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物書きがオススメしたい映画100選「ゾンビランド」

初回に選んだのは、2009年のアメリカ映画「ゾンビランド」。

なんともB級映画感が漂うが、この映画がなんとも言えず面白い。

ゾンビがテーマなだけあって割と過激なグロがちらほら見え隠れしているので、R15指定映画となっている。

最初っから「うわッ」と思うほど飛ばした血みどろ描写があるので、個人的にはR15以上でも苦手な人には注意してほしい。

しかしこの映画の面白さは、そんなB級なところじゃあない。

パッケージにも載っている4人の登場人物。これがどれもしびれるほどにいい味を出していて、絶妙に愛おしいキャラなのだ。

主人公・語り手が左から2番目、くるくるパーマの青年・コロンバス。

人と関わることが苦手、赤ん坊が苦手、ピエロが苦手。と世の中怖いものだらけの彼だが、その性質に似合い、性格もなんともヘタレで慎重派。

でもこの彼の几帳面さが、語り手になるととっても面白い個性を発揮する。

彼は突如現れたウイルスによってゾンビになった人々の中、なんとか生き残り離れて暮らしていた家族の元を目指す。

対人恐怖症でほとんど部屋から出ることのなかった彼が、ゾンビ世界でなら外に出られるのだからちょっぴり皮肉な話。

しかしそこはどこまでも几帳面な彼。外に出るにしても自分なりの生き残るためのルールを作り、それをきちんと守りながら生きていく。

その道中で出会ったのが、一番左に立つ屈強な男・タラハシー。

バッタバッタとゾンビをなぎ倒して歩く生粋のゾンビハンター。傍若無人で尊大な彼だが、思いの外情に熱い上に男から見ても圧倒的にかっこいい。

慎重派と勇敢派の珍道中でも、また出会いがある。それが右側に立つ姉妹・ウィチタとリトルロックだ。

可愛らしく綺麗な二人だが、愛嬌だけでなく度胸も男並み。銃を持った二人の男を、知恵と度胸で騙し抜くのだ。

その姿はある意味で自立した現代女性っぽい。自分が「女性」だとちゃんと自覚した上で、あえてそれを武器に近づいてくるあたりもたくましくて好きだ。

そんな誰もがクラクラきてしまうような姉・ウィチタに、何度も騙されながらもコロンバスは恋心を抱く。

しかしヘタレのコロンバスに彼女がいたはずもない。ぎこちなく会話する二人の様子は、思わずゾンビの存在を忘れさせるちょっとしたスパイス。

どんなにシリアスなサスペンスでもミステリーでもパニックでも、やっぱりLOVEは重要だよね。

でも妹・リトルロックもリトルロックでちゃんとキャラがしっかりしている。世間知らずでまだまだ子供だけど、銃も使うし男も騙す。侮れない12歳だ。

でもやっぱり子供らしいところもあって、姉妹はリトルロックの要望で遊園地を目指しているのだ。知らないことは知らないというし、教えてもらったら嬉しそうな顔もする。

独身貴族かと思われたタラハシーといると、まるで父親と娘みたいに見える。


結末のネタバレは避けるが、この映画はおそらくネタバレしても面白い。コロンバスのユーモアセンスのある語り口、タラハシーのイケオジ感、姉妹の度胸・愛嬌は見てみなければ決してわからない。

B級映画と侮ることなかれ。これは面白い。

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七屋 糸
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