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キムソクジンの愛と冒険 2


1. お兄さんらしくしてください


BTSの長男がジンくんで良かったと何度思ったことだろう。
BTSの長男と次男は韓国での学年こそ違うけれど、誕生日はたったの2ヶ月半しか変わらない。
もしもゆんぎが長男だったら…ジンくんが、ゆんぎが長男じゃなく“俺が長男で良かっただろう!”といつか大きな声で冗談を言っていたけれど、ジンくんのフレンドリーさや、ポジティブな、良い意味での図々しさは、このグループの長男として奇跡のように大切なポイントになっていると思う。

それは「HAPPY EVER AFTER」の日本公演のメイキングで、初日のステージを終えたメンバーが廊下を歩いているシーンでの出来事だった。この日ゆんぎは開演前からとても緊張している様子で、上手くいかなかったのか、とても疲れて落ち込んでいるように、うつむいて壁際を歩いていた。そんなゆんぎにジンくんは『元気ないよ?元気出して〜!』と近づき、強引に肩を抱いていた。このずかずかと踏み込んでくる明るさにこの人は何度救われてきたのだろうかと思うと、その度にジンくんがいてくれる奇跡に何度だって感謝している。

「Boy With Luv」のカムバ期でのことも記憶に新しい。
1位になったアンコールステージで、ミュージカル風に歌うメンバーの中、ジンくんはゆんぎのパートの前にコソコソとイタズラな笑顔で何かを耳打ちしていた。何を話したのかは分からないし、全く関係のない話をしていたのかもしれないけれど、こっそりと、こんな風にしたらどう?とかお前もやれよ!と話していたのではないだろうか。曲の中盤、その謎の設定に飽きてくる頃、グクは空気を読んだのか、すでに普通に歌ったりしていたけれど、困ったように頭の後ろで手を組んでいたゆんぎは、自分のターンが回ってくると満を持してミュージカル風のラップを披露した。
ゆんぎは案外、こういったおもしろいことにわりと乗り気だ。
だけどテテやホソクくんのようなキャラではない彼に、ジンくんがそっと耳打ちで背中を押していたのだとしたら、なんて理解と思いやりに溢れた人なのだろうと思う。


LYSのDVDのメイキングでは、威厳が欲しいと話していた。
ボンボヤでゆんぎがジンくんへ書いた手紙の最後に、“もう少しお兄さんらしくしてください”と照れ隠しのように書いていたけれど、ジンくん自身、威厳がないから、何か話した時にケンカになってしまうと気にしていたようだ。だけど、ジンくんのフランクさのおかげで成り立っていることは、きっとたくさん、数えきれないほどにあるはずだ。だから、ジンくんがボンボヤで道ゆく人に挨拶をしまくったり、『Do you know BTS ?』と話しかけてしまえる心臓の強さは、みんな恥ずかしいと言いながらもどこかで必ず感謝しているはずだろう。



2. しあわせについて


ジミンくんが『約束』BehindのVliveで話していたことを思い出す。
ジンくんとジミンくんは元々性格が合わなかったと言っていたけれど、そのような雰囲気を感じるシーンはこれまでとてもたくさんあった。昔から普段のシーンでも仲良くしている2人だけど、根本的に考え方が違うというか、ジンくんの行動にジミンくんがイラついているような空気は、時々とても画面からも感じられたけれど、ここ1、2年でジンヒョンの言っていたことが正しかったと感じることがすごく多かったのだとジミンくんは話していた。
ただ幸せなのが最高で、自分が楽しいのが一番で……そんなジンくんの考えになぜそうするのか分からないとぶつかることが多かったけれど、
『実はそれが合っていて、ある意味では僕のために言ってくれていたことなのに…僕はずっと否定してきたけれど、兄さんの言っていたことが全部合っていました』とジミンくんは穏やかに話していた。
ジンくんを通して、ジミンくんは、幸せとか、人生を楽しく生きるべきだということをたくさん学んだのだそうだ。
ジンくんだけの力ではなく、私たちの知っているところや知らないところで、色々な経験をしたであろうジミンくんは、ここ2年くらいで、とても優しい顔をするようになった気がするのだけれど、その理由の一つに、ジンくんの哲学が大きく関わっているのだろう。



3. 自慢の息子になりたくて


では、ジンくんは幼い頃からこんなに明るくポジティブな人だったのだろうか?

