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はてしない物語(ナムジュン編 2)


夢みた未来ってどんなだったろう?


いつか「#RMusic」というハッシュタグ付きでツイッターに投稿された歌にそんなフレーズがある。


夢みた未来はどんなだっけな?
なくしたものなどないのかな?

そんな風に柔らかに、過去の自分と対話するように語りかけるその歌は、今、彼の耳にどんな風に響くのだろうか。





1  Rap Monster


キムナムジュンという男の子についた修飾語にはどんなものがあるだろう?

BTSのリーダーRM、脳セク男(※過去に出演していた頭が良く脳がセクシーという意味の番組タイトルから)、ARMYのプレジデントetc…
どんな姿もすべて、キムナムジュンという人を創り上げる要素で、どれも嘘はなく、身の丈以上に飾り立てられたわけでもない、ありのままのすばらしい彼の姿だ。

一方で私の中のキムナムジュンは、とてもとてもかわいい人だ。
大きな口をあけてごはんを頬張り、平和主義者で、おっちょこちょいでガサツな、愛すべき男の子だ。

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彼は今、夢見た未来にいるのだろうか?
ソウル近郊の一山(イルサン)という町で生まれ、ごく平凡で幸せな幼少期を過ごしたナムジュン少年は、夜空を見上げて想いを巡らせたり、男の子らしい夢を見ていたそうだ。
小学校の時EPIK HIGHの『Fly』を聴いてHIPHOPに夢中になり自分でもリリックを書きはじめたという。
そうしてラッパーとしての活動をはじめた彼の、アンダーグラウンド時代の仲間たちは、BTSのメンバーとは少し雰囲気が違う。中学からの友人で練習生時代を共に過ごした後、現在ではBigHitのプロデューサーになったSupreme Boiくんは、過去に出演したバラエティ番組で、ナムくんのアンダーグラウンド時代の仲間として登場した際に、アイドルになったナムくんに「防弾少年団って面白くなさそう」と毒づいていた。(今ではラッパーラインの3人と一緒に食事に行くほど仲が良くBTSを支えるチームの重要なメンバーだ)
デビュー当時からビーグル少年団(※ビーグルのように騒がしく元気が良いこと)と呼ばれるほどやんちゃなグループとして有名だったBTSのメンバーを持ってしても、そんな子たちといても“面白くなさそう”と言われるほど、なんていうか、昔のキムナムジュンはとっても“Rap Monster”だったのだろう。
「偶然の出来事だった」と説明しながらも初めてAVを観たのは、小2のときだったと話していたり、昔作業室のPCをそういった動画を観るせいで、よくウイルスに感染させるのだとメンバーたちにバラされていたりと、ちょっと早熟でやんちゃな男の子…という印象だ。
そしてそんな彼がとびきりかわいいのは、私の記憶が確かならバラエティ番組でPCウイルス事件をバラされたとき、僕がDLしたらみんなも観るから、、というような謎の言い訳をしていたところだ。
子供のころ妹と喧嘩して、殴れないかわりに雨の日に傘を全部持って出かける仕返しをしたというエピソードがあるけれど、やられっぱなしで終わらない彼の反撃は絶妙にぬるくてかわいい。基本彼は、やさしい平和主義者なのだろう。
『BON VOYAGE S4』でホソクくんを置き去りにするというイタズラを仕掛けたときもナムくんはずっとそわそわと申し訳なさそうにしていた。
小言や小さな文句は言えども、人を貶めたり騙したりすることの出来ないやさしい人だ。
最近の『RUN BTS!』でも、PCゲームでの対決中、ヒントを出しすぎてスタッフに注意されていたけれど「正直描いたところで誰も当てられないでしょう?」などと言い返すわりに、小さな声でぬるめの文句を言っていておもしろかった。

