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島さんぽ

いよいよ、離島での生活が始まった。
昨日は移動日だったので、勤務自体は今日が初めてとなる。
業種は接客(飲食店)なので、過去のパン屋さん、洋食屋さん、カフェ、ケーキ屋さんでの経験がじわじわと活きてくるのではないかと思っている。
初日なので様々なことを手取り足取り教えてもらい、なんとか初日の勤務が終了した。
今日はそこまで忙しくない日のようで、3時過ぎに退勤となった。
賄いに海鮮丼を用意していただいたのだが、それはもう最高に美味しかった。
ありがたいことに夕食の提供もあるのだが、それまでは時間がたっぷりとある。
そこまで疲れてもいなかったので、私は散歩に出ることにした。

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朝方降っていた雨があがって、青空が広がっていた。
空気も澄んでいて、これこそ散歩日和だ。
日焼け止めを塗って、リュックを背負って、いざ出発。

少し歩くと、なんと、野良猫(家猫?)がいるではないか。
あまり警戒心が強くないようで、私が少し近づいても逃げなかった。
今朝、部屋の窓から外を覗いた時にも別の野良猫を発見したので、「どこにでもいるんや〜野良猫〜」としみじみ思った。可愛い。

さらに少し歩くと、船がたくさん停まっていた。
島には漁師さんも多いらしいが、納得である。
海に囲まれた島なら、それはもう新鮮で美味しい魚がとれるのだろうな…と想像しただけで腹の虫が騒ぎ出しそうな私であった。

近くにあったとても小さなスーパーらしきお店に入ってみた。
そこで私は軽く衝撃を受けることになる。
朝ごはんは自分で用意する決まりなので、数日分の材料を買っておこうと思い、豆腐2パックとサバ缶をレジへと持っていった。
家には納豆、しらす、きゅうりがあるから、それとローテーションして食べよう〜と呑気に考えていたらなんと、会計が700円超だったのである。
耳を疑った。
青森なら、というか本州なら300円もしないだろう。
そこで私は思い出した。
島は輸送費がかかるので物価が高いということを。
やっぱりやめますと言うわけにはいかず、泣く泣く700円超の高額料金を支払って、豆腐とサバ缶は私のものとなった。
その後入ったコンビニでは、サバ缶が180円程度(それでも高い)だったので、さらに私はガックリと肩を落としたのであった。
恐ろしや、島価格。
カルチャーショックならぬ、島ショックだ。

気を取り直してさらに奥へと歩くと、神社を発見した。
なんだかジブリに出てきそうな世界観である。
神社や寺になにか惹かれるものを感じる私は、迷いながらも入ることを決めた。

海沿いの道を歩いていた時と違って、湿気を含んだ空気に変わった。
神社という独特の雰囲気のある場所だからか、少し怖くなったが、せっかくここまで来たのだから…という思いが勝り、参拝してから帰ることにした。
本堂らしき建物に入り、島での暮らしが上手くいくように、祈願した。
無人だがおみくじがあったので、賽銭箱へ100円を入れて引いてみた。

「籠の中にいた小鳥が放されて自由にとび歩く様に苦しみを逃れて楽しみの多い身となる運です」

大好きな青森を飛び出して、短期間ではあるが島での暮らしをスタートさせた私にとって、あまりにも的を得たおみくじの言葉に、とても驚いた。
早くも寂しさを感じていた私は、島の神社に祀られる神様に少しだけ受け入れてもらったような気がして、ちょっぴり嬉しくなった。
その後は母と少しだけ電話して、ベンチで海を眺めた。
途中フェリーが見えて、あれに昨日乗って来たんだよな…と不思議な気持ちに浸っていた。

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明日は大人数の予約が重なっていて、非常に忙しくなるようだ。
おみくじの言葉をお守りのように心に留め、始まったばかりの島生活を楽しみながら、雇ってくれたご夫婦のために、来てくださるお客さんのために、やれることをやろうと思う。
無理せず、私らしく^_^

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