韓国でもとても有名な大学の学生で、車の運転が上手くて、国際免許も持っていて、スノボも出来て、中学生の時にSMにスカウトされたほどのイケメンで、昔からくじけることがあまりないと言っていたこともあったけれど、彼は挫折を知らないみんなの憧れの先輩ではなかったのではないだろうか…。

学生の頃、お母さんの友人たちが息子の自慢をしている時、ただ黙っていた母の姿を見て、母に息子自慢をさせたいと思ったと話していた。
「花様年華 On Stage」で“こうして恩返しをすることが出来た”と言っていたけれど、自慢の息子になりたいというのは、裏を返せば、自慢できることが何もなかったと思っているということだ。
「Burn the stage」のインタビューでも『天才歌手じゃないけれど、一生懸命努力して、少しずつ上達する姿を見せようと努力しています』と話していた。


デビューして間もない頃「大人子供」のBehindで、『シュガくんはとても身軽でジェスチャーも上手くてカッコいい友達です』と言っていたけれど、この頃、ことあるごとにメンバーたちから“動きがぎこちない”といじられていた(ゆんぎがそう言っていた記憶が私にはないのだけど、ゆんぎだけがジンくんをいじらなかったのだとしたらそれも最高に胸熱だ)ジンくんの話すその言葉は、とても素直な褒め言葉のように感じた。
当時の彼に、ゆんぎやナムジュンはどう見えていたのだろう?
このMVに出てくる3人の中で、ジンくんは圧倒的にGood boy感に溢れていて、とても異質な存在だったように思う。そしてジンくん自身もそのことを感じていたのではないだろうか?デビュー前からアンダーグラウンドで活躍していた2人と練習生になって初めて歌やダンスに触れたジンくんと、そもそものスタートラインが違うのだと思っていたのだとしたら、昔インタビューで言っていた、“くじけることがあまりない”というのは、自信があるから放った言葉では決してなく、自己肯定感の低さからくる言葉だったのではないだろうか。



4. 礼儀正しいFunky Rose Throwing Man


自己肯定感が低いというのには、語弊がある。
ジンくんは、人並みに落ち込むことはあっても執拗に自分を責めたりはしないように思える。ただ驕りたかぶることを知らない…と言ったほうが近いのかもしれない。
ジンくんが大学で“防弾少年団なんて知らない”と言われた時『有名になって戻ってきます』と言ったという逸話があるのだけれど(Twitterで楽園さんの訳してくださったものだったはず。)自分に自信がない人のセリフではない。ただ、自慢することもなく、驕り高ぶっていた様子もなく、とてもフラットに話したであろう私のイメージの中のジンくんの人柄は、とても飾らない素敵さで溢れている。

そのフラットさはジンくんの大きな魅力の一つだ。
「Boy With Luv」のアンコールステージで、BigHitからデビューしたTXTのメンバーがステージ上に残されていたけれど、まだデビューしたばかりの男の子たちはステージの後ろや隅で、どうしていいか分からない様子で立っていた。
メンバーたちの手ほどきで、すぐにその場に馴染んだ子たちもいたけれど、ジンくんはそんな中、最後まで隅にいる子に声をかけていた。そしてメンバーたちにそうするようにずかずかと肩を組んだり、前に引っ張って行ったりするのかと思えばそうではない。さりげなく声をかけたり、丁寧にお辞儀をして挨拶をしたりしていた。
彼らからしたら大先輩であり世界で活躍するスーパースターのはずなのに、ジンくんにとって、自分の方が偉いとか優れているとかそういう感覚はなくて、例え新人であっても、他の誰かに接するのと同じように、きちんと挨拶をしていたのだ。



