冬を待つ人
冷え込む日が続き、冬の足音が聞こえてくる。
日が落ちるのも、随分早くなった。
待ってくれと言ったところでどうしようもなく、季節は移り変わっていくのだなと思った。
私たちは、ただただ冬を待つしかない。
先日、職場で柿をお裾分けしてもらった。
最近、数十年ぶりに食べて大好きになった柿。
もちろんそのまま剥いて食べてもいいのだけれど、ふと思いついてサラダに入れてみることにした。
合うのだろうかと不安になったが、ひと口食べてみてそれは吹き飛んだ。
甘すぎない柿が、サラダにうまいこと馴染んでいた。
野菜と一緒に噛むと、じゅわっと柿の美味しさが口の中に広がる。
サラダに柿を入れるだけなんて!と思っていたけれど、後からネットで検索してみたら、レシピは山ほど出てきた。
けれど私にとっては初めての試みだったし、珍しい組み合わせだった。
挑戦してみて良かった。
また新たな美味しいものに、出会ってしまった。
皆さんは、シュトレンをご存知だろうか。
シュトレンはドイツの菓子パンで、ドイツとオランダでは、伝統的にクリスマスに食べるものとして有名だ。
私は今年こそ、シュトレンを食べたい。
一昨年も昨年も、食べられていない。
しかし今年も、クリスマスから年末年始にかけて、仕事が山場を迎える。
だから、少し早めの今月下旬に母と2人、シュトレンを食べようと約束した。
仙台にある、大好きなお菓子屋さんのシュトレンを取り寄せることにした。
徹底的に素材にこだわっていて、作り手の想いがこれでもかと詰まったシュトレンを、どうしても食べたかった。
洋酒漬けされた有機フルーツ、スペルト小麦使用、砂糖や乳、添加物不使用の、特別なシュトレン。
母が、就職祝いだと言ってご馳走してくれるという。
嬉しくて、楽しみで、待ちきれない。
クリスマスは、恋人と過ごすのも、友人と過ごすのも、家族で過ごすのも、もちろん1人で過ごすのも、自由。
クリスマスを楽しむ権利は、誰にだってある。
クリスマス当日は仕事でバタバタしていると思うけれど、少し早めにシュトレンを食べて、クリスマス気分を味わうつもりだ。
恋人なんていらないのかもしれない。
思わずそう思ってしまいそうなほど、恋愛は難しい。
マッチングアプリを始めて、半月ほどが経つ。
数人の方と、会う約束をしてみた。
楽しみな気持ちと、不安な気持ちが半分ずつ。
もう2年ほど1人なので、誰かと一緒にいることの煩わしさを、私は受け入れられるのだろうか。
譲れない自分のこだわり、自分のためだけの時間、1人でいることの楽さを知ってしまった。
1人でいることに、慣れきってしまった。
「おひとり様」に優しい世界になってきたけれど、私はそれでも、家族でも友人でもない存在を求めてしまっている。
1人はやっぱり、寂しいから。
うまく言えないけれど、誰かと手を取り合いたい、支え合って人生を歩みたい、そう思うのだ。
うまく行くかどうかは別として、誰かと会うときはその人との時間を目一杯楽しんで、たくさん話ができたらいいなと思う。
寒い寒い冬がやってくる。
毎日を頑張って生きている私に、今年も終わりに向かってひた走る今、良き出会いがありますように。