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2月

美術が好きなのは、
新しいものの見方、世界の見方を示してくれるからで、
はあ、わたしがみてた世界とは一体。と思わせてくれるから。

わからんなぁと思いながら、わかろうとしたり感じようとしたり、
結局わからんけどなんかすげーという気持ちになるのがおもしろい。

創造したいという衝動の突き詰めたところが芸術であるはずなのに、
評価されるため、食えるようになるため、と真逆のものを志向した作品が世に出たり、不思議だ。
名だたる画家や彫刻家の作品を美術館で目にし、
いかにも博識そうなおじさまがほほぅと唸ってその作品を見るとき、
天にいる作者は一体何を思うのだろう、と想像する。
遥か異国の地で、チケットの予約も取れないくらい混雑し、一つの作品の前に人集りができる。
どんな気持ちですか?シンプルにうれしいですか?
いやいや、その作品もうちょい目立つとこに飾ってよ。
それは一番出来が悪いと思ってた作品なんよ、、、
なんて思ったりするのだろうか。

普段は絵画の展覧会に行くことが多いが、先日たまたま彫刻展に行った。
作品にさわりたい、と思うのははじめてのことだった。
これはどうやって作ったんだろう、とか、でっかい岩みたいなものを削って磨いてこんなものできるのか、とか、そういうことも思った。
生業が作品に変わっていくのはどんなタイミングなんだろう。
それは望んだタイミングだったのかな。

1月も終わりに差し掛かると、あ、春がくるなぁと思う。
少し浮き足立つ。道路沿いの木蓮が蕾を膨らませているのをみて、
あ、やっぱり春が来てる、と確信する。
どうして花は毎年、決まって春に咲くのだろう。
あたたかくて、花で彩られる春は明るくて、
寒くて、色のわかりにくい冬は寂しい気持ちになりやすい。
気温にも季節にも振り回される、たやすい人間だ。
2月はもう春だよ、って友達に言ったら笑われたけどあながち間違いじゃない。
節分が終われば、暦の上ではもう春だ。
梅が咲いちゃえば、もうもう、それは春だ。

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