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~第57回~「須佐之男命と大己貴命の話し」
現存する日本最古の歴史書「古事記」は、和銅5年(712年)に太安万侶が編纂し、第43代天皇である元明天皇に献上されたものです。
古事記に記されている神話の中で最も有名なものの一つが「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治」でしょう。
大蛇を退治した須佐之男命(スサノオノミコト)は氷川神社の主祭神です。
神話の中に多く登場する神様としては、他にも「だいこく様」として知られる大国主命(オオクニヌシノミコト。大己貴命・オオナムチノミコトとも)がいます。
大国主命は須佐之男命の6世の子孫です(『日本書紀』正伝によると息子とも)。
『出雲国風土記』などにはオオナムチ・オオアナムヂ等と記されており、当社では大己貴命(オオナムチノミコト)としております。
この神様は兄弟神の八十神(ヤソガミ)に従い、稲羽(因幡)の国へ八上比売(ヤカミヒメ)に求婚しに行く際、ワニ(サメ)に皮を剥がれて苦しんでいた素兎(シロウサギ)を助けた神話で有名です。
その後、八上比売が結婚相手に大国主命を選んだ事を怒った八十神に2度殺されましたが、その都度生き返り、須佐之男命のいる根の堅州国(カタスクニ)に逃げ延びます。
そして須佐之男命から与えられた試練を乗り切り、生大刀(いくたち)、生弓矢(いくゆみや)などを持って帰還し、八十神を追いはらいます。
大蛇を退治した須佐之男命や、理不尽な事や環境に挫けずに立ち向かう大国主命のお姿は、今の私たちにも必要な心の強さを教えているのではないでしょうか。
〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