5. かわいいひと


ところでみんなが思うジンくんのかわいさってなんなのだろう。
驕りたかぶることがないと言ったけれど、いつも自分の顔を褒め、撮影の時も、何を着ても素材がいいから…などと自分を褒めまくったりしているけれど、その割には、注目されると耳まで真っ赤になっているのがたまらなくかわいい。

「RUN BTS!」で、手作りTシャツを着る罰ゲームをどうするか…と話をしている時、“空港で着る服がないから、その罰ゲームを1位にしちゃダメ?”と聞いていたのもかわいかった。練習中ではなくて、食べすぎたからという理由で腹ごなしにダンスをして、脚に怪我をしていた時も、静かに気配を消すように会場に座っていたり、カメラの前で怪我をいじられていた時、とても恥ずかしがっていたけれど、あの時と同じ顔をしていたように思う。自分をとてもよく褒め肯定するけれど、時々、写真の中の海辺や洞窟やベンチで、口の端をきゅっとあげた、笑っているようなそうでないような、いつも同じ顔をして写っていた大人しそうな男の子の一面が見えるのが、最高にたまらなくかわいいのだ。


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ジンくんは高校生の時2日に1回はお母さんのスーパーの買い物に付き合っていたそうだ。(雑誌のインタビュー談)
料理が好きなジンくんは、そうやってお母さんの買い物について行ったり、晩御飯の支度を手伝ったりして、料理を覚えたのだろうか?思春期の男の子は、家にあまりいないという勝手なイメージを持っていたけれど、想像の中のその姿は、とてもジンくんらしい気がして微笑ましい。


最近、どういうつもりなのだろうか?
“友達がいない”…ということをよく言っている。
カムバの準備で忙しい時も他のメンバーがどこかに出かけている時も『ジンさんはずっとゲームをしています。』とメンバーたちに言われていたけれど、本当にずっとゲームをしていたのだろうか。
“92クラブ”というアイドルの仲良しグループがあるらしいけれど、休みのたびに山に登ったり、ゲームをしている動画を上げてくれる時、そこに映っている友達はいつでもB1A4のサンドゥルくんひとりだ。


そして多忙のせいもあるだろうけど、今回休日と思われる日にUPされた写真はジョングクと2人で山登りをした時の写真だった。

友達がいないから…休日もメンバーと遊んだのだろうか……?


AMA期のインタビューだっただろうか…『僕には友達がいない』と発言した時、メンバーたちは俺たちが友達だろ!と口々に突っ込んでいたけれど、ジンくんは、例のごとく譲らなかった。BTSはジンくんにとって家族だから友達ではないと言い切るのだ。テヒョンとのケンカ事件の時もそうだったけど、こうして頑なに譲らないときがジンくんには時々ある気がする。

そういうよく分からないところも、とてもとてもかわいらしい人だ。


友達がいないと言い張る彼だけど、一方でとてもとても社交的だ。
ボンボヤでは必ず道ゆく知らない人に声をかけるし、マルタに到着した日も知らないおじさんと話し込んでいた。そして後日ひとりで訪れたBarでそのおじさんと再会するという奇跡も持っている。



6. さみしがりやな third one from the left


マルタでのボンボヤといえば、新しいジンくんを見つけた気がした。
ジンくんってきちんとしていて、自分の仲間以外の周囲の人にも心遣いのできる優しい人だけど、とてもさっぱりしたところもあって、合理的というか、仕方ないことは仕方ないとして、今、目の前にある空間やあるものでその場を楽しむ人だと思っていた。
だけど………、ゆんぎが途中でいなくなってからのジンくんのぐずぐず感ったらなかった。中耳炎や治りかけの脚の怪我のせいもあったのかもしれないけれど、移動の車の中でもとても静かで、キャンプの後、何人かのメンバーで赤い月を見ていた時も、ジンくんはさっさとどこかに姿を消していた。
メンバーでバラバラに行動することになった時も、ひとりでお酒を飲んでは、ゆんぎがいたら楽しいお酒が飲めたのにだとか、翌日のRJコーディネイトについて、ゆんぎがいたら応援してくれたと思うんだけど…とか、ことあるごとにゆんぎの話ばかりだ。


