一人で抱え込まないで!市原市の子育て応援団【こども家庭センター】②
先週から引き続き、市原市こども家庭センターにお邪魔しております。
市原市役所第1庁舎内にある、児童福祉を担当する①子ども家庭総合支援課。
いちはら子ども未来館(weほーる)内にある、母子保健を担当する②子育てネウボラセンター、児童発達支援を担当する③発達支援センター地域支援室。
この3箇所をまとめて市原市こども家庭センターと言います。
いただいたパンフレットを見ると【妊娠・出産・子育てのワンストップ相談窓口】との事。
実際取材してみると相談窓口でもあるけれど、一緒に並走して子育てをする応援団であることがわかりました。
こんな心強い応援団が市原市にあるなんて!
今週はいちはら子ども未来館(weほーる)を紹介いたします。
②子育てネウボラセンター(いちはら子ども未来館(weほーる)内)
◆保健師との繋がりをつくり寄り添って支援
――こちらは妊娠期から未就学児をメインにサポートされていますね。
主な活動を教えていただけますか?
保健師/飯高さん(以下、敬称略:飯高):スタートは妊娠届出からになります。
産院で妊娠判定があった方は、産院の医師から子育てネウボラセンターを紹介していただき、子育てネウボラセンター相談専用ルーム【通称MOM(マム)】まで届け出ていただきます。
市原市内ではこちらの一か所で、全ての妊婦さんに対して保健師が面談をさせていただきます。
――市原市内の妊婦さんは、全てこちらに来られるんですね。
飯高:そうですね。
そこで出産・子育て応援交付金事業があるので、面談された妊婦さんに対して、経済的支援として妊娠期に1回5万円の給付をさせていただいています。(出産応援給付金)
面談では妊婦さんの話を丁寧に伺います。
支援者はいるのか、この方に必要なサービスは何があるのか、逆に全てご自身でセルフプランを立ててやれそうなのか…。
それぞれの状況に応じて支援計画(サポートプラン)を立て、市原市が行っているサービス等を含めてご案内をします。
また、支援者がいない方や、お母さん自身が子育てを前向きに考えられていないような方には、子ども家庭総合支援課と連携して支援していくこともあります。
経済的な面で不安があれば、生活福祉課とも連携して支援していきます。
――面談は大体一人一時間ぐらいですか?
飯高:そうですね。
一人一時間ぐらいは必要なので、この6月から面談を予約制にしました。
必ず予約が必要というわけではないのですが、予約をしていただくとお待たせすることなく、時間にゆとりを持ってお話ができる体制になっております。
所長補佐/太田さん(以下、敬称略:太田):核家族化の進展とともに、地域との繋がりが希薄化している今の時代、お母さんたちが生きづらさを感じ、孤立してしまう傾向があるんです。
妊娠届出を契機に、保健師との関係を作って寄り添って支援していくことに主眼を置いて、平成29年度から子育てネウボラセンターという組織ができました。
――なるほど。ここまでが妊娠期のお話ですね。
それ以降はどのような支援をされていますか?
