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まいにち無職#18「無職、感無量」

無職18日目。
仙台旅2日目の朝は、目覚めると、外からけたたましい蝉の声が聞こえてきた。
命の限り、この夏を謳歌するように鳴いている。

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昨晩は、なきごと対バンライブツアー4本目、仙台公演に参加してきた。
なきごとは、ボーカル・ギターの水上えみりさんと、ギター・コーラスの岡田安未さんの、女性2人組ロックバンドである。

目まぐるしく進む毎日。
バイト、仕事、人間関係に恋人、自分で選んだことだとしても、やはり当たり前の生活を送るのは難しい。

「疲れた。」と声を漏らせば、「みんなも疲れている。お前も頑張れ。」と説教を食らう。
説教されなくてもそんなことは誰もがわかっている。

そして、本当に疲れ切っている人は疲れたと口にしない。
疲れたといったところで何も変わらないから。
疲れたと言葉を発する気力も残ってないから。

限界を迎える前に。
たまには弱音を吐くことも大切。
嫌なことはなかったことに。
疲れ切った日常にほんの少しのなきごとを。

なきごと公式HPより

上記のようなコンセプトのバンドで、私は大変惹かれてしまった。
存在を知ったのは数年前だが、ぐっと好きになったのは割と最近のことである。
前職に在職中、8月に仙台でライブがあることを知り、急いでチケットを取った。
地震や台風など様々な不安があった中で、無事にライブが開催されることとなり嬉しい限りである。

開場前に、付近の公園にて整列する。
通り雨が降った後で、じめじめとして蒸し暑かった。
ライブが始まる前に、なきごとの公式SNSが更新されていた。
なんだろう?と見てみると、なんと対バン相手が新千歳空港でのトラブルに巻き込まれ、開演に間に合わないため、出演キャンセルとなったとのこと。
それに伴い、なきごとのワンマンライブに急遽変更するようだった。
驚いた。
なきごと目当てでの参加なので、ワンマンライブは非常に嬉しいが、対バン相手のberry meet(ベリーミート)の音楽も聴いてみたかった。
通称ベリミと呼ばれているようで、会場付近にはベリミのグッズを身に付けている人たちもちらほら見受けられた。
突然の出演キャンセルや、払い戻しに関するスタッフのアナウンスで、会場周辺は少し混乱していた。

サイン発見!!

キャパシティ250人に対して、私の整理番号は95番。
遅れてチケットを取ったにしては悪くない番号で嬉しい。

視界はこんな感じ

なかなか見えるではないか〜!とほくそ笑みながら開演を待つ。
再びなきごとのSNSを覗くと、berry meetが来られない代わりに、水上えみりとなきごとの対バンライブに変更します、とあった。
なきごとのボーカルである水上えみりさんは、ソロでも活動しているので、ソロとグループの対バンという、なんとも面白いライブ構成となった。
弾き語りも聴けるだなんて、対バン相手には申し訳ないが得した気分になった。

少々時間を押して、水上えみりさんの弾き語りソロからライブはスタートした。
登場してすぐに思った。
なんだこの人、めっちゃ可愛い。
エレキギターを弾きながら歌う彼女の髪の毛が、カラフルなライトに照らされてとても綺麗だった。
華奢で小柄な身体から発せられるパワフルな歌声が、ライブハウス中に響き渡る。
急遽弾き語りをすることになったのにも関わらず、3曲も歌ってくれた。
なきごとの「癖」という曲を弾き語りバージョンで聴けるなんて思っていなかったので、とても嬉しかった。
東京と大阪以外で弾き語りをするのは初めて!と照れたように笑うえみりさんが可愛かった。

そしていよいよ、なきごとのライブが始まる。
弾き語りの時のゆるい雰囲気とは打って変わって、1曲目から激しい盛り上がりを見せる会場。
音数が少ない弾き語りとは違って、ドラムやギター、ベースの音がこれでもかと身体に入り込んでくる。
音の振動が身体に伝わって、気分が高揚していくのがわかる。
ライブの定番曲である「メトロポリタン」では、ステージを自由に動き回って、心の底から楽しそうに歌うえみりさんの姿を見ることができた。
そして、合間合間のMCが印象的だった。
会いたい人には会える時に会う。
好きな人には、照れくさいけど好きだと伝える。
当たり前かもしれないけれど、ついついないがしろしてしまいがちなことを、えみりさんの言葉で伝えてくれた。
さらにえみりさんは今日、私たちに会うことができて心の底から嬉しいんだという気持ちを、1人1人の目を見て話してくれた。
1曲1曲、想いを込めて歌うえみりさんと、その横で柔らかな笑みを浮かべながらギターを弾く安未さん。
私は2人の姿を目に焼き付けながら、この日しか味わえない音楽を、全身で感じたのだった。

なきごと公式Xより

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以下、セットリスト(ネタバレ注意)

【水上えみりソロ】
虫けら′20

Hanamuke

【なきごと】
sniper
ユーモラル討論会
Summer麺
メトロポリタン
またたび
マリッジブルー
安酒にロマンス
グッナイダーリン・イマジナリーベイブ
退屈日和
Hangover
憧れとレモンサワー(アンコール)

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終演後、グッズ購入の列へ並ぶ無職。
そもそもあまりライブなどでグッズを買う方ではないのだが、ステッカーが可愛かったので、スマホケースに入れる用に買うことにしたのである。

ステッカー600円

タオル1,500円と迷って、無職ケチが発動してステッカーにしたのだが、正解だった。
ただの透明ケースに入れていたスマホがなきごと仕様になり、一気に愛着が湧いた。可愛い。

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ホテルをチェックアウトした後は、「miroku(ミロク)」の五橋店へ足を運んだ。
お土産用にお菓子をたんまりと買い、接客の合間を縫って優しいオーナーと心ゆくまでおしゃべりをした。
食事のこと、政治のこと、働くこと。
様々な話題に、それぞれ思うことを話し合う。
私はまだまだ未熟者だが、対等に、同じ目線で話をしてくれるオーナーが私は大好きだ。

愛のこもったお菓子たち
パッケージがシンプルなのも好き

大好きなお菓子屋さんをハシゴすること、ずっと気になっていたブックカフェに行くこと、なきごとのライブ参戦という、仙台での目的を全て達成した私は、予定よりも新幹線の時間を早めて帰宅することにした。
お盆期間の混雑があったが、無事に通路側の席を確保することができた。
早く帰ればその分、ゆっくり身体を休めることができる。
もうすぐリゾートバイトへ向かう私は、より体調管理に気遣うようになった。

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遅延等も無く、青森へ帰ってくることができた。
無事に仙台旅を終えることが出来て、本当に良かった。
2日間大好きなものに囲まれて、無職、感無量であった。
明日からは、リゾートバイト出発の日へ向けての確認や準備を、ゆっくりと始めていきたい。
楽しかった思い出を胸に、また1日1日、生活を始めよう。

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