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シンデレラの策略7
*あらすじ*
継母たちに虐げられている少女、エラ(シンデレラ)。彼女の味方は執事のギルバートだけだった。継母は屋敷を手に入れるため、エラを襲わせるが、ギルバートにより阻止される。翌日、街に買い物に出たエラは、不思議な青年にガラスの靴をもらうが、その正体は第一王子リチャードだった。
エラは街を出て、買い出しの品を老馬の背にくくりつけると、足早に帰途に就いた。すでに西の空が茜色に染まり始めている。いくら馬に乗っているとはいえ、夜道を女一人で進むのは危険だ。
エラはガラスの靴を懐にしっかりしまい込むと、フードを目深にり、西日で照らされた道をひたすら進んだ。
エラが無事、屋敷にたどり着いたのは、日没近くであった。
馬を小屋に戻し、勝手口から中に入る。買ってきた食材―昨日ギルバートが買ってきたものに品質は劣るが、保存のきく乾燥果物など―を貯蔵庫に素早く入れると、エラは身なりを整えて広間に向かった。
―ギルバートは今日、広間の掃除をすると言っていたわ。前回から日が経ってしまったから、ずいぶん埃がたまってるって。もう終わったのかしら。
広間の前まで来たとき、エラは屋敷の異変に気付いた。いつもなら、足音や継母たちのかまびすしい話し声が聞こえてくるのに、それがない。
エラはぐるりと辺りを見回した。
誰もいない。物音ひとつしない。
「…おかしいわ」
ふと、広間から続く階段の踊り場に目が留まった。そこには小さいが、美しい風景を描いた絵が飾られていた、はずたった。
「ない…」
エラは急いで階段を上り、絵が飾られていたはずの場所を確認した。それはエラが屋敷にある絵の中で、最も気に入っていたものだ。お金を工面するために多くの美術品を売った後も、最後まで残っていた貴重な絵画でもある。
しかし、何度見ても、それは見当たらなかった。
「どうして…」
嫌な予感が頭をかすめた。胸騒ぎがする。
―もしかして、ギルバートが掃除の間、どこかに移動させたのかもしれない。
そう冷静に考えようとしても、心のざわめきは落ち着かなかった。
エラはギルバートを探そうと、階段を降り、広間の扉を押し開けた。
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