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横浜の本牧埠頭へ一人で行った
半年前くらいからずっと海を見に行きたくて、先日ようやく海へ行った。
私文大学生であることの良い点は平日にそこそこ自由に行動できることである。
どこへ行こうかと思案して、みなとみらいが最も行き慣れた海ではあるのだけれども、せっかくなら未知の場所へ行きたかったので本牧埠頭にある横浜港シンボルタワーを目的地にした。
平日の蒸し暑い午後。曇天。どうせ一人なので気候はなんでも良い。
元町・中華街駅を降りて山下公園へと向かう。修学旅行生と高齢者で賑わっていた。ここからシンボルタワーまで5キロ強。1時間半以内の到着を目指す。
氷川丸を横目に山下公園を抜けて、海沿いを南下する。ドンキホーテが見えてきたあたりから、開放的なみなとみらいとはガラッと変わって一気に「ただの住宅地感」が出てくる。あまり面白味がないが、構わずひたすら歩く。
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イヤホンで音楽を聴こうかと一瞬迷って、でもやはり未知の土地の音を聞かないのは勿体無い(たとえ住宅地だとしても)ので、何もせずただ歩く。何分歩いたかわからなくなったあたりで、本牧ふ頭と書かれた青看板が視界に入る。
そのあたりでまた雰囲気が大きく変わって、歩行者は皆無、大通りに大型トレーラーだけがひっきりなしに走り、歩道には大量の缶コーヒーの空き缶。
一人で歩いていて不安になる。交番はあったが、なんだか頼りがない。たまにすれ違う人はトレーラーの運転手と思しき人のみ。しかしながら、引き返すという選択肢を持ち合わせていないため、Googleマップだけを頼りにさらに歩を進める。
本牧埠頭に入ると、右も左もコンテナの山か巨大な倉庫しかなく、私にとっては異世界のような場所だった。もちろん、そこで働く人からしたら単なる職場にすぎず、そこを知らない人々からしたら単なる物流の下支えといったところであろう。
相変わらず歩行者は私しかいない。途中に一人だけ高齢者女性を見かけたものの、不安感は拭えない。
だだっ広い車道は大型トレーラーで埋まっている。倉庫に入りにくるトレーラーとそこを横断したい私のタイミングが重なったことが何度かあって、申し訳なく思った。
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歩いていて感じたのが、視界にはトレーラーが数え切れぬ程映っており、倉庫を出入りする人も稀にいるのだが、人がいるとは思えないような独特の雰囲気である。曇天のせいかもしれない。
荒廃的、とまではいかないが機械やエンジンの音だけが鳴り響く空間において身の安全が少しも保証されていない感覚があった。
喉が乾きすぎて、途中のコンビニへ寄ろうか迷ったけれども、この場所において私は完全にアウェーだったので、怖くなってやめた。
しばらく本牧埠頭を彷徨って、ようやく横浜港シンボルタワーの青看板が見えてくる。その後に自動販売機を見つけて、無事に水分を確保できた。
青看板を目にしてから防波堤沿いを15分程度歩いてようやく横浜港シンボルタワーに辿り着いた。駅を降りてからかなり長かった。正確な時間は測っていないが1時間半はかかったように思う。
駐車場には思いのほか車が停めてあった。確かに、相当アクセスが悪いのでみんなドライブの目的地としてくるのだろう。とりあえず、一般観光客がいることに安堵した。
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そのあとはシンボルタワーの階段を登って展望室から海とコンテナ地帯をひたすら眺めていた。写真を撮ったり色々な考え事をしたりして、満足な時間をすごせたと思う。
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夕方に山下公園付近を散策するつもりでいたので、体力と時間を考慮して帰りはバスを利用した。横浜港シンボルタワー発のバスは平日に2本しかない。
バスはあっという間に山下公園に到着したが、埠頭の独特な雰囲気はバスに乗っていては分からないなと感じた。やはり歩いて来て良かった。
自分の五感と脚をフル活用して得たこの日の経験は、きっと今後の人生においても色濃く残っていることと思う。豊かな一日であった。