見出し画像

【社会科】文化から時代を捉える"文化史人狼ゲーム"

どうも。いかたこです。

中学校で社会科の教員をしています。

noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。

今回は、文化史の授業を楽しくするアイデアです。

文化史とは、各時代の文化(彫刻・建築・書物など)についての歴史です。

「1603年に徳川家康が江戸幕府を開いた。」のような歴史とは少し異なります。

文化史って、勉強するのも教えるのも難しいんです・・・。

代表的な文化財をいくつか説明するだけで、生徒が考える隙間がないというか・・・。

文化史を楽しく学習する方法はないかと思い、文化史人狼ゲームを作りました。

これは、文化史の学習とワードウルフ(人狼ゲーム)を合わせた活動です。

各時代の文化とその背景を関連付けて学習を進めることができます。

生徒も楽しみながら、授業に参加してくれました。

以下では詳しい内容について紹介しています。
よろしければ、最後までご覧ください。


ワードウルフとは

まず前提となるワードウルフについて解説します。

ワードウルフとは、みんなと異なるお題が配られた人を探すゲームです。

異なるお題が配られた人 → ワードウルフ
それ以外の人      → 市民

お題が配られた時点では、誰がワードウルフで、誰が市民なのか分かりません。

しかし、両者は異なるお題を持っています。そのため、お題について話し合うと、違和感ズレが生じます。

それらをもとに、市民たちはワードウルフを探していきます。

一方、ワードウルフはバレないように話を合わせていきます。

この心理戦が、ワードウルフのおもしろさですね。


○ゲームの流れ

1.全員にお題を配る

2.1人だけ異なるお題を配る

3.お題について話す

4.ワードウルフを特定する


○勝利条件

・ワードウルフを特定できれば市民の勝ち

・特定できなければワードウルフの勝ち


○具体例

「エビフライ」と「エビ天」というお題を例にします。

1)参加者に「エビフライ」or「エビ天」のお題を配ります。(画像1)

画像1

A・Bには「エビフライ」、Cには「エビ天」というお題が配られました。

2)参加者全員で、お題について話し合います。
*「エビフライ」・「エビ天」という言葉を使ってはいけません。

A   :エビを使った料理だね。
B・C:うんうん。

B   :揚げものだね。
A・C:うんうん。

C   :タルタルソースをかけるよね。
A・B:うんうん・・・(あれ?)

C   :(微妙な反応・・・私がワードウルフ?)

3)話し合い終了後に、全員で投票をしてワードウルフを特定します。


文化史人狼ゲーム

文化史人狼ゲームは、文化史の学習とワードウルフのゲーム性を合わせた活動です。


○目的

2つの時代の文化を比較し、その共通点相違点を明確にすること


○ルール

ルールは、ワードウルフと同様です。3人以上のグループワークを想定しています。

違いは、配布するのがお題(ワード)ではなく、文化財の画像であるというところです。


○具体例

今回は、国風文化(平安時代)と鎌倉文化(鎌倉時代)を例にします。

1)阿弥陀如来像(国風文化)を市民に、金剛力士像(鎌倉文化)をワードウルフに配ります。(画像2・3)

画像2
画像3

2)話し合いの中で、ワードウルフを探します。

A   :大きな仏像だね。
B・C:うんうん。

B   :細かい彫刻が施されているね。
A・C:うんうん。

C   :体がムキムキだね。
A・B:うんうん・・・(あれ?ムキムキ?)

3)話し合い終了後、全員で投票をしてワードウルフを特定します。

特定できれば市民の勝ち。特定できなければワードウルフの勝ち。


その後の授業展開

ポイントはここからです。

ゲーム終了後、ワードウルフに気づけたタイミングを、各グループで整理します。

「大きな仏像」、「細かい彫刻」では気づけなかった。

→ 国風文化・鎌倉文化の彫刻(仏像)の共通点

「体がムキムキ」で気づけた。

→ 国風文化・鎌倉文化の彫刻(仏像)の相違点


ここから文化と時代を関連付けていきます。

Q.どうして国風文化と鎌倉文化にはそのような共通点・相違点があるのでしょうか。平安時代から鎌倉時代への移り変わりをもとに考察しましょう。

このような問いを立てます。

「大きな仏像」(共通点)

どちらの時代も仏教の信仰が広がっているから、大きな仏像が作られたのではないか。

「体がムキムキ」(相違点)

鎌倉時代は、武士が政治の中心になっていったから、仏像も力強いものになったのではないか。

などの考察ができます。


注意点

文化史人狼ゲームは、ワードウルフを応用した活動です。

ワードウルフをやったことがない生徒は、ルールを理解するのに時間がかかってしまうかもしれません。

実際、初回のルール説明は、かなり丁寧にする必要がありました。


まとめ

文化史の授業の難しさは、単なる文化財の説明で終わってしまうことにあるのかなと思います。

説明だけで終わってしまうと、ただ文化財の画像と名前を暗記する時間になってしまいます。

ですが、文化を時代の中で捉えることより、文化と時代を関連付けることができます。

また、文化史人狼ゲームは、文化から時代を捉えるという思考になっています。

現代社会の文化から、現代社会を捉える。この思考は、複雑な現代社会を考える上でも活用できるものになっていると思います。

少し大げさかもしれませんが・・・(^0^;)

以上が文化史人狼ゲームの内容です。

授業をより楽しくするためのアイデアとして、取り入れていただければ幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。
今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?