9/8 月に寄す
大阪市中央公会堂の中集会室にて、大阪クラシック第10公演。大阪フィル首席メンバーによるシューマンとシューベルト。住んでいる場所がバレバレだけど、もう隠しようがないからいいのだ。私は大阪に住んでます。
昨日の深夜に思い立ってチケットを取ったから、埋まっている席の中でいちばん後ろ。奏者はすこしも見えなかった。でも、大大大満足だった。
まず、この大阪市中央公会堂、中集会室という場所に大感激。天井の曲線、ステンドグラス。あたたかい照明。くらくらするほど美しい。贅沢な場所。
最初の一音の広がり方、空気のふっという動き、その軽やかさに私は思わず息をのむ。昔、クラシックのレコード喫茶店でバイトして多くのレコードを聴いていたけど、生でプロの四重奏を聴くというのは初めてかもしれない。
美しい旋律の中に、シューマンの優しさ、強さ、奥ゆかしさを感じる。シューマンのピアノ四重奏曲。個人的に今まで特に思い入れもなく印象も薄い曲だったけど、今日の演奏で大好きになった。特に、第3楽章がいい。
素晴らしかったのが、アンコールの「月に寄す」。シューベルト歌曲の編曲版。
この静かな夜にぴったりの選曲だ。月に寄す、という邦題もいい。
最後の一音が、すっと溶けていく。音が消え、観客全員がふっと力を抜き、そこから盛大な拍手が響き渡る。たまらない。本当にいい夜だった。多幸感。
昨日の心細い気持ちは、すっかり消えた。心が静かにたくましくなっていく。もっといろんなもの、見てみたい。
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