今はとても仲の良いBTSのメンバーたちだけど、昔はよくみんなで喧嘩をしたのだという。そんなエピソードがあがるたび、やたらと怒られている人や喧嘩の相手に登場する名前がキムナムジュンなのは偶然だろうか?
2段ベッドで寝ていた頃、蚊がたくさんいると夜中にみんなを起こして、電気を点けたらジンくんに枕を投げられたこと、新居に見学に行って引き出しか何かを決めるときにユンギと喧嘩になり、ユンギが怒って靴と帽子を投げた…という話も喧嘩の相手はナムくんだった。
当時のことは分からないし“若かったから”ということもあるだろうけど、今では怒っているのを見たことがないほど温厚に見える2人を怒らせたのは、なかなかのことをしでかしたのではないかと思う。
そんな風にRap monsterだった頃のナムくんが怒られた話はたくさん出てくる。



2  がんばれ!キムナムジュン!


パスポートをなくすことでおなじみの世界のBTSのリーダー・キムナムジュンは、最近AirPodsを34個失くしたと告白し、そのことがまさかのニュース記事になっていた。
『In the SOOP』の中でも携帯を失くして慌てていたし、これはおそらくナムくんが悪いわけではないのだけど、外に出る用のスリッパも秒で失くなっていた。ラジコンを作っているときも派手な音を立てて作成中のものをぶつけていたし、とにかく壊すしとにかくモノが迷子になる。
いつかのライブの打ち合わせ中、衣装のズボンのポケットのシミを発見されて「どうしてこんな所にシミがついてるの?」と指摘されていたときには、「コチュジャンがあったからポケットに入れたんですけど蓋が開いてたみたいですっ」と明るくカメラに話していたし、ジンくんにもらったフーディーを嬉しそうに着ていたときもしばらくして裏表に着ていることを指摘されていた。


個人的にみんなで焼肉を食べに行ったときのVliveで、肉が焼けるのが待ちきれず終始そわそわしていてジョングクにイラつかれていたときのナムくんが好きなのだけど、『In the SOOP』でチャパグリを作ったときも、映画に出てきたチャパグリのようにステーキを混ぜよう!と決まったのにも関わらず、待てなかったのか、それとも話を聞いていなかったのか、一人だけ先に食べて「めっちゃおいしい!!」と嬉しそうに言っていた。そしてもはや誰もそのことを咎める人はいなかったから、あの焼肉騒動から今年みんなでチャパグリを食べた初夏までの間にも、こうした出来事は幾度となくあったのではないだろうか。


最近ではタルゴナコーヒーをただのミックスコーヒーと言ってのけたり、アミボムをデコりながらまわりのスタッフさんたちに笑われていた日のVliveが最高におもしろかったのだけど、その日の出来事をここにまとめているのでよかったら見て



3  ダイヤのような言葉たち


キムナムジュンはかわいい。
そしてめちゃくちゃおもしろい。昔は他のメンバーが言っておもしろかったことをしつこく繰り返したりして、笑いのセンスがイマイチだと思っていたけど、あれは外国語をシャドーイングするときのようなものだったのか…と思うほど、今ではめちゃくちゃおもしろい。
『Dynamite』リリース日のVliveでジミンくんが「ユンギヒョンが“何も知らない”という顔をしています」と言ったとき、「ピュアだ、ピュア!」と言った直後に思いついたように「ピュガ!ピュガ!」と言っていたけれど、あれはなんだったんだろうか…

キムナムジュンはかわいくておもしろいけれど、時にとても恐ろしい人なんじゃないかと思うことがある。
それは何か問題があった時にじわじわと、気づかないふりをしようと思えばいくらでもできる程度に、衣装のズボンのシミよりももっとさりげなく、じんわりと、人の心の奥にある湖に波紋を広げていくみたいだ。

