【カユミ下山】6/23上高地58日目
街を離れてシーズン通して激変する自然環境の中で暮らしていると、楽しくて、緩やかでストレス無くても、そう簡単には身体の方が馴染めなかったりする。
虫やらダニやら森の中で暮らしていると、様々な生物たちと共存するわけで、原因不明の痒みに悩まされ、女子一名が急遽町の診療を受けることに。カユミというあだ名をつけ、私と休みを交代するという形で下山する。
奥さんは症状を聞きつけるなり、たまたま来小屋していた行政書士さんを捕まえ、縁もゆかりもない従業員女子を松本まで車で送ってあげるよう取り計らっていた。
見事なさばき。
小屋の奥さんはいつも颯爽と回りくどくなく絶対に断れないオーラを放つ。
私も初年度は随分と虫に悩まされたが、不思議と蚊やブヨにさされない身体になっていった。
歳だろうか…
虫もくわない身体…
主の写真を切り取ってハガキコーナーをちょいと目立たせてから、ハガキを買うお客さんもチラホラ増えてきたようでありがたい。
ポップは偉大である。
最近はホールのひなちゃんと手ぬぐいをパッケージするのが、暇な梅雨時の日課になりつつある。
山小屋のお土産としては手ぬぐいが一般的だが歴史ある我が小屋の手ぬぐいは50年以上デザインを変えていない。
明治期の国学者が小屋の初代じいさんと出会い詠んだとされる和歌が印字されていて、短歌の意味も分かっていなかったので改めて奥さんに聞くと
この池の岩魚を獲って (明神池)
暮らすという
かもんじのおじいさん (初代)
神様みたいになったらしい
という意味の短歌なのである。
そんな手拭いをパッケージしつつホールのヒナちゃんと雑談しながら
上高地の名物デザートを企画して、色々と試作を進行させている。
何かこのシーズンに2人で思い出に残る仕事をしたいねと楽しんでいる。
そんな最近である。
沖縄の実家に頼んだ救援物資が楽しみつつ、囲炉裏の机がマイポジションとなりつつあって、日記やウクレレに助けられる日々。
この間ネネが梅雨時に来小屋した時、詠んだ俳句を数日前に上山した奥さんに伝えたら、とても素直で素敵な俳句ねぇ。と褒めてくれて嬉しかった。
青梅雨や
全身に浴ぶ
上高地
青梅雨という6月の上高地にピッタリの季語を見つけた彼女がメールで知らせてくれた。
緑が濡れて美しく輝く様子が青梅雨という季語にピッタリなのよぉ。
と奥さんもウンウン頷いていた。
カユミさんは無事に医者にもかかり
久しぶりの餃子の王将で楽しんでいる様子。
人が笑うことだけを想像して
日々を気持ちよく送れたら
いいなぁ
無事に落ち着けた一日でした。