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破壊的進化に起きる6つの「D」

私が、認知科学のコーチングとセットで重要だと考える、VUCAの時代(*)において自己革新を続けていくために重要な鍵となる「エクスポネンシャル思考」という考え方があります。

*VUCAとは、社会やビジネスにおいて将来の予測が困難になっている状態を示す造語です。予測が困難な要因として4つの時代の特性をあげ、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取って作られました。

「エクスポネンシャル思考」とは何か?

「エクスポネンシャル」とは、「指数関数的」という意味です。1の次が2、2の次が3、3の次が4というのが人間の直観にそった「リニア(直線的)」な変化ですが、「エクスポネンシャル」な変化は1の次は2だが、その次が4、その次が8というもの。この変化を10回繰り返すとリニアとエクスポネンシャルの差は100倍近くなります。

指数関数的な変化は、科学技術から経済社会にわたって幅広くみることができます。「ムーアの法則」というのを聞いたことがあるかもしれません。シリコンバレーの代表的企業であるインテル創業者の一人のゴードン・ムーアが1965年(インテル創業が1968年なのでその前)に提唱したもので「半導体の集積密度は、18カ月~24か月で2倍になる」という経験則です。

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このエクスポテンシャルな変化が、現在のAI研究に適用され、AI(人工知能)が人間の能力を超えるときを、シンギュラリティ(技術的特異点)と呼びます。このシンギュラリティを提唱した、アメリカの未来学者で、Googleのフューチャリストのレイ・カーツワイル氏が設立したのが、AIを始めとする科学技術の加速度的な発展が予想される時代に備えるための研究・教育機関として世界中から注目を集めている、シリコンバレーにある「シンギュラリティ大学」(SU)です。

破壊的進化に起きる6つの「D」

このシンギュラリティ大学で広めている考えが「エクスポネンシャル思考」です。この中で、テクノロジーの変化がどのように起きるのかを理解する重要な考え方が、Xプライズ財団のCEOであるピーター・H・ディアマンティス氏が提唱する破壊的進化におきる6つの「D」です。
*このnoteの一番下に、ディアマンティス氏の動画も紹介しておきます。

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【Digitalization(デジタル化)】
物理的プロセスであったものがデジタル化されデジタルプロセスに乗ると、例外なく光の速さで広まり、複製・共有されていくことになります。ですから、6つのDがデジタル化から始まるのには意味があります。そこから先の成長速度はムーアの法則に乗り、エクスポネンシャルになるのです。手紙も、音楽も、映像も、電話も、新聞も、書籍も、すべて物の制約から解き放たれてデジタル化されました。

【Deception(潜行)】
「デジタルカメラ」が出た当初は「オモチャみたいなもの」と馬鹿にされていた。エクスポネンシャルな進化の初期段階では、横軸と平行に近い形で推移します。ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱したイノベーションのジレンマでも、大企業が破壊的な技術を軽視してしまう期間として表現しています。

【Disruption(破壊)】
当初は横軸と平行に推移していたグラフが徐々に上向きになり、あるポイントで直線的な成長予想を突破していきます。「これは思っていたよりもすごい」と気づく瞬間、この段階が「破壊」です。

【Demonetization(非収益化)】
これは業界から金銭という因子が消えることです。つまりタダになることを意味します。写真のデジダル化によって、コダック社はフィルムという収益源を失いました。長距離電話はSkypeやLINEの無料通話機能によって非収益化がなされました。

【Dematerialization(非物質化)】
「非物質化」は物やサービスそのものが消えることを意味してます。スマートフォンは、電話機、ICレコーダー、ゲーム機、テレビ、CDプレーヤーなど、多くの物を非物質化しました。

【Democratization(大衆化)】
高価な物やサービスが、非収益化と非物質化による当然の結果として、誰にでも手に入るようになる「大衆化」。エクスポネンシャルな技術進化がもたらす連鎖反応の最終段階です。

ディアマンティス氏は、「直線的な思考しかできない者にとって、六つのDは六人の死に神(Death)にほかならない」とも言っています。

現状維持発想では、現状維持すらできない

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破壊的進化におきる6つの「D」は、私たちにはとても重要です。技術がエクスポネンシャルな変化を生み続ける現代では、破壊的進化が起こり続けます。そして、それらの破壊的進化を、私たちは認識することができません。そのような時代では、現状維持の発想では、現状維持すらできないのです

認知科学において、「デフォルト(default)」が選択に与える影響についてという文脈でも説明しています。デフォルトとは、「意思決定する人に初期設定として与えられる選択肢」というような意味です。人々が選択を行う時、そこにはなんらかのデフォルトがあります

もし、生活の中で自発的に何かを選んでなければ、それは「現状維持」を選択していることになります。つまり、私たちの目の前には常に、現状を維持するか、変更するか、という選択肢が置かれているわけです。

また、社会心理学者のランガーは、「自分で環境をコントロールしている」という意識を持つことが、ストレスや不安を軽減し、日々の生活の満足感と精神的な健康を高めることになったと論じています。

つまり、VUCAの時代で、破壊的進化がエクスポネンシャルに起きる世界では、自らの未来を選択し、自分が自分をコントロールできるようにならなければ、現状維持すらできないということです。

裏を返せば、エクスポネンシャル思考を身につけ、自ら未来を設定していくことが、現代のイノベーションへのカギと言えるでしょう。

私は認知科学コーチングを通じて、誰でも、このようなマインドを持つ支援していきたいと思っています。

コーチング依頼

このようなイノベーションの創出、自己革新、現状維持の突破に関する再現性を高めるため、私自身にも時間に限りはありますが、コーチングを通じて支援を行っています。

現状の打破や社会の変革を志して事業を起こしたい起業家、自分の力やスキルを磨いて広い社会に価値を提供していくために独立した個人事業主やフリーランス、転職や起業を志すビジネスパーソン、自分を表現していきたい芸術家や音楽家などを対象とさせていただきます。

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【参考】“6 D’s of Exponentials”

Xプライズ財団のCEOであるピーター・H・ディアマンティス氏が破壊的進化におきる6つの「D」について話している動画(英語)です。


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