“いつも美しい言葉をかけてくれてありがとう”
そんなことを語りかけてくれた日、SNS上に溢れる彼らへ向けられた想いはきれいな言葉だけではなかっただろう。自分のイメージから外れてしまったメンバーに、どうして?と心が揺れてしまったファンたちはその度に複雑な思いを吐露する。本人に届かないように、ひとり言や仲間内で傷を舐め合うのならそれは決して悪いことではないと思うけれど、“美しい言葉”だけを使っていられなかったら、まっすぐに7人を好きでいられなかったら、その瞬間、彼の中でのARMYではなくなってしまうかのような恐怖がその言葉の中に含まれている気がした。
これはとても主観的で勝手な想像であって、まったくもって本人があえてそのような話し方をしているのだと匂わせているわけではない。ただ、彼のまっすぐな言葉には、時に揚げ足をとらせないきびしさと毅然とした空気を感じる。
好きな人に、いつも良い言葉だけをかけてくれてありがとうと言われたとして、もしそれが出来ていなかったら、多くの人がそうしなきゃと思うだろう。彼の理想にはまれるようにがんばろうと思うだろう。
だから時に放たれるその言葉は私たちを良い方向へ導いてくれる優しいものなのかもしれないし、そこからはみ出てしまった人たちはもう彼の視界には入っていないのかもしれないという恐ろしいものなのかもしれないし、それは彼自身にしか分からないことだろう。



4  いつかくる“その日”に



ナムくんは未来の話をしてくれない。
他のみんなはずっとずっと先もARMYと一緒にいたいと話すのに、たとえそれがとても不確かな約束であっても、ただの気休めであっても、未来の話をしてくれないということは少しさみしく、冷たい…というのとは少し違うけどうっすらと恐ろしさを感じる。
だけどそれはきっと、彼自身が大切にしたいと努力している、“今”というこの瞬間への礼儀のようなものなのかもしれない。


「現在において僕が今に集中して明日と明後日をうまく生きていくのは、今の僕にしか出来ない事ですし、未来は“来”てないからこそ“未来”なんですよね。まだの“未”に来るの“来”」
だから、自分にとって大事なのはただ僕の現在なんだ…という話をしていた。
いつか退かなくてはいけなくなる日が来たらどうする?とメンバーたちと話をしているとき、まだ先のことは考えたくないと言うメンバーもいる中で、ナムくんは「いつかは認めなければならない時が来るはずだよ」と言った。
「僕たちが自分で決めて放すかもしれないし、僕たちの意思ではなく他の何かによって放すことになるかも知れない。だからその時を準備するってことよりは、ジミンが言ったようにそんな日がいつかは来るはずだから、だからこそ今頑張らなければならないと思う。だから“そういう時が来るだろうから今から備えよう”じゃなくて、現在に最善を尽くして(未練が残らないように最善を尽くすことが)それが一番の準備だと思う」(『BREAK THE SILENCE : DOCU-SERIES』より)
そんな話をしたナムくんは、また別の日には「未来が見えたら努力しないだろ?!」とふざけて話していたこともあるけれど、先の約束をしてくれない彼は、未来を悲観したり守れない約束をしたくないなどというこだわりを持っているわけではなくて、今を精一杯生きることを大切にしているのだろう。

未来は予想できない、来年のことさえ分からないと言うジミンくんに同意するように「もう予想することって、本当に意味があるのかな?」と言った。
『Winter Package2020』の手紙の中でも「僕たちはいつ、どこに流されていくのか分からないから逆に期待しながら生きていけるのではないでしょうか?」という一文があったけど、そんな言葉の先に「どこに広がるか分からないこのペンのインクのようにそれぞれの場所でそれなりに一生懸命素敵に広がっていきましょう」と繋げた彼の考え方がとてもとても好きだ。

未来を不安に思って、あれこれとまだ起きてもいないことを恐れることに何か意味があるのだろうか?
2020年は、誰もが予想していない年になっただろう。どうせ外れる予想なら、不安な心を慰めるために明日を悲観するよりも、ナムくんがそうしているように、今を精一杯楽しむことの方がずっと素敵だ。


『Dynamite』のプロモーション中のインタビューで、最近観たと言っていたドラマの結末は、奇しくも『Winter Package』での彼の手紙の言葉ととてもよく重なる。

“波は海に還る。
海へ消えた水がどうなるかは誰も知らない”

