~第218回~「スサノオノミコトと鐵]
武蔵一宮氷川神社の主祭神・スサノオノミコトは荒々しい性格や英雄としての姿、そして疫病を祓う神としてなど多岐にわたる姿があり、由来についても様々な説があります。
まず、神名の「スサ」はスサブ・ススムなどと同源とする説と地名由来とする説があります。
地名由来としては出雲国飯石郡の須佐郷や紀伊国在田郡の須佐郷が挙げられ、スサノオをその土地の首長、または部族の守護神としています。
『出雲国風土記』(8世紀成立)からは、スサノオが出雲一帯で稲田の神や地主神として信仰されていたことがうかがえる一方、信仰の分布が飯石郡や大原郡といった産鉄地域に重なることから、渡来系の製鉄集団に信仰された製鉄神とする説もあります。
鉄に絡み、スサノオによる八岐大蛇退治神話について、斐伊川を八岐大蛇に見立てた鉄産地平定の説話である、とする説もあります。
『出雲国風土記』にある鉄に関する記述としては
「波多小川。源は郡家の西南二十四里なる志許斐山より出で、北に流れて須佐川に入る。鐵あり。」
「飯石川。源は郡家の正東十二里なる佐久禮山より出で、北に流れて三刀屋川に入る。鐵あり。」
とあることに加え、横田郷、三処郷、布施郷、および三澤郷の4つの郷を
「以上の諸々の郷より出す所の鐵、堅くして、尤も雑具を造るに堪たふ」
という記述が知られています。
鐵は鉄のことで、古代日本の出雲国では川から採取した砂鉄から鉄を作り、鉄器に加工する技術が存在し、農具や日用具などが生産されていたことが想像できます。
出雲の鉄。
出雲は古来「たたら」と呼ばれる伝統技法による製鉄が盛んに行われた地域でした。
日本刀を生み出す唯一の原料「玉鋼」も現在、奥出雲でしか作れません。
古代、出雲で信仰されていたスサノオノミコトと製鉄の文化。
この繋がりもまた、スサノオノミコトの御姿の1つなのです。
〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕
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