子どもたちも独立し、先が見通せるようになってきた。
築30年を過ぎてきて、家も軋みが見えてきた。
売却するとしても土地値段だろうから、家は自分好みに手を入れる。
和室を洋室にして壁一面本棚に。
壁は漆喰に。
窓は二重窓に。(補助金がでました)
床は杉板に。
他人にみせるための家ではないので好きにする。

もしも、新築注文住宅、新築建売住宅にしていたら、ここまで好き勝手はできなかっただろう。特に注文住宅は壁紙、コンセント、照明など決めることがたくさんあって、きっと私はパニックになっていただろう。

私たちにとって家は遊び場、1/1プラモデル。
穴を開けようが絵を描こうが好きにできる。

家はその時の家族の状態と、世間の状態に影響を受ける。
夫が転職した数か月後にはサリン事件が起き、阪神淡路大震災がきた。
転職せず転勤についていっていたら地理的に巻き込まれていたかも。
当時の住宅ローン金利は変動で4%(現在は0.5%程度)
どんどん金利は下がっていき、完済したときには2.6%になっていた。

FPを職業にして最も大きいお金が動く「家」に関わることも増えてきた。
どんな時代でも、家族がどんな状態でも、「安心して暮らせる家」が大切なのは変わらない。

新築住宅、注文住宅はよいのだけれど、多分私には合わなかっただろう。

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