【書評ふたつ】桜庭一樹 赤朽葉家の伝説
こちらも数年振りの再読。
何回読んでも面白かった。
桜庭一樹さんの小説は「私の男」も有名であるが、かなりインパクトの強い作品なので(私は好きです)、こちらのほうが読みやすい感じかなと。
久しぶりにニパターンの書評を書いてみました。
※以下、ネタバレ含んだ書評となりますのでご注意ください。
桜庭一樹 赤朽葉家の伝説
【書評通常バージョン】
あなたは未来を予知したいと思ったことがあるだろうか。
主人公である万葉は、「千里眼」を持っていると言われ、いろいろな未来を予知する。
ただ、予知した未来はつらく、哀しいものが多い。
特に、息子の泪に関わる未来を予知した場面は、読んでいるこちらもつらくなった。
そして、ずっと万葉のイメージとして浮かぶ空飛ぶ一つ目男。
その男が誰なのであるかは早めに判明するのだが、なぜ飛んでいるのか、どのような意味を持つのかは最後にやっと判明する。
こちらが判明する過程もまさかのミステリー仕立てとなっており、最後はハラハラさせられる。そして、ほろりとさせられる。
万葉・毛鞠・瞳子の女3代記がなかなか面白い。
私は瞳子と同年代なので、彼氏ともグダグダし、偉大な祖母や成功を収めた母のようにはなれず悩む瞳子に共感する部分が多かったが、毛毬と親友である蝶子のエピソードもよかった。
大河小説っぽいが、普段ライトノベルを書いている作者さんなので、文章はとても読みやすい。
わたしが好きな近現代の出来事・文化・ファッション・経済の話もたくさん含まれており、読んでいて楽しかった。
赤朽葉製鉄の事業変遷については、なにげに勉強にもなった。
【書評ライト版】
・万葉の養父母がとても良い方。子育てにかなり苦労された時期もありそうだったけど、最後まで幸せそうでよかった。
・みどりと万葉の関係が面白い。女の友情って面白い。万葉の懐、広いな。
・豊寿がかっこよすぎる。良い意味での昔の男!
・真砂の戒名はそれでよいんですか。
・毛毬と蝶子のビジュアル見てみたい。きっと二人はベクトルが違うタイプの超絶美少女なんだろうな、。
・ホントに毛毬って百夜が見えてなかったのかな、、
・百夜怖い。。周りにいてほしくない。。
・百夜の不倫相手が健在なのがリアル。きっと妻子と普通に暮らしてるんだろうな。
・瞳子の悩みがつらい。自分が生まれてきた意味とか考えたら病んじゃうよね、、
・アイラが元気でよかった!
・まさか最後に瞳子が三城に救われると思わなかった。ここから幸せになってくれ!
以上となります。
面白かったので、また読み返そうと思います。