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第191回 氷川風土記 「元始祭と太安万侶」

1月4日付の東京新聞に『「能登の災害 終息祈る」 大宮・氷川神社 三が日に200万人の参拝客』と題した記事が出ました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/300335
この前日の1月3日、武蔵一宮氷川神社では「元始祭」が執り行われました。

元始祭は皇位の元始を寿ぐもので、もともとは明治5年に制定された、1月3日に宮中三殿で行われる天皇の親祭(天皇がみずから神々をおまつりになること)です。
明治41年制定の「皇室祭祀令」で大祭に編入され、昭和2年の公布で「祭日および祝日」と定められ、戦前までは国の大祭とされました。
戦後は国民の祝日からはずれましたが、昭和23年以降も宮中では従来通りの元始祭が行われ、武蔵一宮氷川神社や全国の神社でも元始祭を斎行し、皇統の安寧と皇室の弥栄を祈っております。

ところで、この「元始」の名称は『古事記』序にある「元始綿邈」からとったとされます。
この序は、『古事記』を書き記した太安万侶によるもの。
太安万侶は長い間「実在するのか・しないのか」という論争がありましたが、昭和54年に奈良市此瀬町の茶畑で偶然に墓が発見されて結論がでました。

そしてこの墓は昨年も話題に。
昨年10月、太安万侶の墓は死後20 年以上たってからつくられた可能性があることが県立橿原考古学研究所の調査で明らかになったのです。
元始祭そのものの由来もさることながら、言葉をたどっていくと古代日本の景色までが目の前に広がってまいりますね。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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