マルタでのこの2人のかわいさったら伝説級だった。
聖堂の入り口で並んでいる時、ジンくんのリュックにそーっとセカンドバッグを忍ばせた、いたずらっ子な次男だったけど『ここを出たらお前が持つんだよ』と言われた言いつけ通り、聖堂を出た後のシーンでは、大人しくゆんぎがリュックを背負っていた。
そしてジンくんがなくし物をして慌てていた時には、
『僕がいなかったらどうしてたんですか。』と言っていたけれど、この言葉はもしかしたら、この時だけの冗談ではなく、日常茶飯事のことなのかもしれない。

ゆんぎがお揃いのマルタネクタイを買おうと言った時もかわいかった。
『ユンギが買ってくれるならするよ』と言ったジンくんに、何を思ったのか、急にぷいっと店を後にし、『したくないからってそうやって遠回しに言うんですか?』と面倒なことを言い出した。『お前が買ってくれるならするよ!』と元気よくジンくんが言うと、あっさりと店へ引き返したゆんぎだったけれど、その時、後を追いながら『うわぁ〜』と言ったジンヒョンの表情はなんとも最高だった。

2人はとてもしっかりしているようで、お互いになんだか抜けている。
ペットショップの前を通って、ヒョン、ここにシャンプーあります。とゆんぎが言えば、ここはペットショップだよと教えてあげたり、お揃いのネックレスを買ったお店で、店員さんに『ハンドネックレスはありますか?』と聞いたジンくんに、『ネックレスのネックは首だから』と微笑ましく教えてあげたり、ジンくんは独特のファッションセンスに自信がないのか、服を選びながら、これはどう?とゆんぎに尋ね、迷っていたけれど、あっさりとすごくかっこいいですよと褒めていた。
褒めていたけれど、そのシャツがとてもおしゃれだったかというと、個人的にはよく分からない。ゆんぎはかっこいいと言いつつも『中間層みたいですね』と言っていたけれど、その表現はとてもぴったりだ。そしてそのシャツをジンくんは色違いで2枚も買っていた。ホソクくんとのデートに着ていく服を考えている時もゆんぎはジンくんを全肯定していたし、むしろノリノリで面白いコーデを考えていた。
釣りをしている時も、アイスを食べている時も、小さなことで素直に笑い合って、2人の世界には、とてものんびりとしたピースな空気が漂っている。




7. 永遠のルームメイト


ジンくんはゆんぎを“永遠のルームメイト”と呼ぶ。

2人で部屋にいる時は“3秒”しか話さないと言っていたけれど、言葉はなくても2人でいる時に流れる空気の穏やかさが全てを物語っている気がする。
子供の頃、海外にいた時の写真が残っているジンくんの家はおそらく裕福で、俳優になりたいという夢はあったものの、やったことのない歌やダンスの世界に突然足を踏み入れることになった彼と、家族や親戚に反対され、ジャージャー麺を食べるかバスに乗るか、どちらか一つしか選べないほどお金に困っても、小学6年生の頃から抱いていた夢をまっすぐに追い続けてきたゆんぎと、正反対の2人は、初め、どんな風な言葉を交わしたのだろうか?
ずいぶん前に何かのインタビューでジンくんは、“昔は扱いづらかったけど今は明るくなって接しやすくなった”とゆんぎについて話していた。


ゆんぎの旧作業室の入り口のマットには“go away(あっち行け)”と書かれていた。それに対してジンくんの部屋のドア前はとてもウェルカムな雰囲気だ。


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こんな風に、2人はあまりにも正反対だけれど、一方でとてもとてもよく似ている。ジミンくんが幸福についてよく考えているのはユンギヒョンとジンヒョンだと言っていたけれど、何か根本的な価値観のようなものがとてもとてもよく似ているのだろう。


