東浩紀氏の哲学「一般意思2.0」の問題点
東浩紀氏は、超越論性を増やすことで現状の超越論から脱却しようとしている。
しかし、ここでいう超越論性とは、要は「現実に即した」世界認識のことである。
そして、現実に即した物でなければ「そんなものはさっさと捨ててしまえ」と。
ただ、ここから社会や政治のあり方の根拠を見つけ出すのは不可能である。
そもそも、社会的な普遍性を見いださず、社会を超越論性によって規定するという概念が、おかしいのである。
人が集まって社会を作るのは、そうやってあるべき姿を命令されているからではなく、人が社会を作るその客観的な理由などは、実はどこにも存在しないのである。
だからと言って、現状の普遍性を見つけず、あわよくばそれを捨てろと命令し、その上で新しい普遍性を用いて社会を構築しようというのは詭弁でしかない。
要は、どれだけ自分の考えが社会に即していると主張したところで、それだけでは決して社会が生まれるメカニズムは発生し得ないのである。