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丹波〜因幡見聞録4 大乗寺(応挙寺)

3からの続き。

円山応挙の名前はよく聞くけど、実際に作品を観たことはほとんどない。せっかく兵庫に住んでいるのだから一度くらいは、と応挙とその一門の絵がたくさんあるという大乗寺へ。

山門の奥に襖絵のある客殿が覗く
中井権次橘正次の彫り物

ところが、大乗寺の応挙作品は15年くらい前に全てデジタル複製画に差し替えられていた。詳しくは大乗寺サイトの「襖絵保存プロジェクト」のページ参照のこと。
応挙以外の、弟子たちの作品は本物が観れます。

そういえば山路寺のご住職が「こちらは本物で500円、大乗寺さんは複製で1200円」とうっすらディスってたな。

客殿正面

大乗寺は(山路寺とは違って)観光名所化していて、拝観システムもきっちりしており(お寺の人に案内してもらいながらしか観れない。)お土産用にポストカードや図録、DVDもあるし、公式SNSもやってる。

ジャージ姿のご住職がざっくばらんに案内してくれる山路寺と、まぁどちらが良いというのではないけど、好対照だなあと面白い。

応挙の複製画は、残念ながら複製感が強く出ていて、作品としては鑑賞の対象にはならないと思う。解像度の問題なのかなあ。複製でも撮影は禁止でした。

ただ、金箔を貼った襖絵に囲まれて、それを自然光で観ることができる、というのは、なかなか得られない体験。自然光で観ると金箔が艶めかしく輝くことを知った。
これを体験するだけでも訪れる価値はある。

また、各部屋の襖絵には応挙が構想したいろんな仕掛けや企みがあり、説明を聞いているだけで面白い。

大乗寺では障壁画で囲まれる各部屋の空間が立体曼荼羅を構成しており、宗教的空間の具現化を意図したものではないかといわれています。応挙は絵画の美術的評価に加えて空間プロデューサーとしての側面が再評価されています。

大乗寺サイト

それと、さらに別料金500円を払って2階に上がると、長澤蘆雪の水墨画がある。これも、触れん計りに近くで鑑賞できるので、すごい。

説明してくださるお寺の方も気さくで、井浦新さんが撮影に来られたエピソードなども聞かせていただいた(日曜美術館のロケかな?)。最初、井浦新さん、と仰ってるのを「竜雷太さん」と聞き間違えてたのはナイショです。なんかおかしいと思った。芸大出てるとか。

今日は閑散としてたけれど、複製に差し替えられてしばらくして、本物の襖絵を公開した時にはものすごい人で、時間がかからないよう各部屋の外の廊下からしか鑑賞してもらえず、案内する方も大変だったそう。
「今日はゆっくり観て頂けて良かったです」とのこと。

静かな大乗寺を後にして、次なる目的地、「あおや和紙工房」へ向かいます。(続く)


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