とりとめのない枕にて眠る
何もない和室で寝転びながら文字列を追っている。
網戸から入り込んでくる湿気に雨が少し降り出したことに気づき
その音に惹かれて目線を文字から逸らすと宙に埃が浮いていて
その軌跡を目で追う
不規則に揺れながら畳へと落ちてくる埃を目で追っていると
視線が捉え所をなくし霧散していく
周辺の生活者達の
ただなんでもない時間の視線の動きを平面に起こし眺めれば
それらは平面であるが実のところ多角的で立体になり得る
そんなとりとめのなさを枕に瞼を閉じて
遠くの喧騒に紛れて眠ることの豊かさに笑う