あらゆる世界観にてオンナは遊ぶことができる、の巻。
香水の選び方は、恋人の選び方とよく似ている。
あなたはどう選んでいる?
いつものように私事を一方的にべらべら語る。
20代のころは、透き通ったブルーやマットな白にシルバーなどのさわやかなボトルに、香ってみたら色気を感じるようなものを好んだ。
イヴ・サンローラン クーロス
ジバンシイ ウルトラマリン
ジョルジオアルマーニ アクア ディ ジオ
当時の彼氏たちもそんな感じであったような気がする。
しかし、全てメンズ。
うん、まったくもって、当時から自分の女性性などかけらも認めていなかった。
そこからもおっさん香水ばかりであまり変わっていない。
フリンしまくりアンダーグラウンドつくりまくりの頃は、もうそのものずばりである。
GUCCI ギルティ
ヴェルサーチ エロス
罪とエロス。
我ながらなんと単純な。
ちなみに、この2つをつけるおっさんは、単純でまったくキケンではないと思う。
危ないのはレディースや、甘い香りを纏う男だ。夢とうつつの区別をあえてつけない。
メンズ香水をつけなくなったきっかけは、トム・フォードの香水のちいさな量り売りをいくつか取り寄せたことであった。
憧れの。
トム・フォード。
お客さまでも、こちらを香らせてらっしゃる方はほんとうにすてき。
むかぁし小娘のころ、阪急メンズ館のブティックにどきどきしながら入って、お世話になった方へのプレゼントにと色々試させてもらったときのしあわせったらなかった。
店員さんはもちろん、オールバックに口髭、全身トム・フォード。
オトコの体に滑らかに沿うようでいて、肩や胸板をさりげなく盛り上げている。
あれは現代の鎧である。
数人のジェームス・ボンドがすぐそばを歩いて声をかけてくれるようなときめき。
選んだ香りは、ノワール デ ノワール。
もう名前からして美しいではないか。
さて、その時は、男の美学がこれでもかと満載されたブティックですてきなオトコが目の前に居たわけである。
どれだけ香っていても、なんの違和感もなかったけれど。
注文した香水が届き、私の部屋で、私がつけようと香らせたその香りたちには。
違和感しかなかったのである。
ちっともすてきじゃなかった。
そのとき私は完全に敗北した。
「ああ、私はオンナなんだ」と実感したのである。
トム・フォードは男くさい男の美学や男のロマンを形に現しているブランドである。
ここに私の入る余地はない。
男の土俵に入って、おんなじ競技で争うことは、私の望みではなかったのだ。
あらまあ。
それからは、毒気と色気にまみれていて、複雑のうちに真っ直ぐ芯があり、ラストノートで純粋な可愛い香りに変わる香水が好きになった。
ブルガリ ゴルデア ローマンナイト
アニックグタール トゥニュ ドゥ ソワレ
とくに後者は「グルマン系」と呼ばれる「おいしい香り」であるので、おいしいオンナでありたい諸賢諸姉にはぜひまとっていただきたい。
そんな気持ちで、我が恋人TBSさんにそのオトコのためのすてきな香水を全部あげた。
要らないからあげる、って失礼なんやけど、よかったら。
彼はそういうのは気にしない性質らしく、くれるのならもらう、と淡々と受け取ってくれた。
ああ、私の恋人のからだからトム・フォードが香るのね。
ひとりで妄想してときめいている私に、TBSさんは言った。
なんやこれ。くっさ。
なんでやねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
あんたいいトシしたおっさんやのに!!!!!!!!
いちばんそれが似合う年齢やのに!!!!!!!!!
私のときめきを返せ。なんか買え。
まあ、しあわせなんてこんなもんである。
自分用の新しい香りには、ペンハリガンのエンプレッサが気になっている。
女帝よ女帝。君臨するのよ。うふうふ。
今回のドーパミン
●香りは鎧でもあり世界を構築する魔法でもある。
●なりたいオンナをイメージして、その世界観を持っている香水を選ぶ。
●各種揃えるもよし、憧れを一本決めるもよし。
●理想と現実のギャップもまた可愛らしく愛おしくしあわせである。
読んでくれてありがとう。
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