飯高:妊娠中に安心安全に出産・子育てができるようにお手伝いをしています。
あとは出産後の相談先ということで、子育て健康相談もMOMでやっています。
また新生児訪問では、赤ちゃんの発育発達を確認し、産婦さんの話を聞きながら、困っている事の対応を一緒に考えることもしています。
そこで出産後面談された方には、経済的な支援ということでお子さん1人につき5万円の給付もあります。(子育て応援給付金)
――妊娠期と出産後で2回、それぞれ5万円の給付金があるんですね。
産後のお母さんたちのケアもされているとのことですが…。
飯高:はい、産後にうつ症状になる方もいらっしゃいます。
それを見逃さないように、産婦健診でお母さんに質問票を書いてもらいます。
産後うつの指標で、ちょっと点数が高い方には電話や家庭訪問をさせていただき、産後ケア等のサービスを紹介し、必要であれば医療機関に繋ぐこともしています。
太田:産後、お母さんたちにしっかり心身の状態を回復してもらうため、宿泊・日帰り・訪問による育児のサポートや、産婦さんが休息できる産後ケア事業があります。
飯高:あとは家事サポートもありまして、社会福祉協議会でやってらっしゃる家事サポート支援を合わせて使ってみる方法がありますね。
(詳しい参考資料は、【「生活の困りごと」の頼みの綱!市原市社会福祉協議会とは】の記事をご覧ください。)
◆知らなきゃ損「いちはら子育て応援アプリ」「母子保健オンライン相談」
――子育てに関するアプリがあるとお聞きしたのですが。
飯高:いちはら子育て応援アプリ【母子モ】と呼んでいるものですね。
アプリを入れてもらうと、登録していただいたお子さんの月齢に合わせた案内が届くというサービスです。
太田:電子母子手帳と言われているものですね。
複雑な予防接種のスケジュール管理もできますし、予診票もデジタル化されていて記入する手間が省けます。
また、医療機関もすぐに調べられるんです。
飯高:今、同時接種といって、数種類の予防接種を一度に接種するんです。
今まではそのために予診票を何枚も書いていましたが、それが1回の入力で済むのがデジタル予診票というものです。
医療機関の協力も必要になるので、全部の病院で実施されているというわけではありませんがそういうことも始まっています。
――あとLINEで子育てに関する相談ができると伺いましたが?
飯高:母子保健相談は、ここに来て相談される方も多くいらっしゃいますが、「ここに来るのも大変…」という方にはLINEでできる母子保健オンライン相談があります。
――結構利用があるんですか?
飯高:そうですね、LINEでの相談ですと24時間いつでも相談できますので、結構利用があります。
ただし、すぐに回答がもらえるというわけではありません。
【いつでも相談(テキストで相談。原則24時間以内に返信)】
太田:相談には一応2パターンありまして。
今言ったものの他に、医師と直接チャットやビデオ通話ができる、1枠10分の予約制のものもあります。
【夜間相談(1枠10分の予約制。チャット/音声通話/ビデオ通話/電話)】
③発達支援センター地域支援室
――ここのネウボラセンターには発達支援センター地域支援室が併設されていますね。
太田:お子さんを育てていく中で、発育上の色々な悩みがあると思うんです。
例えば、ちょっと言葉が遅いかな、かんしゃくが激しいかな、落ち着きがないかな、などの相談も多くあります。
そういった時にしっかり療育にも繋げていけるような体制を作っていきたい、ということで発達支援センターも併設いたしました。
ここには保育士や言語聴覚士もいるので気軽に相談していただけます。
――療育についてのお話ですね。
太田:1歳半健診、3歳児健診時に、発達・発育で課題のあるお子さんについてはしっかり療育に繋げていくことをしています。
早期に療育に繋げていくことで、個々の状況に合わせた支援で発達を促すことができるからです。
――健診のタイミングで気がつくこともあるのですか?
飯高:そうですね。
保健師がお子さんと面談させてもらう中で、ちょっとやり取りが難しいかなとか、コミュニケーションが取りづらいかなとか、その辺りが気になるお子さんもいます。
必要があればお母さんにお話して、その場に心理士も来てもらっているのですぐに相談できます。
「また改めて相談したいです」といった場合には、別日の心理士相談を案内したり、発達支援センターの方に繋いで後日相談する流れになります。
――療育の相談も多いんでしょうか?
飯高:そうですね。
1歳半健診ですとまだお子さんが喋り始めたばかりなので、そこまで心配する方もいらっしゃらないんですが…。
今スマホがすごく身近なものになってきていて、親子でのコミュニケーションが昔よりも少なくなっていると思うんです。
それが子どもの発達に少なからず影響しているのでは…と考えています。
また、3歳児健診の頃になると幼稚園に行く方も増えてくるので「集団生活でうまくいかない」など、相談を希望される方が増えてきますね。
保育士/醍醐(だいご)さん(以下、敬称略:醍醐):「うちの子、ちょっと他の子と違うのかな」と思った時に、良くも悪くも今はスマホで簡単に色々調べられるんですよね。
スマホでキーワードを検索すると「発達の遅れ」などが出てきますが、その情報に果たして信憑性はあるのか…。
例えば市の情報だったら信頼していいと思うんですけど、ネットって色々な情報で溢れているので、スマホで調べているうちにどんどんはまってしまうお母さんが今は多いと感じています。
――スマホで調べてはまるってどういうことですか?
