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【Project Focus】公衆衛生検査の拠点を強化し約1,300万人の国民の生命と健康を守る< 無償資金協力 >

プロジェクト名:ギニア 国立公衆衛生研究所建設計画
コンサルティング:八千代エンジニヤリング(株)(株)梓設計ビンコーインターナショナル(株)
施 工:戸田建設(株)
機材調達:(株)シリウス


 西アフリカの西部に位置するギニア。豊富な雨量と肥沃な土壌を持ち、ボーキサイトなどの天然資源も豊富である。一方、ガバナンスの脆弱性やインフラ整備の遅れなどのため、依然として最貧国に位置している。2014年にはエボラウイルス病のアウトブレイクが発生し、累計感染者3,814人のうち、死者数は2,544人にのぼるなど、同国の保健システムの脆弱性が露わになった。
 同国の公衆衛生検査の拠点である国立公衆衛生研究所(INSP)は、感染症対策における研究や検査を担っているが、検体の同定、研究および研修の実施に必要な機材が不足していた。また、既存施設の敷地面積が狭小であることからも、検査・研究および研修において十分な質や量を確保できない状況であった。
 こうした状況を踏まえ、同国政府はINSPでの研究および研修の実施体制の強化を通じた保健システムの強靭化を図るべく、INSPの施設・機材の拡充を目的とし、日本に対し無償資金協力を要請。2020年1月から準備調査が実施された。調査の結果、本プロジェクトは無償資金協力による対象事業として妥当と評価され、2021年5月に贈与契約(G/A)が締結された。
 本プロジェクトでは、INSPの一般臨床検査機能、環境検査機能およびワンヘルスの観点も含めた感染性細菌やウイルスの検査施設と機材の拡充に加え、施設・機材供与後のINSP職員を対象とした感染性廃棄物処理手法にかかる技術支援を実施した。これにより、INSPの検査体制の強化を図り、同国における感染症の早期検知および拡大防止に寄与することが期待される。また、貧困層を含む1,277万人が受益対象であり、同国の人々の健康を守り、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール3「すべての人に健康と福祉を」への貢献にも資する。

INSP外観
整備された研修室
バリアフリーにも配慮
ラボの様子
焼却炉などの機材も充実

本記事掲載誌のご案内

本記事は国際開発ジャーナル2024年10月号に掲載されています。
(電子版はこちらから

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