ICTべいびー

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婚約破棄よりも、ちょっと前の話

前編 引越業者「オニモツイジョニナリャス、ジャ、コチャサインオナシャス」 2021年の春、俺は4年以上住んだ町を離れた。 引っ越し先は品川区の単身者用マンションだ。 山積みの段ボールだけがある部屋で、まだ少し冷たい床に寝そべり空を仰ぐ。 ふと郷愁にかられ、あの町での思い出をアイボリーのスクリーンに投影する。 あの町に引っ越してから俺の人生は大きく変わった。 5年以上勤めた会社を辞め、個人事業主として独立した。 付き合う友人が変わり、お酒が家計に占める割合も膨れ上がっ

    • 婚約破棄よりも、もっと前の話

      バラモスの討伐から数か月。 あの時はまだ馴染まなかったこの街も、いまとなっては俺の庭のような気さえしている。 更に深まった冬に枯らされてしまった街路樹を横目に、この日も俺は夜道を闊歩していた。 周囲を賑やかな下町に囲まれたこの街は、まるで台風の目のように静かだ。 特に自宅の面する、最寄り駅を境にして西側は、再開発で築浅の物件が並び、若いファミリー層が多い。 駅前のローソンが0時に閉まり、飲食店は容易く数え切れるほどの数しかない。 もっとも独身男性の俺にとっては、この治安が良

      • 君写真と違くない?

        社会人数年目の冬のことだ。 この冬は、同棲していた彼女と別れてから引っ越しをしたばかりの俺にとって、新しい街で過ごすはじめての冬だった。 その日俺は夜道を散歩していた。 不思議なもので、どの街も昼と夜とでは表情が異なる。 20代前半にして4回の引っ越しを経験した俺からしたら、それ自体は慣れたものだった。 しかし、不意に見知らぬ地に迷い込んだかのような感覚を覚えてしまうのは何度目の引っ越しでも変わらないようだ。 東京での暮らしも数年目になる。 単身での上京に不安はなかった上

        • 夜回り学生

          俺が20歳のころの話だ。 そのころの俺は、東京から一時的に地元に帰り学生をしていた。 日中は学生でありながら同級生に基本情報技術者試験を教え、 夜はアプリを巡回して希死念慮のある若者のカウンセリングをする生活を送っていた。 言うなれば夜回り学生ってやつだ。 季節は冬から春に移り変わるころ。 まだ夕方を過ぎると冬の肌寒さが顔を覗かせる。 この日も俺は、講義を終えて家路を辿っていた。 俺は日中の陽気に合わせてブルゾンを選んだことを後悔した。 ポケットに深く手を突っ込んで足早に歩

        婚約破棄よりも、ちょっと前の話

          いつでも捜しているよ、どっかに君の姿を

          高2の夏。 ここは晴れの国を名乗る岡山。 その中でも最南端に位置するこの町では、太陽が容赦なく俺たちの若さを焼いていく。 数か月前にオバンギャに童貞を奪われた俺は、同年代の女との出会いを求めていた。 若ければ容姿については問わない。 ディオに無理矢理キスをされたエリナが泥水で口を洗ったシーンと同じだ。 泥水(容姿が優れていない)であろうとディオ(ババア)よりは綺麗だからだ。 そんな俺だが、ここ数週間のうちに先輩から一個上の女性を紹介されていた。 しかし、件の洗礼により女性

          いつでも捜しているよ、どっかに君の姿を

          クラウザーと呼ばないで

          2022年、秋。 いつ以来だろうか? 久しぶりに中央総武線に揺られている。 秋葉原から新宿へ向かう途中、アナウンスが懐かしい駅名を呼ぶ。 「次は千駄ヶ谷、千駄ヶ谷~」 千駄ヶ谷、11年前に一度だけ下車したことがある駅だ。 一度だけ。その一度だけが俺の記憶に深く刻み込まれている。 少し昔話をしよう。 2011年、冬。 俺は東京への進学を控えたド田舎の高3だ。 春から始まる一人暮らしへの実感が沸かずにいた。 そんな状況から逃避したかったのか、音楽を聴きながらの深夜徘徊が日課にな

          クラウザーと呼ばないで

          ダイエットについて考える①

          2022/5/6~2022/6/3までの4週間、ファスティング+有酸素運動を行い12.1kgの減量を達成した。 ※ファスティングといっても、水断食ではなくサプリメントから必要最低限の栄養はとっていた。興味のある方はこちらの記事を参照してほしい。 しかし、カロリーを大きく削る(今回は一切とらない)+有酸素運動という組み合わせは、ダイエットにおける外法である。 大幅なカロリーカットは筋肉も大きく落としてしまうことから、ダイエットに挑戦する人の多くが持つであろう、「カッコいい身

          ダイエットについて考える①

          ファスティングについて

          ■はじめに 数日前より、ダイエットのためにファスティング(断食)を行っている。 本記事では、今回行うファスティングの手法を、備忘録も兼ねてシェアしたい。 ※筆者は医療従事者ではないため、本記事の内容を推奨するものではない。 結論として、以下の3つの観点を満たしながらファスティングを行う。 そのためにサプリメントを摂取するが、それ以外は水と塩のみで行う。 ・腸内環境を整える ・ミクロ栄養素はしっかり摂取する ・効率的に脂肪を燃焼させる ファスティングを行う際は、酵素ドリン

