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0331『ザ・ロイヤルファミリー(早見和真)』感想。

秘書という依代

競馬は好きだけど、競馬小説が苦手だったりする。とかくギャンブル系の読み物は知らず知らず作者の色(欲)が出てきて、それは最初は面白いかもしれないけど、最終的には面倒になってしまうから。
だけどこの『ザ・ロイヤルファミリー』は秘書という依代に作者の色(欲)を抑えさせている。そして秘書(依代)の業として、静かに淡々と、全ての関係者を、その人達の邪魔をせず、その人達の人生を任せている(だから裏切らない)。それが良質のストーリーになっている。

継承という追体験

競走馬の、特に中央の現役時代というのは思う以上に短い。だけどそのおかげで、僕らは人間の一生では見れない継承を追体験させてもらえる。馬と人を一緒にできないという人もいると思うけど、多くの人間が賭して携わっている以上、人の運命もまたそこに重なっていると僕は思う。

依代を抜けて

確かにここに出てくる人々は上流階級の人々だ。それでも時折、依代を抜けて一般の人に語っている部分もあると思う。上流階級の人々の勘違いしてしまう危うさ(席からの選民意識)、上流階級もひとりの人間であること、世の中に貢献しようとしている思いもあること。でなければわざわざ派遣法の時代を取り上げるだろうか。

感想と批判

ひとりひとりの人間の浮き沈みと、競走馬の強くても勝てない理不尽さが相まって、不幸と幸運の意味合いを教えてくれる良質の小説と思ったとですね。ただあまり良いことばかり言うのもあれなんで、否定的なこと言うと、女性陣強すぎ。苦労せずリーディングジョッキー得た百合子嬢みたいな人いるよねーやだねー、と思った人とは気が合いそうですw

(おまけ)競馬の見方として

レース中の完歩数による適正判断、そういえばあったなぁと思い出しました。


なるべく今年は、色々な情報の感想をここに残せたらと思います。
宜しくお願いします。

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