おかえりマイユーフォリア(ジョングク編3)
「いつか今のように有名な僕ではなく本当におじさんになったら、
僕がおじさんになったら僕のそばに残ってくれる人は誰でしょうね?
そのときは必ず、ARMYと打ち明けてみたいです。
あの時の僕たちはどうだったかって
あの時の僕たちは格好よかったのかって
一人の人間としてどうだったかって。」
そう言って、メンバーたちに「ジョングクはどこに行った?」と噂されながら、日本のホテルの部屋で一人、こっそりと美味しそうにチキンを頬張るとても無邪気でキラキラとした瞳に心を掴まれた。
君のまなざしはいつだってとても美しくて、私たちの心を掴んで離さない。
おじさんになったらなんて言わないで、出来ることなら今すぐに知っていてほしい。君がたくさんの人に愛されていること。誰かにとってはこの世界中の誰よりも特別で、きっとたくさんの人の幸せの理由になっていることを、どうか知っていてほしい。
そんなに悩まないで、そのままの君で充分に美しいから。
そんなどこにも届かない言葉を、心の中に大切にしまいこんで、密やかに愛をくれる人たちがこの世界にはたくさんたくさんいるということを、2020年の君は知っているんだろうか……?
なんでも人並み以上にこなして完璧主義で、何事にも手を抜かない、努力家でかっこよくて可愛くて目に入れたって痛くない私たちの黄金マンネ。
それはきっと多くのあーみーたちがジョングクに抱くイメージだろう。
なんでも出来るスーパーヒーローのジョングクは、充分すぎるほど、とてもとてもかっこいい。
だけど彼がおじさんになった時、あの頃どうだったのか…と打ち明けるなら、それだけじゃない。とても完璧に見えるのにそれでもまだ自分を追い詰めて“自分が恥ずかしい”と言ってしまう君は時々とても不安定に見える。
愛してるっていうくせに、アミの為にとかいうくせにちっとも教えてくれないそのタトゥーにはどんな意味があるんだろう。
「RUN BTS!」でフローリスト体験をした時、自分の誕生花を見つけて花言葉をスラスラと言ってのけたのはなぜだろう?
その真っ白な腕に刻まれているであろう9月の誕生花であるオニユリの花言葉は“私を愛して下さい”という意味だそうだ。
別名“タイガーリリー”とも呼ばれるその花が「どうしてタイガーなのにその花言葉なの?」とメンバーが口をついたように言った時、「見た目は華やかだけど…」と言いかけてやめた言葉の先に、グクはどんな想いを飲み込んだのだろう。
「僕を愛してくださーい!」とふざけるみたいにかわいく言ったその言葉の奥にどんな気持ちがあるんだろう?
深い理由がなくてもいい。なんかかっこいいからやってみた!とかそんな浅はかな理由でも構わない。彼がしたいことだったならそれでいい。だけどもし、その花のように華やかで、強く美しく見える彼の内面がそうじゃないのだと、自分で感じているのだとしたら、そうした不安定さもまた、とてもとても魅力的だと思うのだ。
まだ幼い頃にソウルにやってきたグクはベストフレンドと呼べる人がいなかったそうだ。だから誰よりも長い時間、いつも一緒にいるメンバーたちが“友情”という言葉の意味を教えてくれたのだという。
いつか6人のお兄ちゃんたちから色々なことを学んだと言っていた。6人の個性豊かな兄たちに少しずつ似ている彼はとびきりクセがつよくてとびきりかわいい。
みんなに愛されて、いつもみんなの笑顔の向かう先に目と鼻をくしゃっとさせて、とびきりかわいい顔で笑うグクがいる。
レプモンヒョンを尊敬してて、クオズが遊び相手で、外では恥ずかしがり屋で人見知りで……他に友達なんていなさそうに見えた、7人の中の宝物のようだったジョングク。そんなグクにもいつの間にかたくさんの友人が出来ていた。
そうして少しずつ広がった外の世界で、グク自身が、今求めているものはなんだろう?
防弾少年団はたくさんいるアイドルの中の一つであって、私たちは明日真新しい撃的な出会いがあれば、都合よく、とても自分勝手に彼らのことを忘れてしまうかもしれない。だから、すべてを知りたいと思われることはグクにとってただの負担なのかもしれない。一人の人間として、自由に好きなことをして生きていくことがグクのしたいことなのかもしれない。
いつか心が離れてしまった時にはいつでも離れてよくて、また恋しくなったらいつでも戻ってきていいのだと、いつでも僕はここにいます、と優しく言ってくれたみたいに、私たちの関係はとても自由だ。少なくとも私たち側は多くの責任を伴わない。
だから、彼らの自由を縛ることはただの醜いエゴだろう。
だけど覚えていて欲しいと思ってしまう。
出来ることなら覚えていて。
もしも、この先君がすてきな風景を見て、誰か私たちの知らない人を思い浮かべる時、この世界のどこかで美しい風景を前にして君を想う人がいるということを。
街角で流れるラブソングに誰かを愛おしいと思う時、私たちの頭の中には君たちの笑顔が浮かぶのだということを、きっと忘れないでいて。
そして悲しいことに、万が一、もしもそんな簡単なことさえ理解していなかったとしても、そういう残酷ささえも愛おしいと感じてしまうほどの恐ろしい魔法を、君は持っているのだと、出来ることなら知っていて。それは時々とても君を追い詰めてしまうかもしれないけど、きっと君にとって大きな勇気になるから。
君は知っているだろうか?
数万人の会場を見つめるそのまなざしが、私たちがよく見えるようにと目の上にマイクをのせて陰をつくり、大きな目をキラキラと輝かせて笑うそのかわいい姿や、誰よりも深くお辞儀をする真心が、どれほど美しく見えるのか。
ちっともSNSを更新しなかったと思えば、突然甘い言葉やすごすぎるクオリティの映像や歌を届けてくれたり、さっぱりしているように見えて、私たちへの手紙を読みながら突然泣いてくれる君が、どれほど美しく見えるのか。懐が深く愛があって、尊敬できるところもたくさんあって…。いつのまにか大人になったように見えるけど、いつかの公演で突然客席に向かって走っていった時のように時々未熟で危なっかしく思えることもたくさんあって、そういうところさえもとてもとても魅力的だということを君は知っているのだろうか?
君はなんでもできるけど完璧じゃない。
とてもとてもかっこいいのにゆらゆらと揺れている。
とてもとても偉大なのにまだまだ足りないと乾いている。
だからこそ、君を美しく思う。
完璧じゃないあなたが好きだ。
一人の人間として、とてもすてきな人だと思う。
こんな打ち明け話をされたら君はどう思うのだろう。
理想の高い君だから、自分の曖昧さを見られることを不愉快に感じるのかもしれない。
だからまだ、こんな話は秘密にしておいたほうがいいのかもしれない。
いつか君がおじさんになって私が歳をとったとき、
私たちにまだ絆があるのなら、
その時はきっと、狂おしいこの愛の言葉を君にあげよう。
そしてこれもわがままだけど、
いつかその日がやって来ても、
道で出会った犬と喧嘩する君のままでいて
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