世古詞一「対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術」
・本書は、1on1ミーティングで組織変革を行う1on1マネジメントの専門家であり、個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行うビジネスコーチでもある著者が、部下の育成・モチベーション向上を目的とした定期的かつ高頻度な上司と部下の対話の場である「1on1」をうまくマネジメントに活用している人のお話をうかがう中で見出した共通点を整理し、それをまとめた1冊である。
・組織の中で、1on1などの対話が続かないのは、必要がないからではなく、単に正しいやり方を知らず、正しい研鑽が積まれていないだけの問題であると著者は考えている。
・逆に言えば、正しいやり方を知って研鑽を積めば、効果的な対話が継続できるのだ。
・だからこそ、結局「何を」話せばいいのか、そして、「どう」話を深めていけばいいかを、もっと多くの人に知ってほしいと著者は考えて続けている。
・ある企業(A社)では、昨今の大きな社会変化に合わせて考えて動ける自立型人材の育成に課題を抱えていた。
・「自分で考えて動ける人」になるためには、上司の一方的な指示で成果を上げるやり方ではなく、「対話によって部下に考える機会を与え、自ら気づきを得て行動する支援をしていくことが必要である。
・1on1を始めて1年半経つと、A社の部下は、上司から問われるクセがついて、普段でも上司と話す際に自分の考えや意見を言うようになった。
・このように、定期的に対話をしていくことで、
◇上司に対しての信頼感が高まり、普段は疑問に思っていても話せなかったことを話してくれる
◇(Slackなどのツールの場合)コミュニケーションでの曖昧な点を、対話していくことで明確にして部下の不安を取り除く
◇対話を頻度高く行うことで、上司と部下の信頼関係が強固になり、部下の成長が促進される
などの効果が生まれるのだ。
※携帯電話を手がける会社、IT企業など「対話を導入した事例」について紹介しているが、詳細は本書をお読みください。
・対話によるメリットは多々あり、一定の効果があるのは事実であるが、だんだんとマンネリ化してきて、
①そもそも、対話の正解がわからない
②上司が言いたいことを言う場になっている
③話が場当たり的で、思いつきで進んでいる
などの6つの懸念が、著者がさまざまな組織とかかわる中で見聞きしている。
・1on1の正解やゴールが何なのかを、明確に理解している人は多くない。「この対話かま部下の成長につながっているのか?」などを上司自身がわかっていないのだ。
・何が正解かわからないと、上司はとりあえず部下に対して思っていることを伝える。良かれと思って、それが、上司の価値とばかりに自らの経験を語る結果、上司ばかりがしゃべっている状態になるのだ。
・また、何が正解かわからない中で、上司がとりあえず部下に質問してしまうと、話が盛り上がった場合、結果オーライとしてしまい、意図を持って対話を進めようとしなくなる。
・場当たり的で、思いつきで進んでしまうと、網羅性もないので、部下にとって効果的な対話にならなくなるのだ。
※④〜⑥の詳細については、本書をお読みください。
・本書では、「なぜ、組織において対話が必要なのか」「何を(What)」すり合わせるか」「どう(How)」すり合わせるか」など合計7章で構成されており、「効果的な対話を行うための「型」(すり合わせ9ボックス)」「コミュニケーションスキル(すり合わせる技術)」「1on1をうまくいかせるコツ」など、組織の中で対話を上手に実践する方法について紹介した内容となっている。
#瞬読アウトプット #1分書評 #日本能率協会マネジメントセンター #jmam #1on1 #対話 #組織 #マネジャー