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*前回のあらすじ* 青年の正体はリチャード王子だった。「ガラスの靴がぴったり合う女性が、王子の結婚相手にふさわしい」という魔法使いオーリーの言葉に従い、リチャードはその策に乗ることにする。 「あのエラという少女について、気になることがある」 リチャードは足を組み直した。 エラは、明らかに貴族であるにもかかわらず、粗末な服を着て平民のフリをしていた。お供も連れず白昼堂々と街を歩く姿から、貴族の娘がお忍びで出歩いているとは想像し難い。リチャードが問うても、頑なに自分は使用人で
*あらすじ* 継母たちに虐げられている少女、エラ(シンデレラ)。彼女の味方は執事のギルバートだけだった。継母は屋敷を手に入れるため、エラを襲わせるが、ギルバートにより阻止される。翌日、街に買い物に出たエラは、不思議な青年にガラスの靴をもらうが、その正体は第一王子リチャードだった。 エラは街を出て、買い出しの品を老馬の背にくくりつけると、足早に帰途に就いた。すでに西の空が茜色に染まり始めている。いくら馬に乗っているとはいえ、夜道を女一人で進むのは危険だ。 エラはガラスの靴を懐
*あらすじ* 継母たちに虐げられながら、屋敷を守るため召使のように働く少女・エラ。彼女はある日、街で不思議な青年に出会いガラスの靴を贈られる。帰宅すると継母たちの姿はなく、不審に思って広間へと急ぐが…。 果たして、そこにはギルバートがいた。しかし、継母や姉たちの姿は見当たらない。いつもなら、用もないのに広間でたむろっては、お喋りばかりしているのに。 「ギルバート」 エラは扉から中に入り、声を掛けた。 ギルバートはソファに腰かけたまま、深く項垂れている。豪華な華の刺繍が美