深い話
あなたにとって深い話とはどんな内容ですか?
最近、仕事が楽しいと思う時間が増えている。理由は単純で、深い話が増えてきているから。話のジャンルは何でもいいのだけれど、研究にしても、組織運営にしても、個々人の成長や将来のキャリアの話にしても、相手がよく考えて内面に向き合った結果出てくる思考や言葉に向き合うということ自体が、私にとっては楽しい時間である。もちろん、一日に集中できる許容時間もあるから、バランスは重要だけれども。
深い話ができるようになった理由も単純で、質問をしたら自分の頭で考えるということが出来るようになってきたから。そして、質問を宿題として投げかけると、問いを頭の中にアンカリングして、次の話の時までちゃんと向き合って考えてきてくれるようになったから。
異動して2年近く経つけれども、異動当初に意識していたこととして、〇戦略を明確にすること、〇個々の育成をすること、の二点に集約した。両方を効率的に実現するために、①ありたい姿を描いて、②現状把握をして、③そのギャップを認識し課題設定して、④具体的手段を考える、⑤実行した結果を振り返る、というサイクルを回すために、ひたすらこのプロセスを図示して、それに基づいて①~⑤の各項目を1 on 1面談などの機会で、オープンクエスチョンにして投げかけた。時には、上司とのミーティングでも説明したり質問したりした。①~⑤のプロセスというのは、ビジネスでいうと戦略という言葉で表されるし、人材育成でいうとコーチングそのものである。
やってることは当たり前のことだけれど、異動した立場で新しい人間関係の中で継続するには相応に忍耐力と勇気は必要だったように思う。これを続けられたのは、自分の過去の体験もあっただろうし、一方で良い人間関係に恵まれたということもあると思う。うまく自分自身のスキルとリソースを環境に合致できた結果だったかもしれない。
このサイクルを続けることで、個々人のクライアント力が格段に伸びてきたように思う。質問に対する思考力が上がってきたから、それに伴って厳しい質問を投げかけることも出来るようになってきたし、それにまた答えようという姿勢を見せてくれるので、対話は必然的に深まっていく。なんでも言い合える環境で、深い会話が出来たら、多少の困難やトラブルもチームワークを育むための良いイベントになったりする。
最近は私のやり方を模倣して、1 on 1を実施するサブリーダーも出てきてくれた。こんなふうにして、高いマインドを持って戦略構築やコーチングできる人材が増えてきたら、楽しみながら大きい仕事ができるかもしれない。少しだけそんな妄想ができる時間も増えてきたし、引き続き楽しみながらもプロフェッショナルな仕事が出来たらよいかなと思う。