そして初めて会った頃のジンくんについて、ゆんぎもまた同じようなことを話していた。

“とても真面目でおとなしかった兄さんが、最近はとても明るくなったみたいで、驚いていて不思議です。
きっと僕たちが一緒にいるからだと思っています。”

ステージに上がる時、心配で自信もなかった兄さんの姿が一昨日のことのようだけど、最近の舞台ではとても歌が上手く、それはその分たくさん悩んだ結果なのでしょう…と。

“とても昔からジンヒョンを見てきたけど、足りないものを満たすために密かに努力した姿がとても魅力的で見習う部分が多いヒョンだと思いました。”

(※BON VOYAGE S2 EP8より一部抜粋)


ゆんぎは冗談ぽく“僕たちと一緒にいるから明るくなった”と話していたけれど、弟たちがジンくんに影響を受けて変わったように、ジンくん自身にとっても、7人の兄弟たちはかけがえのない刺激をくれる、なくてはならない大切な存在なのではないだろうか。
それはマルタの夜、ゆんぎがいないだけで、あんなにさみしそうにしていたみたいに……。

少し余談だけれど、空港に着ていく服がないと言っていたジンくんは最近、なんだか今までにないテイストの服を着ている。

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おそらくゆんぎのものではないかと思われる、OFF-WHITEのチェックシャツを着ていたり、ジンくんには丈の短いエアジョーダンのトップスを着ていたりする。
罰ゲームの服のくだりで、『僕が服を買ってあげる』と言ったホソクくんに、なぜかゆんぎが『ほんとだな?』と念押ししていたのはどうしてだろうか…
ゆんぎの買った服をシェアしていく中で、ジンくん自身がゆんぎの好みのようなものを選んで買っていたとしたらとてもかわいい。
ゆんぎだけではなく他のおしゃれなメンバーのことも意識しているのかもしれないけれど、ジンくんの着ているブランドは、いつも他の誰かの好きなブランドだったりしている気がする…。

何を着ていいのかわからない顔のかっこいいヒョンは、こんな風な些細なことでも、とてもたくさんの刺激を弟たちからもらっているのではないだろうか。



8. うれし涙の温度


こうしてみると、7人の男の子たちはとてもとても仲が良い。
個性は一人一人違って、まるでバラバラの7人だけど、お互いに刺激し合い、高めあったりしながら、永遠に仲良くい続けてくれるのだと思っていた。


ジンくんはBighitは良い会社だと、度々口にする。
ステーキをご馳走してくれるし、食べ物をたくさん食べさせてくれるからだ。
そして、私たちファンを喜ばせる為に色々な計画をしてくれているということもジンくんがBighitを信頼している理由の一つだそうだ。
だけど、時々、彼は会社のいうことを聞かない。

ジンくんなりにARMYを喜ばせようとしてのことだけど、会社の反対を押し切って髪の色を変えたり、前髪を切ったりする。最近では、頼まれてもないのに、授賞式でアルバムの準備をしていると発表したこともあった。

だからあの時、ジンくんが話してくれたことは、彼が口を開かなければ、私たちの中にほんのりと心配事を残したまま、永遠にあの頃の違和感はなんだったのだろう?と思うだけの七不思議の一つとして終わっていたのだろう。

2018年の初めにとても辛い状況の中、解散するかどうか迷ったという話は、とくべつ仲良く見えた彼らのイメージとかけ離れていて、とてもとてもショックだった。
堰を切ったように泣き出したテテくんの様子や、そんな彼を泣きながらなだめるジョングクや、他の6人の様子を見ても、それはちょっとした揉め事ではなく、現実にありえたかもしれなかった…という恐怖が私たちの頭をよぎった。突然置いていかれるほど恐ろしいことはない。


