ここなら何を書いても怒られない
起きたら、朝だった。そりゃ起きたら朝が来るのは当たり前で、時間は流れているということなのだけれど、それが僕には苦痛でしょうがない。理想は眠ってそのまま死ぬことだけれど、いつになっても達成されない。心不全になってそのまま死にたい、なんて言うと本当に亡くなった方の遺族に怒られそうだが、(ここからドスの利いた声で)そんなこと言ったって死にたいんだから仕方がないだろ。
とりあえず朝のBGMとして「3markets[]」の「セブンスター」を流す。机の引き出しを開けてセブンスターの箱を出し、一本抜いて箱を戻す。百円ライター(もう百円じゃ買えないが)で火をつけて一息つく。思い出したようにスマホを見て返信する必要のあるメッセージにはどんどん返していく。昨日はグループラインが盛り上がっていたみたいで、何十件も溜まっている。なんだか除け者にされたみたいで不愉快だ。
サビの「死んでしまおうと思った 死んでしまえと思った」という歌詞を聞きながら吸うセブンスターはやっぱり格別だ。死にたい僕の、ざらざらした心にニコチンが染みる。死にたいけれど今すぐ死ぬなんて(怖いし)できないから、こうしてジリジリと命を削っているんだ。長期的な自殺なんだこれは。
一般に、自傷行為は命に拘ることはない。だがタバコは違う。確かに、徐々に、命を吸い取っていく。タバコは規制されていない人生のチートコードだ。必要ない人は吸わなくていいが、必要なら吸った方がいい。
名残惜しくも最後の一口含んだ後、タバコを水入りのペットボトルに投げ捨てる。そして立ち上がって寝巻を脱ぐ。制服を着れば特に何もなさそうな男子高校生だ。こうやって僕の1日は始まって、気がついたら終わっていく。果たしていつまで続くんだろうか。できるだけ終わりが近いといいな。そう思いながら朝食を摂るため食卓のある一階へ階段を降りた。