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「ビジネス x リベラルアーツ」の可能性を探る

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哲学、歴史にアートに文学(そして文化人類学!)。ビジネスとは関係がなさそうなリベラルアーツの知識を、日々の仕事に活かすための視点や方法について考えていきます。
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#つなぐ力

ストーリーとナラティブについて考える:その2 「ストーリーがある」とは、何があることなのか?

ストーリーとナラティブを例にして、カタカナで表現される専門語用語について考えています。 前回は、ストーリーやナラティブの分かりにくさがどのように生まれてくるのかについて考えました。 一般的な話としては、「ストーリーとは?」「ナラティブとは?」と、それぞれの要素をバラバラに考えることもできるけど、具体的な話になれば、2つの要素はつねに物語の全体と深く結びついている。 だから、ストーリーを考えるにせよ、ナラティブを考えるにせよ、つねにさまざまな要素で成り立つ、「システム」と

ストーリーとナラティブを考える:その1 システムのつながりでとらえる

前回のマガジンの記事からだいぶ時間が経ってしまいました。 これまでは、専門用語で表現されることの意味を単に「知識」として貯えるのではなく、自分自身の経験や関連するさまざまな言葉とのつながりの中で理解することが大事だという話をしてきました。 そこで、これから何回かにわたって、具体的な例を引きながら、これまでに考えてきたことの意味を検討していきたいと思います。 検討する専門用語は、「ストーリー」と「ナラティブ」 ここ数年、ビジネスやマネジメントの分野でもストーリーやナラテ

知識と実践のPDCAサイクルをまわして、専門知をへだてる「業界」の壁を乗り越える

こんにちは。ビジネスを加速する「つなぐ力」について考えている市瀬博基です。 「つなぐ力」とは、専門的な知識と、すでに知っていること・経験していることをヨコに結びつけ、柔軟かつ機動的に環境変化に対応していくための力です。 前回は、耳なじみのない言葉で語られる専門用語が生み出す「新しいもの幻想」について考えました。今回も、専門用語から生まれる壁について考えていきます。 それは「業界」の壁です。 「業界」の壁は、別々の場所で、別々の人たちが語ることによって、同じような話なの

カタカナのビジネス用語から生まれる「新しいもの幻想」を乗り越える

こんにちは。ビジネスを加速する「つなぐ力」について考えている市瀬博基です。 「つなぐ力」とは、専門的な知識と、すでに自分が知っていること・経験していることをヨコに結びつける知識やスキルのこと。激しい環境変化に適応するために、これからますます重要性が増してくる力です。 前回は、専門的な用語で語られる知識には、日常感覚との「つながり」をはばむ力が働くので、この壁を乗り越えるために、専門用語をふだん使いの言葉に置きかえることで、すでに分かっていることや経験したことに結びつけて理

ビジネス知識と日常感覚の「つながり」をはばむ、専門用語の壁を乗り越える

こんにちは。ビジネスを加速する「つなぐ力」について考えている市瀬博基です。 「つなぐ力」とは、専門分野をタテに掘り下げるのではなく、さまざまな知識や経験をヨコに結びつける知識やスキルのこと。大きく急激な環境の変化に柔軟かつ機動的に対応するために、これからますます必要となる力です。 前回は、情報のインプットで大切なのは、単にインプットする量を増やすことではなく、インプットした情報を、自分がすでに知っていること・経験したことと、どれだけ深くむすびつけられるかが大事だ、という話

「情報はどれだけインプットすればいいのか問題」の何が問題なのか?

はじめまして。市瀬博基と申します。 協働と対話を通じた組織開発について考えています。 文化人類学の視点でとらえたビジネスやマネジメントについて大学で教えたり、コーチングやAIを中心に対話型組織開発のコンサルティングや研修を行ったり。ビジネス書籍の執筆や翻訳をすることもあります。 ここでは、ふだんあまり触れる機会のないテーマについて書いていこうと思っています。 それは、専門分野をタテに掘り下げるタイプの知識も大切だけど、そうした知識と、関連する分野(さらには、まったく関