          ファスティングについて

          不細工の出会い系攻略

          1.いつもの俺の名はICTべいびー、フリーのツイッタラーだ。 自身の性体験をネットの海に放流することでインプレッションを稼いでいる。 自身の尊厳を切り売りして承認欲求を満たすという、さながら自らの足を食うタコのようなだ。 その滑稽な営みからお察しの通り、学生時代のカーストは低かった。 そのカーストの低さをあらわすエピソードとして、パッと思いつくだけでも以下が挙がる。 ・女子がつけたクラス男子顔面ランキングで下から4位入賞 ・告白した子に泣かれる ・友人が俺の評価を女子に訊ね

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          【R18】バブ外伝疵穴 -スカーアナル-【後編】

          前編はこちら K「大きいでしょ?触ってみる??」 Kはシリコンの詰まった乳を両手で持ち上げて俺に訊ねる。 確かにデカいな、おっぱいソムリエの俺が推測するにGはある。 考察しながらそっと手を伸ばす。 ふむ、やはりというべきか。とても固い。 この弾力に逆らって握りつぶしたら中身はどこから飛び出るのか。 と余計なことを考えながら触り続けた。 K「んっ、ァオォン......」 男性声優が洋ピンを音読しているかのような声が漏れる。 不意に姿を見せた現実にひるみながらも、 それを振

          【R18】バブ外伝疵穴 -スカーアナル-【後編】

          【R18】バブ外伝疵穴 -スカーアナル-【前編】

          ???「ハァ、ハァ……。」 俺の名はICTべいびー、サーバの運用担当だ。 今日は開発の課長と遅くまでバトルを繰り広げ、なんとか要望を通した。 しかし、度重なるあるべき論の応酬に俺の心はボロボロだ。 荒んだ俺を止められるヤツは誰もいねえっ!!! 時刻は21時。 神田の町に解き放たれた俺はコンビニに立ち寄り、スーパードライのロング缶を二本購入した。 そのうちの一本を軒先で一気に飲み干した。 そして、もう一本のフタを開け、思いを巡らせる。 今日は破滅的な気分だ。 開発に要望を

          【R18】バブ外伝疵穴 -スカーアナル-【前編】

          ぼくがクジラになった話

          これは、俺があかちゃんになる前の話だ。 当時の俺は、マイナーなマッチングアプリを主戦場とする23歳の会社員だった。 ー 俺は日課の夜間ウォーキングをしていた。 いつも通りのコースの途中にある公園を通りかかる。 足元に落ちた桜が、日中降った雨に濡れていた。 温かみのない昼光色の街灯に照らされていることが、もの哀しさを助長している。 感傷的な気持ちに反して、身体は夜風の心地よさに喜んでいる。 チグハグでむず痒さを感じているとき、ポケットに入れていたスマホが震えた。 「新

          ぼくがクジラになった話

          【AVレビュー】★★☆☆☆:男優の尻が汚い【♯べいびーめも】

          今や恒例となっている、#べいびーめもシリーズの記念すべき一作目です。 ちなみに♯はハッシュタグと読むようです。 本作は、GREEで知り合った男女がはじめて会うという設定でストーリーが進んでいきます。 冒頭は待ち合わせシーンで、岡山駅の桃太郎像前で女優と待ち合わせのようですね。 女優はEちゃんで、顔はいまいちだけど低身長Gカップということで、顔は30点身体は120点といったところでしょうか。 この場合は顔の点数が低いことが逆にそそります。 さて、このシーンでは男優の挨拶の

          【AVレビュー】★★☆☆☆:男優の尻が汚い【♯べいびーめも】

          【フィクション】復讐からはじまった【SS】

          俺の名はICTべいびー、フリーのツイッタラーだ。 いわゆる「女叩き」を生業にしている。 インターネット上で揶揄されがちな女性像を仮想敵とし、 辛辣な発言をすることでインプレッションを稼いでいる。 俺自身は女に対して特段偏見はないが、俺の発言を支持してくれる男が一定数いる。ただ正直、俺は彼らのことの馬鹿だと思っている。 それどころか、俺自身はなんとも思っていない発言を祀り上げる様を見て、 哀しさすら覚えることがある。 だが、それ以上の馬鹿がこの世界にはいる。 そう、女だ。

          【フィクション】復讐からはじまった【SS】

          ぼくの童貞が奪われたはなし

          高校2年生の初夏の話。 当時より遡ること約半年。 はじめてできた彼女を寝取られた僕はそれを引きずっており、 初夏の清涼感と反して鬱々とした気持ちで日々を送っていた。 そんな日々の中で僕にとって人生のターニングポイントになった日。 その日は、いつものように親友のMの家に入りびたり、 もう何度読んだか分からない週ジャンのページをめくっていた。 そんな中、Mの口より朗報が入る。 「お前の好きなバンド、今度高松でライブやるらしいよ。」 ― 少し話が逸れるが、親友の

          ぼくの童貞が奪われたはなし