ODAコンサルティングから次のステージへ。会社として大きな躍進に挑む「ビジネス」での参入と展開 ＜前編＞
～トルコでの事業展開に勢いをつけた私たちの知財～
アイ・シー・ネットの原点はODAコンサルティングです。ODAコンサルティングは大きくハード系とソフト系に分かれます。ハード系は都市開発やインフラ整備など、ソフト系は人材育成や技術移転などを手掛けます。
私たちは、創業から30年、ソフト系コンサルタントとして現地に入り込み、事業を拡げてきました。農業や水産などの一次産業から、保健・医療や教育など、20分野以上で開発途上国の政府や公的機関とともに、社会課題を解決するプロジェクトを現地で実施しています。
さて、タイトルに書いた、ODAの次のステージとして「ビジネス」に挑む、が今回のテーマです。
なぜ、ODAからビジネスにつながるのか。それは、ビジネスとして市場が未開拓の国、または市場がほとんどない国に、先んじて私たちがODA事業で参入してきたことが関係します。民間企業が簡単に入り込めない国で、30年間、現地に足を運び、情報を収集し、人々とのネットワークを持つ、という強みを得ました。これが私たちの知財です。
ODA事業が対象にしてきた多くの国の市場は大きく変化し、日本企業のビジネスとしても参入できる可能性が生まれています。日本企業が未知の国である市場に、アイ・シー・ネットが持つ知財を活用していく、これが次のステージ「ビジネス」での参入と展開です。
ビジネスと聞くと売上至上主義とイメージしてしまうので、先にお伝えしたいのは、私たちの原点にあるのは、世界の課題解決への使命感と情熱です。ビジネスという持続可能なアプローチで社会課題を解決するという信念があります。今回は、アイ・シー・ネットのビジネスの取り組みを具体的にお伝えするため、トルコで事業展開する学研トルコの代表取締役社長、畑中に話を聞きました。
畑中 慶
株式会社ミスミにてインド、インドネシア、中国にて新規事業や現地法人立上げ含めた事業責任者を経験した後、アマゾンジャパン合同会社にてデジタルマーケティング分野のコンサルティング部門をリード。2021年 アイ・シー・ネット代表の百田に出会い学研ホールディングスに入社。2021年5月より学研ホールディングス グローバル戦略室 副室長を兼務。2023年4月にアイ・シー・ネットの子会社、学研トルコの代表取締役社長に就任。現職。
トルコに現地法人を設立したきっかけ
アイ・シー・ネットは、トルコでODA事業の産業人材育成プロジェクトの実績が多数あり、現地の事情をよく理解しています。日本が得意とする、工場をロボットなどで自動化させる「産業オートメーション」という分野において、エンジニア育成のニーズが大きいことが、そのひとつです。私たちは十年近く前からトルコの産業人材育成の分野をビジネスのターゲットとして捉えていました。2019年に学研グループの一員となったことをきっかけに、学研の教育事業とアイ・シー・ネットのODAで積み上げた知見やノウハウを掛け合わせたビジネス展開が可能になり、2022年4月にアイ・シー・ネットの子会社としてトルコに現地法人「学研トルコ」を設立しました。
トルコ市場の魅力
トルコのGDP（国内総生産）は世界で19位とかなり上位です。このGDPのうち約22％を製造業が占めていて、労働人口も約3,430万人と非常に多い国です。近年は製造業が軽工業から重工業へ移行していることもあり、トルコでは、産業人材の需要が高まり、育成のニーズも高まっています。さらに国内の急激な賃金高騰によって、今後、製造業の自動化需要も加速度的に進んでいくと予想しています。
学研トルコは、こうした国内の動向をビジネスチャンスとして、産業人材育成に特化した教育サービスを提供する事業を展開しています。事業コンセプトは年齢別に層に分け、入口の若年層を対象にしたSTEAM教育から、リカレント教育と呼ばれる、仕事に役立つスキルを身につけるための大人の教育として産業人材育成を出口にしています。
日本から見るとトルコは遠い国で、情報も少ない国ですが、製造業の規模や労働人口から、私たちがサービスを提供する先として、しっかりと市場があると言えます。
トルコが親日国であることも、ビジネスをするうえで大きなポイントです。外務省の調査によると、トルコ国内の人の6割以上が日本に関心をもち、8割以上が日本と友好関係であると認識しています。このビジネス環境が事業を推進していく際にプラスになりますし、国民性も通ずるところがあるので一緒に働きやすいです。
産業人材育成の市場に挑戦できた強み
2019年に学研のグループ会社になったことで、教材を商品化することが可能になりました。そこに掛け合わせたのが、アイ・シー・ネットがODA事業で長年やってきた、教育工学に基づいたローカライゼーション、いわゆる現地にあわせて教材や研修をカスタマイズする力です。日本のテキストを単純に翻訳して商品化するのではなく、トルコにあった教材で、トルコの人に受け入れられる研修内容にする。ローカライゼーションをするのは簡単なことではありません。ローカライゼーションができるのはアイ・シー・ネットの知財そのものです。
後編では、現在展開している事業の内容と、未来を見据えた事業構想のお話です。＊次回は2024年11月30日公開予定
学研トルコ（Gakken Turkey Innovative Education A.S.）
ウェブサイト https://www.gakkenturkey.com/
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