
女子の蝶結び
街で無茶をした女の子は路上で語った。
バスが極彩色のトンネルのまえに到着して、私がくぐってみると極彩色のトンネルは蝶々で結ばれた橋だった。
向こう側にはしゃぼん玉の色をした街があって、その街があなたと私の棲む場所。
蝶々に結ばれたあなたと私が金色にひかるお金と華やぐ心で口のなかを甘くしながら幸せに暮らすしゃぼん玉色の街。
蝶々で結ばれた橋をまだくぐっていないあなたのうしろはもう暗くなりかけている。あかるいこちらへおいでなさい。早くしないと何も見えなくなってしまう。自分まで暗くなってしまう。あなたが倒れるのを何かが狙っている。
いまならば、しゃぼん玉色の街と同じく私もまっている。そうそう、あなたはこちらへ一歩足をふみ込んだ、その調子、もう一歩ふみ込んだ。蝶々で結ばれた橋をそうしてくぐる。
女の子は目を伏せ、ゆっくりと、気が触れる方向へ向けて、アスファルトに寝そべった。