まだ誰も見たことのない未知の世界の扉の前で主人公は話す。
そして彼女は最後にこう締めくくるのだ。
「賢い友達が言ってた。“謎だから良い”って」


未来は誰にも分からないから期待して生きていける。今置かれた場所でみんなそれぞれそれなりに精一杯素敵に生きて……
彼が大切にしているその哲学は、先ゆきの見えないこの世界をサバイブする私たちにとってとても強い希望の光になるだろう。
WINGSツアーのFINAL公演で話していた、
「僕たちの存在が、音楽が、ステージ、写真、動画が、みなさんにとって本当に小さなことだとしても、その痛みが100ならば、100を99、98、97に変えていくことが出来たら、それで僕たちの存在価値は充分なんです」という言葉や、
「いつも多くの人たちに何かを伝えて分かち合おうっていうのが夢だったから、
どんな状況にいても僕たちが多くの人たちの力になれることが今の僕の夢だと思います」と話していた願いの通りに、キムナムジュンという一人の青年の考え方や言葉や音楽によって、世界中の多くの人が救われているだろう。
革命家でもヒーローでもないと言った、あまりにも賢くどこまでも騒々しくてぬけている、やさしい彼は、私たちの心の中に住むスーパーヒーローだ。



5  穏やかなスーパーヒーロー


私たちのヒーローは普段、とても穏やかだ。
いつでも全力でがんばる7人のコンサートの舞台裏やあまりにも高く上りつめたアイドルの苦悩する姿は、時々見ていて苦しくなるけれど、普段のキムナムジュンはどうだろう?
インタビューの中でこそ、一度では理解できないような深い話や心に刻んでおきたい素敵な考えを語ってくれるけれど、普段の彼は案外、どんな時でものんびりと楽しそうにしている。
雨が降って公演が出来るかも分からない状況下にあっても、
「なんとかなりますよ!がんばったから!」と根拠のない大丈夫を言っていたし、昔から痛めている膝の状態が悪くなったのか『In the SOOP』で脚を引きずっていたときもベンチブランコに座ってのんびり本を読んだりと、ちっともネガティブなそぶりは見せないで楽しそうにしていた。
ツアーが中止になって腹が立ったり辛い時期もあって、『春の日』を聴くとARMYを想って涙が出るという繊細でやさしいナムくんだけど、基本的にはいつもマイペースでとても明るい。


LYSツアー中、がんばりすぎて体調を崩し上手く出来なかったと涙したジョングクにホソクくんやジンくんが話をした日、一連の問題が解決したようにみえたあと、ホールのエントランスで、遅れてジョングクに話を聞いたらしいナムくんは、そこに現れたホソクくんに向かって「ジョングクはいつもバッチリでしょ!?なんでこの子のやる気を奪うの!?」と全く的を得ていないことを底抜けに明るく言い放ったけど、すべてを察した上であえてそうしたのか、ただ素直に、泣いているジョングクの子鹿のような瞳を見てかわいそうになったのか、彼の本当の心は分からないにしても、その抜け感のバランスはあの場面において最適だっただろう。


VliveでアルバムのBehindを教えてくれる時の彼の喋る量はすごい。
話の内容と反比例するかのようにハンバーガーを食べたりいきなり大きな声を出したりと、その行動はどこまでも自由だ。
しかし、それが番組のインタビューやイベントとなるとまるで違う。
英語圏のインタビューでは一番英語の得意な彼が率先して話をするけれど、そうではない場合、特にユンギがよく喋る日にはとても静かにしている。
おそらく全体の分量やタイムスケジュールのバランスを見ているのではないかと思うけど、他のメンバーの誰かが長く喋ったら、その分ナムくんの返答は簡潔なものになる。短い言葉に言いたいことを全て詰め込むスキルはいつ見ても真似できないすごさを感じさせてくれるけれど、Vliveであんなにたくさん喋る彼が、話したいことがないわけはないのに、そうして全体を把握しながら一歩引いている様子はすばらしくリーダーなんだなと思う。


