猫の「ウンチングハイ」現象の謎に迫る
猫と暮らしていると、突然の猛ダッシュに目を見張ることがある。それがトイレの前後だったりすると、猫好きの間でよく耳にする「ウンチングハイ」という現象だったりする。この愛嬌のある行動、いったい何が猫たちを駆り立てているのだろうか。
「ウンチングハイ」とは、大便をしたくなると猫が急に走り回る現象を指す。この言葉が生まれるほど、猫飼いの間では知られた行動だ。走る理由については諸説あるが、有力な説の一つに「便意による腹痛」が挙げられる。便が腸を通るときに腹部に一時的な不快感や刺激が起こり、それが猫を動かすきっかけになるのではないか、と考えられているらしい。
また、排泄行為そのものが猫にとって解放感をもたらし、それが興奮や高揚感につながっている可能性も指摘されている。排便後の軽さやすっきり感が、ダッシュを促しているのかもしれない。人間でも「大きな仕事を終えた後、すっきりした気分になる」ことがあるが、猫の場合、それが全身運動として表現されているのかもしれない。
さらに、野生の本能に由来するという説もある。排泄行為は、野生の環境では捕食者に自分の存在を知られてしまうリスクのある行為。排泄後に素早く移動することで、自分の安全を確保しようとする防衛反応が現代の猫にも残っているのでは、という考えだ。この説だと、「走り回る」のではなく「急いでその場を離れる」という行動が原型にあるのかもしれない。
しかし、これらの説が正しいかどうかは結局のところ、猫に直接聞いてみることができないため、確かめようがない。猫たちは、その小さな瞳で「何でそんなこと知りたいの?」とでも言いたげに私たちを見つめるばかりだ。科学的な研究も進んでいるが、今のところ「ウンチングハイ」の確固たる理由を解明するには至っていない。
一方で、飼い主として重要なのは、この行動が特に異常や健康問題を示すものではない、という点である。むしろ元気の良い証拠と言える。排泄が終わった後のダッシュを見て、「またか」と笑いながらその姿を見守るのも、猫との暮らしの醍醐味ではないだろうか。
「ウンチングハイ」は、猫の行動の謎と愛らしさが詰まったエピソードのひとつ。解明される日は来るのか、それとも一生謎のままなのか——いずれにしても、猫たちは今日も、私たちに楽しい疑問を投げかけながら元気に走り回っている。