見出し画像

協働学習は何故変わらない?

 ちょっと投稿の間が空いてしまいましたが、続編です。
 GIGAによって学びの可能性は格段に広がりました。個別最適な学習もやり方によっては可能になってきました。そして。もう一つの目玉である恊働学習も変わりつつあると言いたいところですが、何故か現場を見るたびにどうしていつまでも同じ学習なんだろうと思ってしまいます。

協働学習

 恊働学習といえば、古くは班学習が代表的なものでした。昔は45人学級でしたので、ひとグループ7人から8人構成で6班というのが標準的な構成でした。一時期6人ぐらいが意見が出しやすいということで8つのグループに分けたとこともありましたが、発表の時間がグループ数が多くなると時間がかかるということで結構課題がありました。
 現在は少子化によって、大規模校でない限り、35人ギリギリのクラスは少なくなって、田舎では5人6グループや4人が意見が出しやすいということでグループを編成している事が多いのではないかと思います。

 さて、問題はその中身です。恊働学習の主なテーマは調べ学習とテーマ学習だと思います。自分たちの興味のある世界の国や都道府県、地域を6つに分けて、地域の暮らしや歴史、文化、観光など細かく分けて班全員で調べた内容をパワポやスライド、canvaでまとめていく学習。
 もう一つは環境問題や人権問題、平和学習などテーマごとに課題の問題点を探り、どのような対策があるか、そして調べた結果を自分たちの考えにまとめていくという学習。
 いずれも最終的にはかつては模造紙、今は電子黒板や手元のタブレットで発表しあって、考えを深めると言う学習がほとんどだと思います。こうした、協働学習は今後もある程度は変わらないと思いますが、ここで疑問なのが、こうした調べ学習がやはり閉ざされた学習集団内で完結してしまうと言う事です。
 35人や40人いれば、多様な考えは出てくるとは思いますが、考えようによっては地域環境としては同じ環境で育った子どもたちの集団です。やはり、考えの広まりという点では少し弱いのかもしれません。

 さて、ここでGIGAです。

GIGAの学び

 ネットワーク環境ががある程度整い、教室が狭い学びの空間から他地域や他都道府県、さらに世界へと広がってきました。しかし、その空間を利用した協働学習を行なっている学校はどれだけあるでしょうか。違う歴史や環境、文化、宗教で育った子供たち同士が学び合うという学びの姿はまだほとんど見られません。 今、世界ではウクライナ、ガザなどリアルタイムに戦争が起こっています。戦争は過去を学ぶ題材ではなく、まさに今を学ぶ環境にあって、同世代の子どもたちがその状況についてどう考えているのか、学ぶあうことはとても重要な事だと思います。かつては、そんな学びをしようにも教育環境が整備されていなかったので無理でしたが、今はやろうと思えばできます。でもできていない。

 では何故か。

 大きな要因は2つ。
 そうした学びを行うノウハウがまだ蓄積されていないこと。そんな県外の学校や外国の学校と学び合うなんてとんでもない、やろうにも全くどうしていいかわならないというノウハウの問題が一つ。そして時間的な問題。
 今の教科書をクリアするだけでも大変なのにそんな余裕なんてあるはずも無い。今の恊働学習の時間だけでも程いっぱいなのにと言うのが本音だろう。

 ではどうしたらいいか、最初の課題については、やはり先進校ややる気のある学校や先生方が実践して、その方法を発信していくこと。この学校なら受け入れてくれるよとか、時差の関係でこの国なら学びやすいよとか、そうした事例をどんどん増やしていくことで敷居は低くなっていくのではないでしょうか。やはりどこかが先頭を切らないといけない。外国の学校の学びに必要な言語の問題は、翻訳ソフトの利用でかなりクリアできるのではないかと思います。あと数年すれば、同時通訳のレベルもかなり上がってくるでしょう。
 もう一つの時間の問題。実はこれが1番大きいのかもしれません。今の学習指導要領のままならこうした協働学習は進んではいかないでしょう。文部科学省がどこまで子どもたちの未来や学びを考えているかにもよりますが、小学校段階で英語を学ぶ事で英語に対する接し方や考えが変わっていくように、小学校や中学校の段階で違う環境の子どもたちと学び合うことはとても重要な事ではないかと思います。

多様な子どもたちとの学び

 そのためには、学習指導要領の大幅な改訂が必要かもしれません。本当に今の指導内容は必要なものなのか、もっと削って他に学ぶ内容はないのか。日本という国は島国で、多様性が乏しい国だと言われます。しかし、現実には外国人就労者もどんどん増えてきて理、外国人観光客もこれからますます増えていく事でしょう。そうしたグルーバルな世界において、これからの子どもたちは育っていき、生活していきます。
 GIGAの環境が、これからの子どもたちにとって是非可能性を広げる環境であって欲しいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?