ストロボ内蔵の自動人形の少女(思弁的SFショートショート スペキュレイティブ・フィクション)
(この話、まるでおれが、痴漢の思考をしたヤバいやつですが、電車に乗ってる時は何も考えず、後からおもしろおかしく話をこじつけただけなので、冤罪です!!許してください!!)
電車で向かい側の席の、どこか陰のある黒髪の、細面の少女。
深刻に見えなくもない様子で、スマホもいじらず座っていたが、カバンから駄菓子の、
「タラタラしてんじゃねーよ」(懐かしい)
のパッケージをしたポーチ👝を出した。
ジッパーを開けて小さいカケラを取り出したから、
「それはまさか、あの魚のすり身をシート状にして、小さくカットしたエスニック風味のお菓子(タラタラしてんじゃねーよ)ですか!?ポーチ👝と違って、こっちは本物?いや、おそらく中身の方も、ニセモノの「タラタラしてんじゃねーよ」だ。」
これがSF小説だったら、見た目は「タラタラしてんじゃねーよ」をしたマグネシウムリボン。笑 そんな変な小説ないですが。笑
(マグネシウムリボンって、理科の実験で使うやつ。みなさん、覚えてますか?笑 おれ、理科準備室からパクったなあ。
「自転車のスタンドにうまくマグネシウムリボンを取り付け、スタンドを下ろして、地面に引きずらせて走れば、摩擦で火花を散らして走れるに違いない!」
と思いついて、盗みました。笑 これマジです。「盗んだマグネシウムリボンをつけて走り出す小6の夜🌃🌙」笑)
少女は、マグネシウムを食べると、燃焼反応で、パチパチ音を立てて、目からピカッと白光を出すに違いない。
(花火🎆は、金属を燃やした時の炎色反応で、色んな色を出しますよね。)
少女は、実はレトロな、頭にストロボと、胸部に二眼レフカメラを内蔵した自動人形(ロボット)であり、マグネシウムを食べて両眼のストロボを光らせることで、電車で、目の前の被写体であるおれの写真を撮るつもりなのだ。
おれは緊張して、背筋を伸ばして、かしこまった。まるで七五三じゃないか!
おそらく、少女の手の中の「タラタラしてんじゃねーよ」に見せかけたマグネシウムリボンには、よく燃えるように、塩化カリウムと、硝酸カリウムの粉末を練り込んである。「タラタラしてんじゃねーよ」みたいに、少しまだら模様をしているはずだ。
これはあくまでも推定だが、少女は内蔵のストロボを「ボフ!!」と光らせるたびに、喉が割れて、現像した写真がシャーーッと出てくる。しかも、喉をチョップしながらしゃべることで、「ワレワレハウチュウジンだ」と、扇風機の前でしゃべることなしに、宇宙人ボイスで発声する機能まで付いている(あくまで推定だが)。
おれは、おれを撮影しようと、マグネシウムのカケラを掴んで今にも食べようとしている向かいの少女に、笑顔でピース😃✌️をするべきか、迷った。しかし、緊張しているし、あくまでおれの表情はかたい。
ところで、こんなアナログなのか、ハイテクなのかわからない、レトロフューチャーで、スチームパンクなロボット少女なら、是非ともそのカメラでツーショットをお願いしたいものだが。。。緊張と、大胆な願望が半分半分だ。
しかし、少女そのものがカメラなのだから、ツーショットはできない😭
目の前に姿見を置いて、二人並んで「ハイチーズ!」とやるしか方法がない。しかし、電車の中では不可能。くそ、どうすればいいのだ。
手鏡どころではない巨大な姿見を車内の床にしきつめ、大胆にも、同乗する車両の、スカートをはいた女性のパンチラを根こそぎ覗こうと企む「ミラーマン」こと、植草教授でも近くにいないと、これは残念ながら実現できない。
その粗暴かつ、破廉恥な行為に用いる、巨大な鏡を、教授にお願いして、姿見のサイズだけ切り分けて頂き、座席の前に立てかける。おれは少女と鏡に対して向かい合うように座り、ツーショット。こうすれば、教授の犯罪を未然に防くことができるし、ツーショットも実現する。一石二鳥だ。
しかし、教授はとっくに更正しているし、残念ながら同じ電車にもいないため、諦めることにした。
うーむ。あくまで、被写体はおれなのだろう。
ツーショットを撮れないのはすこし惜しいが、こうして僕の写真を撮ってもらえることは名誉なことですし、嬉しいです。恐懼に堪えません。笑 ありがとうございます!!
感動したおれはホロホロと涙を流した。
おれはものの10秒の間に、ただただおどろいたり、かしこまったり、ピース😃✌️しようか迷ったり、残念に思ったり、嬉しくなったり、感涙にむせんだり、喜怒哀楽を忙しく切り替えていたが。その時!
おれがマグネシウムリボンだとばっかり思ったカケラを少女は自分の爪💅につけ始めたのだ!
なんと、それは付け爪💅だった。しかもよく見るとパープル。
少女はロボットではなく、人間だった。
いやあ、ピース😃✌️なんてしなくて、本当に良かった。
背筋をただしてかしこまっているのが幸いして、痴漢や、不審者にならずに済みました。あやうく捕まるところだった。
少女は付け爪用の両面テープを爪の甲に貼ると、ペリペリとフィルムを剥がし、それはどこか自傷行為にも見えました。その上からパープルの爪を貼り付けます。数駅の間に2つしか爪を付けられず、やっぱり、何か考えているようでした。
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