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学校へ行かない長男は意外とモテる。

息子が学校へ行かない。

思えば、小学一年生の時から息子は学校が嫌いだった。
宿題が面倒くさい。先生に叱られる。学校まで歩いていくのがしんどい。

「あぁ、保育園に戻りたい」
と刹那げにつぶやく息子には少し笑ってしまったが、たたでさえ好きでない場所に、重いランドセルを背負って片道20分を歩き、わざわざ叱られに行くのだから、そりゃ息子の気持ちもわからんでもない。

小学4年生になってついに、学校に行きたくないと言い出した。
いや、これまでも学校に行きたくないとは言っていたが、今回ばかりは様子が違う。
息子は一度決めたら誰の意見も聞こうとしない頑固者だ。
頭まですっぽりと布団をかぶり、行きたくない、絶対に行かないと主張する。私が布団をはがし、なぜ行きたくないのか、学校で何かあったのか問いただすも、息子はいやだ、とにかく行きたくないの一点張り。

布団をはがす私。はがされた布団を手繰り寄せ潜る息子。はがす、潜る、はがす、潜る、の押し問答が続き、その日は私が折れた。

その頑固さが勉強に向いてくれたらな、とぼんやり期待してみるけれど、今のところ彼の情熱が向かうところはYouTubeとゲームだけである。

息子が学校に行かない日々はしばらく続いた。というか、現在進行形で続いている。

ある日は、息子が
今日は10時半に学校へ行く
と宣言したので、私が学校へ送って行くことにした。

教室まで送り届けると、
クラスメートが
「〇〇くん!」と息子に声をかけてくれた。
笑顔で手を振ってくれる子もいる。

先生が授業をとめて、
「〇〇くん来てくれたねー!みんな、〇〇くんがいないと算数の授業が盛り上がらんって話しとったんやで」と暖かく迎えてくれた。
後から聞いた話だが、息子が得意な算数の授業では、先生がわざと息子を指名したりみんなの前で褒めてくださったりと、息子が活躍できるように気を利かせてくれているらしい。

なんたるVIP待遇。わたしは教室に入っただけでこんなに歓迎されたことないぞ。
息子が羨ましくなる。

5限が終わったら迎えに来てと息子が言うので、まるで金持ち坊ちゃんのじぃやのようにいそいそと教室まで迎えにいったのだが、
廊下に出ていた隣のクラスの女の子が帰ろうとする息子に気づき
「〇〇くん帰っちゃうのー?なんでー、調子悪いの?」と声をかけてくれた。
めちゃくちゃ可愛い女の子である。
「うん、ちょっとね。」
と恥ずかしそうにする息子に、美少女は
「そっかぁ、また明日ねー!」と言いながら両手を合わせてハイタッチをした。

こいつ、、モテとるやないか!
と母は完全に妬いた。

宿題をせず、送迎付きで学校に通い、教室に入れば歓喜され、美少女とハイタッチとは。なかなか羨ましい小学校生活である。

もちろん、息子なりに色々と悩んではいるのだ。
授業の途中から学校に行ける日もあれば、前述のように布団に潜って引きこもる日もある。

調子の良い日の息子は、登校する時間を自分で決めて、
〇時に学校まで送っていってほしい。
と宣言する。

自分で決めるのはある意味自主性があって良いことだと思うのだが、
息子の気分で毎日送り迎えの時間が変わるのは、融通が利く職場で働いているとはいえ、私のスケジュール管理がなかなか難しくなる。
そこで、小学校への送迎は義父(息子にとっては本物のじぃや)にお願いすることにした。

本物のじぃやは金持ち坊ちゃんのじぃやばりに息子に対して優しく忠実である。

息子が
〇時に学校に送って
と頼むと、

じぃやは
〇時に家を出発するの?それとも、〇時に学校に到着するの?
と問う。

家から学校までの距離、車で3分。
息子にしてみたらどちらでも良いのだろうが、
うーん、〇時に家を出てほしい
と答えている。

人より学校に行けていない息子だが、
こういうところで社会性が身につくのかな、
と思ったりもする。

今日も息子は布団に潜り
学校へ行くのか行かないのか、行くなら何時に行くのか、それは家を出る時間なのか、学校に着く時間なのか
葛藤を繰り返して生きている。

たくさんの暖かくて優しい人たちに守られながら。

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