今や日本画が世界で一番面白いアートなのだ/一日一微発見476
割引あり
個人的には、こんな愉快な本はない。 それは『辻惟雄最後に絵を語る』である。
70年代に、名著『奇想の系譜』を著した辻惟雄が「いい残したことは、だいたい書いてあります」と言う93才の語りおろし本である。出版元の編者はすばらしい仕事をされたと思う。
僕は相変わらず、日々多忙であるのだが、日本という国はありがたくて、どこかの美術館で必ず珠玉の日本美術展をやっている。
忙中閑にすべきことは「和物」を体験することだと思う。毎日、中華の油やフレンチのソースですごせないように、我々の身体には「和」が必要なのだと思う。これば は単なる反動的な「保守的」な考えなのだろか?
つい数日前に六本木でMTGがあり、そのあと一時間ほど時間があったので、まよわずサントリー美術館にとびこんで、没後300年記念の英一蝶の展覧会を見た。ひと言でいえば「喜遊の最高境地」の絵だろう。
喜遊に意味はない。
一蝶は元縁の町絵師であり、将軍に失礼なことを言ったばかりに投獄されたり、はては12年間の三宅島に島流しにあった。
しかし、彼の絵師として腕はすばらしいものであり、ずらりと陳列された作品の絵の画力は上品である。
それでいて描かれたものは人であれ動物であれ、想像上の者であれ、実にこなれていて、動的に活写されている。軽い。その軽さの原因は、彼が松尾芭蕉門下の人たちと深く交わったことにある。
また、吉原通いに精通し、はては太鼓持ちとしての芸にもたくみだったというエピソードもユニークだ。
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