猫ミームが苦手という話
苦手どころかグロテスクに感じてしまうという、ややネガティブな独り言です。ここでいう猫ミームは、2023年頃から流行している(た?)という「猫の動画を切り抜き、組み合わせて日常生活などを表現した動画(Wikipediaより)」を指しています。
TikTokは見ていないので数か月前からYouTubeのおすすめに上がってきたのがきっかけで知ったもの。初めて見た時、あの画像の粗さや時々人の手や指が入った切り抜きが気味悪く、猫をいじめる人に対する炎上がミーム化したものだと思っていた。調べた限りではそのような背景はないようで。その視覚的な気味悪さに加えて、これはまずいんじゃないか、という感覚があった。というのも、あの写真の子たちの人権的なものを踏みにじっておもちゃにしているコンテンツのように思えたから。画像の著作権とかの前に、そもそももうちょっと動物のことも尊重する世の中じゃなかったのかなと。
まず、彼らは(おそらく)実在している生き物である。彼らの表情や行動は彼らの意思表示であり感情であり、それは人間が理解できなかったり誤解したりしていたとしても、通常それらはその目の前の彼らのものとして尊重し、共感する関係があるはず。特に使われている画像の子たちのようなペットであればなおさら。それが、人間社会の文脈での自分の行動や感情を、自分自身が表現することによって他人から受けるであろうネガティブな反応を逸らすために、他者の表情や動きの静止画を無断で切り貼りして表現し、発信するのはいかがなものか。
あれが動物でなく人間だったら。見ず知らずの実在の誰かの表情が、本人の意思や感情と全く関係のない文脈に切り取られて使われ、それが増殖していく景色。ここでただのアフレコや吹き出しの大喜利的な人間の写真を使ったミームと違うと思うのは、そこにある程度「これ以上はやりすぎ」というラインがあること。そのラインは人によって違う可能性はあるものの、実際「やりすぎた」場合は指摘が入る。訴えられるか炎上かお怒りコメントか。
切り貼りでなく、原型を必ずしもとどめていない可能性があったとしても、実在の人の写真を食っているAIでポルノ画像を生成させてそれで儲けるヤバさに通じると思う。この飛躍が個人的に猫ミームにグロテスクさまで感じた理由。
AIの場合は本来なら必要なはずの指摘が入る余地がかなり限られてくるのが厄介だし不平等だなと。それゆえ、この生成ポルノ画像問題について表現の自由なんてキーワードが出てくる時には、何を寝ぼけたことを言っているのだろうと思ったりするわけなのです。