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~第137回~「大湯祭前斎の話」

11月30日より、武蔵一宮氷川神社の特殊神事「大湯祭」の前斎が始まりました。 大湯祭は11月30日~12月11日の12日間に亘る長い祭典で、釜で湯を沸かし、その湯により清めを行ったことから「大湯」とされると伝わります。

「武蔵州足立大宮氷川太明神縁起之書」によれば、至徳二年(1385)12月10日に干柴薪を焼いて炉壇のようにし、これを踏む火剣祭礼を行ったとあります。 また、本祭に酉の市がたつことから「十日市(とおかまち)」とも言われ、こちらの名称も有名です。

コロナ禍により2020年は中止・2021年は熊手市のみでしたが、本年はコロナ禍前より規模は縮小されますが開催を致します。 十日市としても知られる祭祀ですが、そもそも神事の為の期間ですので、神職は前斎(11月30日~12月9日)の間、10日の本祭に向け神社に籠り、潔斎致します。

これを「前斎」と言います。 この前斎期間の毎夜19時半に、かつての火祭りを伝える篝火(かがりび)を境内に焚き上げ、神事を行います。

この火にあたると無病息災、火防の御神徳にあずかるといわれております。

また戦前までは、社家の神職が各自参道沿いの家々から号鼓を合図に提灯を持ち祭典奉仕のため参進したそうです。

斎戒規定があり、家族もその期間は斎戒に則り生活をしておりました。 大湯祭の前斎は、その篝火に古の祭祀の面影を垣間見ることができ、氷川神社の悠久の歴史を感じる期間でもあるのです。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕


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