醍醐:今年の4月から、地域支援室が子ども未来館にできて療育相談を行っていますが、そこでお話を聞いていると色々なことをよく知っている方がいらっしゃるんです。
「よくご存じですね」と言うと、「スマホで調べました」と答える方がすごく多いなと感じています。
――私はスマホで見る情報の半分は嘘だと思っているんですが。(笑)
信じきっているということですよね。
醍醐:スマホは簡単に色々調べられるので、悩みが生まれると次から次へと調べてはまってしまう方がいらっしゃるんですよね。
その気持ちもすごくわかるんですけど…。
私は、子育てのこととか悩んだらまず直接人に会って、例えば小児科の先生や看護師、子育て支援センター等に行って、外に出て相談してほしいなと思います。
そのほうが真実味もあるし、心の健康にも繋がるのかな、と思っています。
育児書通りに子どもが育てば、多分お母さんたちは悩むこともないと思うんです。
でも、機械じゃなくて人間だから、個人差や性格もあるし、それこそ言葉が出るも出ないも1人1人違う。
だけどスマホってすぐ調べられちゃうから、「隣の子どもは3つの言葉を喋っているのに、うちの子どもは1つも喋ってない。あ、これは発達障害だ」と当てはまる言葉を見つけて悩んでしまう方が多いのかなと思っています。
今は情報が溢れているので、お母さんたちも大変だろうなと感じることがあります。
――確かに、そうですね。
でもいざ外に出るとなると、自分の身なりが気になり始めちゃうんですよね。
醍醐:そういう方もいらっしゃいますが、ここだったら大丈夫!
そんなの気にしないで、1階には遊び場とかもあるからお子さんと一緒でも大丈夫、とにかくここに来て欲しい!
飯高:やっぱり一言ね、困った時に「助けて」って言って、どこかに繋がってもらいたいっていうのが一番ですね。
困った時の相談先を見つけてもらいたい。
その中の1つに、ここが入っているといいなと思います。
太田:ネウボラセンターの1階では、1歳以上のお子さんの託児も受け付けています。
保健師や歯科衛生士や栄養士、更に発達に関しては発達支援センターの職員もいます。
あらゆる職種の専門職がそろっていますので、本当に気軽になんでも相談しに来てほしいと思っています。
まとめ
私にも7歳の子どもがおります。
今回の取材で、たった7年でこんなにも色々変わったのかとびっくりしました。
市原市は、他の市と比べると先立って色々と実行されていることも実感。
気づかぬうちに子育てしやすい市になっていたといっても過言ではないのかもしれません。
子育てに悩みはつきものです。
ただでさえ初めてのことだらけで、何が正しいのかわからなくなってしまう。
そんな中、他の子と自分の子に違いがあれば、自分の育て方のせいではないかと自分を責めるお母さんもいると思うんです。
だからこそ、実際に人に会って話を聞いてもらう、相談するっていうのは本当に大切なことなのかもしれません。
一人でも多くの方にこの市原市には子育て応援団があるんだよって知ってほしいです。
【いちはら子ども未来館(weほーる)】
住所:市原市更級(さらしな)5-1-18
電話:0436-25-0125
時間:〔開館〕8:30 〔閉館〕21:00
■weほーる総合受付 9:00~20:00
■子育てサロン・プレイルーム・託児スペース 9:00~17:00
■貸出施設利用可能時間 9:00~21:00
休館日:毎月第2月曜日・年末年始
◆子育てネウボラセンター
電話 :0436-23-1215
時間 :月~金曜日(祝日・年末年始を除く)
8:30~17:15
メール:kosodate-neubora@city.ichihara.lg.jp
◆発達支援センター地域支援室
電話 :0436-63-6639
0436-36-6097(相談予約はこちら)
時間 :月~金曜日(祝日・年末年始を除く)
8:30~17:15
メール:hattatu@city.ichihara.lg.jp
取材日:2024年7月16日
※記事の情報は取材当時の情報のため、最新の情報とは異なる場合があります。
ご了承ください。
ライター:悠理(ゆうり)