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【社会科】裁判員制度の意義とは?量刑判断から考える
どうも。いかたこです。
中学校で社会科の教員をしています。
noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。
今回は、裁判員制度についての授業のタネです。
裁判員制度は、国民が裁判員として裁判に参加する制度です。
皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?
・裁判員になると言われても実感が湧かない
・法律について詳しくないしできる気がしない
・専門家でもない自分が人を裁いてもいいのか
裁判員経験者へのアンケートを見ても、裁判員に選ばれる前は、多くの人がこのような思いを持っていたようです。
正直、私も自信がありません・・・(^0^;)
でもそれでいいんだと思います。
なぜなら、裁判員制度の目的は、「裁判内容に国民の健全な社会常識を反映する」ことにあるからです。
えっ、裁判って国民の常識が反映されてないの?って感じですね。
今回の授業のタネでは、実際に事例をもとに、生徒に量刑を判断してもらいます。
自分たちが適切だと思った刑罰と、実際の裁判で出された刑罰を比較することで、自分たちの常識と裁判の判決のズレに気づかせ、司法に国民の意見を反映させることの重要性を考えさせることが目標です。
以下では、詳しい内容を紹介しています。
よろしければ、最後までご覧ください。
裁判員制度の意義
裁判員制度の意義を確認しましょう。
さまざまな生活上の経験や知識を持った市民が刑事裁判に参加することによって、証拠を多角的に評価することが可能になり、刑事裁判の質が向上することが期待されます。
裁判員制度には、国民の意見や常識を裁判に取り入れるという目的があります。
これによって、裁判がより公正に行われることや、国民の裁判への信頼が深まることなどが期待されます。
実際、裁判員裁判では国民の意見や常識が反映されることで、量刑傾向も変化しているようです。
元東京高裁部総括判事の門野博弁護士は「殺人で量刑が重くなっているのは、人命を奪うことへの市民の厳しい見方が反映された結果だろう。法廷で遺族などに接することで被害者への共感も生まれるのではないか」と指摘。放火については「犯行に至る過程や個別の事情をしっかり見て判断した結果」と推測し、「量刑相場にとらわれず、事件の個性に即して判断しており、望ましい傾向だ」としている。
産経新聞 2019年5月15日
法律の専門家ではないからこそ、裁判員として裁判に参加し、自分たちの意見や常識を裁判に反映させることが大切です。
このことを生徒に気づかせるために、模擬裁判のような授業のタネをつくってみました。
量刑の判断
実際に有罪判決が出た事例を紹介し、生徒それぞれが自分たちの感覚に基づいて量刑の判断を行います。
まず、有罪判決が出た事例を説明します。
私が授業で扱った事例の概要は以下の通りです。
被告人は、1万円札を2枚偽造し、2枚とも使用した。偽1万円札の作成は興味本位での行動であったが、2枚とも使用している。また後日、5千円札を18枚偽造し、そのうち2枚を使用した。偽5千円札の作成は利益目的であり、18枚のうち2枚を使用している。
事件の概要をもとに作成
裁判員裁判の対象にもなる通貨偽造の事件です。
事件の概要をもとに、簡略化して説明しました。細かな内容については、生徒に質問された時に答えられるようにしておきました。
次に、各グループで、この事例では懲役何年が適切だと思うか考えてもらいました。
懲役5~10年が適切だとするグループが多かった印象です。
もちろん、懲役1年や20年など様々な意見がありました。
その後、通貨偽造の刑罰は、無期または3年以上の懲役であると法律で決められていること、この事例では懲役3年・執行猶予5年が言い渡されたことを説明します。
最後に裁判員制度の意義を確認します。
裁判員制度の目的は、国民の常識を裁判に反映させることです。法律の専門家ではない私たちは、裁判官と同じ量刑を判断することは難しいと思います。でも、だからこそ、国民の視点から、裁判に参加し、意見を伝える必要があるということを伝えます。
まとめ
以上が裁判員制度についての授業のタネです。
裁判の量刑判断に焦点を当てて、裁判員制度の意義について考えさせることを目標としています。
生徒たちは、裁判員制度の目的通り、自分たちの経験・知識を頼りに話し合って、量刑を判断してくれました。
これを機に、司法と自分たちとの関わり方を改めて考えてみてほしいと思います。
また、生徒たちも数年すれば、裁判員に選ばれる可能性があります。この授業のタネがその時に少しでも役に立ってくれればと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。