ナムくんはBTSという存在について「僕は一度もそれが僕のものだと思ったことがないです。」と話していた。
“それはただ誰のものでもない”
「これは僕たちと手伝ってくれる人たちが作り出したある瞬間の幻の虹のような物だから、いつかはなくなるだろう。だからいつも謙虚な姿勢が必要で、反省しなければならないし、たくさん考えていかなきゃいけない。」
そうした彼の考え方が自分を一番に押し出すのではなく、全体を把握した上で最善の選択をしようと努める彼の行動に現れているのだろう。

例によって簡潔に答えたインタビュー中、音楽制作の変化について聞かれたときの答えがとても印象的だった。

変わってないのは僕たちの話をすることでしょうね。
抽象的で曖昧になってしまうこともあるけど、どこにいても僕たちの話をするっていうのは変わっていません。
変わったことはさっき言ったように、昔は全部自分たちでやっていたんですけど、今はある程度システム化されて音楽を作る環境が大きく変わりました。
メリットもデメリットもありますけどね。(『BTS JOURNEY』より)


HIPHOPボーイズグループとしてデビューし、自分たちでビートやリリックを手がけることが他のアイドルたちとは違う個性の一つになっていたBTSにとって、ここ数年の楽曲の変化は一部のファンの期待には添えないものになっていただろう。
とあるファンがコミュニティに“成功していく姿を見るのはうれしいけど、君たちが遠くに行ってしまった気がするよ”と書いていたのを見たのだと別のメンバーが話していたけれど、変化することで良いことも悪いこともあったけど、いつでもどこにいても、変わらず自分たちの話をしているのだというメッセージは、そうしたファンたちの不安を少しでも拭ってくれる言葉であり、同時に言えることと言えないことの狭間で、ナムくんが示してくれた本当の気持ちだったんじゃないだろうか。

どれだけグループが大きくなって、どれだけたくさんの人の手が加わり世界中を飛び回って物理的に離れていようと、いつでも聞かせてくれる物語の中にあるのが彼らの正直な胸の内ならば、私たちがそこから受け取るものの意味は、昔も今も変わらないのだ。




6 わたしたちのARMY


もう一つ、2019年5月 RoseBowlスタジアムで行われた公演での彼の話はとてもとてもすばらしく、胸にくるものがあった。
その日話した内容のすべてはこうだ。(以下意訳を含みます)

2013年から6年間、僕たちはたくさんの名前で呼ばれてきました。
僕たちはRMだったし、J-Hope、JIMIN、Jungkook、JIN、V、SUGAでした。
他にもたくさん、Kpop、韓国から来た7人の少年たち、韓国人、アイドル、アーティスト、音楽など...
そして、皆さんは、あなたの名前は、、

皆さんは僕たちの学校でした。
皆さんは僕たちの夢でした。
皆さんは僕たちの幸せでした。
皆さんは僕たちの翼でした。
皆さんは僕たちの宇宙でした。
皆さんは僕たちの人生を照らす光でした。
皆さんは僕たちの人生の、花様年華でした。
僕は、僕たちのもった修飾語のすべてを愛しています。
でも今夜、この瞬間はそれは忘れましょう。
僕たちはBTSで、皆さんはARMYだと。
そして同時に皆さんはBTSで、僕たちは皆さんのARMYです。
あなたがどこから来て、どんな言語で話して、何歳なのかは関係なく、今夜このローズボウルでは、僕たちは一つです。

僕たちは同じことを話して、同じ声で話して、
僕たちは、同じ言語で話しています。
これが共感です。これがコミュニティです。
愛しています。本当にありがとう。
僕は絶対にこのすべての物語を忘れません。
これからもずっと同じ言葉で話し続けましょう。


「音楽は言葉の上にあると思います」と言っていた彼は、“自分たちの音楽や心では、あるいは肉体の枠を超えて考えれば、離れていても一つになれます”とも話していた。
遠く離れた場所でそれぞれの修飾語を抱え、それぞれの日常を過ごす孤独な私たちは、音楽を通して通じ合うことができるのだと、彼は願いを込めて伝えてくれているのだろう。



