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無財の七施

どん底でマザーテレサのことばを読んでいた時、やはり与えることについてよく書かれていて、自分が貧しいときはどうすればいいのだ……と悩みました。

そこで出会ったのが、「無財の七施」です。
身ひとつでも徳を積むことはできますよ、そういう教えです。

眼施、和顔施、言辞施、身施、心施、床座施、房舎施の7つ。

眼施 優しいまなざし
和顔施 柔和な笑顔
言辞施 穏やかな言葉
身施 ただしい行い
心施 ただしい心
床座施 座る場所をゆずろう
房舎施 家に泊めてあげよう

このうちのひとつでもできたら、と思っています。
今日は、和顔施にまつわるエピソードをひとつ。

長らくの引きこもりから脱し始めてハートも心地よく開きはじめた……そんなある日のスーパーでのこと。

レジで前のおばあさんがお金を出すのに難儀していて、それはもう時間がかかり、申し訳なさそうに小さくなってこちらにお辞儀をされたのです。
わたしは「大丈夫ですよ」という心で、おばあさんに微笑みかけました。
すると。
みるみるうちに、おばあさんも笑顔になって、ありがとうと何度もお礼をされたのです。そうして明るい面差しで去っていかれました。

これが和顔施か、と心打たれました。
ほんのひと時、ほんのささやかなこと。
でも、とても印象に残っています。

マスクも外す機会が増えて、表情がみえるようになってきました。
ハートの中心──大いなる源から溢れるような柔らかい微笑みを大切にしていきたいと思います。


たまさかに会ひて別るるひと時のこころの笑みに神宿るらむ
──烏有

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