だけど、震える声を詰まらせ、泣きながら話すその状況が面白くなったのか、笑いながらまっすぐな言葉を話してくれるジンくんの言葉からは、その日を迎えられたことへの愛情が感じられたし、輪になって泣きじゃくるメンバーの真ん中で、ゆんぎがみんなを元気づけようとしてか、ピョンピョンとジャンプをしていたり、7人が7人でいることを諦めなかった喜びを、その様子から手に取るように感じることができた。
“うれしい涙は、温かくなくて熱い”のだといつかジンくんが話していたように、熱い涙でいっぱいに溢れていたのだと思いたい。




9.  I LOVE YOU.....


ジンくんの幸せってなんだろう。
ご飯をおいしく食べると人は幸せになるから食べることが大好きだという彼の、幸せな人生ってなんだろう。

自分が幸せになる為に目の前の誰かを笑顔にする。
自分が楽しくて、幸せなのが一番だと言う彼の毎日は、大切な人の笑顔で溢れているだろうか。

ついこの間、私はとある人に“あなたががんばったかどうかを知っているのはあなただけなんだから、がんばれ”…と声をかけた。私はこの言葉を誰に言われたんだっけ?…と思ってその時は忘れていたけれど、それは、ジンくんが言っていた言葉だった。


“君ががんばったことは君だけが知っていればいい”

真面目でおとなしかった男の子は、6人の兄弟たちと共に歩み、彼らから影響を受けていく中で、スーパーポジティブで明るい人になった。
そしてその強さやたくましさが、きっと彼の知らないところで、彼を好きな私たちのハートに伝染して、私たちを強くしてくれるのだ。
自分自身が知っていればいいと、足りないものを満たすために密かに努力を重ねたことを、メンバーや周囲の人たちや、ARMYたちがよく知っている。誰にも知られずがんばってきたことでも、見ている人は必ずどこかで見ているのだ。



“I LOVE YOU 3000”


BBMA関連のインタビューでARMYに向けて放ったその言葉は、きっと観に行ったばかりの映画の心に残ったセリフを冗談交じりに使っただけだろうけれど、その言葉はとてもとてもジンくんらしくて重たい。


そのセリフの持ち主であるトニー・スターク(アイアンマン)というキャラクターは自分勝手のようでいてとても優しい。自分の利益を優先に考えているようで、彼は結局、いつでも自分の大切な人のために正義を選ぶ。大切な人のために、良い人間でいられるように。
彼の幸福は、彼自身の得ではなく、大切な人が笑顔でいられることだから、その身を削っても危険に身を晒しても、大切な人が笑顔でいられる明日の為に戦ってしまう。そんな彼の、特別な愛の挨拶が「I LOVE YOU 3000」だ。

いつも適当なことを言って笑わせてくれるジンくんだから、特に深い意味を込めていないのかも知れないけれど、たくさんの正義の形とそれぞれの幸福の在り方が描かれていたその映画の中で、トニーの言葉を選んだことに、嬉しさと不安が入り混じる。


どうかジンくんの幸福がジンくん自身を、いちばんに守ってくれますように。毎日をおもしろおかしく、意味の分からない遊びで満たして、笑って騒いでいられますように…。



自分が楽しいのが一番だというジンくんのWish Treeにぶら下げた願いが、私たちのハートをきゅっと摘む。
“長生きする”という、端的で知的さを感じる文字がとてもジンくんらしく、微笑ましくて愛おしい。


“I LOVE YOU 3000 !!!”


もしもいつか、彼の頬に冷たい涙が流れそうになったら、この言葉をぶつけたい。
ジンくんが顔を真っ赤にして、大きな声で笑ってくれる日々の瞬間が、私や多くの人たちを幸せにするから。

I LOVE YOU 3000。

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※おわりに
最後まで読んでくださりありがとうございます。
このnoteは人物の考察ではありません。だれかの中の“好き”という気持ちがいっぱいになりますように。

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