7  いつか夢みた未来で


自分の存在とメンバーについて、“昔は僕のことをすごく頼もしいと思ってほしいし格好良く思われたいし、でも寂しくないように他人に僕を映していたと思います。特にメンバーにそうだったと思います。”と話していた。
そしてまた、自分がこんな風に思われたいと考えている人物像と同じように、メンバーたちにも自分を捉えていて欲しいと言っていた。

長く続けてこれた秘訣として、家族と友達の間の、それぐらいの淡白さがいいと語ったナムくんの理想の関係は今の7人の中に根付いているのだろうか。
サノスのように5本の指全部にアミボムリングをつけてふざけた格好で会場を盛り上げていたジンくんを見て、「ジンヒョンは真心を込める人です」と言っていた。
ユンギが渋い顔をしてごはんを食べているところを見ながら、すごく美味しそうに食べてる、こんなに分かりやすい人はいないですと笑ったり、言葉足らずで誤解されがちだったテヒョンくんをいつまでもずっと気にかけている彼は、とてもとてもやさしくて繊細で大きな愛をたくさん持った人だろう。
多くの人が見逃してしまいそうな誰かの光を取り出すように、色々な角度からものごとを見ている彼の心の中には、どれほどきれいで深い森が広がっているのだろう。
少しずつ自分を削っていって、かっこいい彫刻を作るのが人生だという彼は、時には涙の痕跡で文字が白くにじみ渡ったとしても振り返ってみるとすべて貴重な記録、思い出、またそれぞれのヴィンテージと額になると話す彼は、複雑で単純でスマートで、じっとしていても騒がしくて、とてもとてもおもしろい、愛すべき存在だ。


まるで人生のパズルのピースのように、彼があちこちに散りばめた言葉たちは、どれだけの人の心に響いているだろう。
起きてもいないことを恐れ、すべてをネガティブに受け取って、自分の弱さに蓋をして構えず、ただ心を開いてまっすぐに、その言葉たちを受けとれる人は、この世界にどれぐらいいるのだろう。
自分の心が曇ってしまったら、恐れや不安に飲み込まれて目の前の現実から目を背けてしまったら、その言葉たちの本質を感じ取れなくなるのだろうか。響かなくなるのだろうか。それともまた光の方へ、私たちを導いてくれるのだろうか?

彼が好きだと言っていた偉人の言葉に
“憤りをもって過去を振り返るな
怖れをもって未来を見るな
しっかりと現在を見つめよ” という言葉があるそうだ。

それは人の言葉を借りた、彼自身が今とても強く思っていることなのではないかと思う。


Billboard HOT100で1位になった日、うれしさを表現しようと「僕は夢を全部叶えました。もう夢がありません。」と言ったテヒョンくんの言葉を聞いて、ナムジュンは「この程度なのか?僕たちもっと大きくならないと!」と言った。
グラミーに行きたいし、賞も獲りたいし、「僕たち行ってない国がたくさんあるよ!」と弾む声で、ナムくんは無限に広がる夢を語る。

スポットライトの下ではメンバーたちをまとめて、普段はみんなにお世話をされている…という愛すべき天才は、
ジョングクの小鹿の瞳に負けないぐらい、今日もよく透き通った、とてもとてもきれいな瞳をしている。


ただ今を精一杯生きる彼の“まだ来ない未来”に、
どんなに楽しい冒険が待っているのだろう?
いつか来るその場所が“夢見た未来”になるといい。

はてしなく広がる壮大な夢と野望を
穏やかに楽しく追いかけて行けるといい。


明日のことは誰にも分からなくて、
謎でいっぱいの
5年後の未来も10年後の未来にも、
いつも底抜けに明るくのんびりと楽しそうに過ごす愛おしきその人へ
抱えきれないありがとうの言葉と、
ハッピーバースデーを贈りたい


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※おわりに
最後まで読んでくださりありがとうございます。
このnoteは人物の考察ではありません。だれかの中の“好き”という気持ちがいっぱいになりますように。


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