直島訪問記

一泊二日で香川県直島を訪問してきましたので、その記録。時系列にではなく、スポットごとにまとめて記載します。情報は2023年10月現在のものです。豊島、犬島など周辺の諸島へは行けなかったので直島に関する記述のみです。

宮浦港にある赤かぼちゃ

これから訪問しようと思っている人へ

直島を訪問する際に参考になるかなという情報をまとめます。ネットで得られる情報ばかりですが、まとめておくと参照しやすいかと思い書いておきます。(でもこれで十分というのではないので結局訪問しようと思っている方は他のサイトの情報も漁ってください。)

  • ベネッセの株主優待券がメルカリなどで1000円~2000円ていどで売られています。ホテルが30%割引になる券なので、要チェックです。(僕は行った後に知ったので次回に活かします。)

  • 結構、靴を脱ぐ場面が多いので、歩きやすく、かつ着脱しやすい靴が良いかと思います。

  • ベネッセホテルの周回バスは、宿泊者以外でも乗れます。ホテルのサイトには「宿泊者限定」と書いていますが実際には何のチェックもなく乗れます。

  • 天気が変わりやすい?たまたまなのかもしれませんが、晴れていたかと思うと突然雨になったりしたので、天気の良い時でも簡単な雨具があれば良いかと思います。

  • ベネッセグループが運営しているお店ではクレジットカードやpaypayが使えますが、地中美術館のカフェだけは現金のみでした。

  • 猫が多い。本当に猫が多い。猫好きにはたまらんでしょうが僕は猫が苦手なのでちょいちょいビビりました。

  • 僕は自家用車で島まで行きましたが、島内では自動車だから便利やったなあというシーンはまったくなし。カーフェリー料金も高いので、特に事情がない限りは車での訪問はあまりお勧めしません。僕は折り畳み自転車を車に積んでいきましたが、二日滞在なら自転車レンタルしたほうがカーフェリー往復料金よりお得です。

  • カーフェリー利用する場合は、復路分はベネッセホテルで割引価格で購入できるので、宇野港で往復チケット買わずに片道分だけ買って、ホテルで帰りの分のチケットを買った方が少しお得です。

  • 自転車をレンタルするなら電動アシストつきが良いです。宮村港と本村エリアの間はちょっとしたアップダウンで、ギア無し自転車では無理です。

  • 自転車野郎は自分の自転車持っていくのがいいですね。8枚くらいのギアなら余裕です。僕はTERNのVerge N8、前シングルの後ろ8枚なので余裕でした。ブロンプトンの内装3枚とかはどうなんでしょう。問題ないのかな?

  • ベネッセホテル周辺のエリアは自転車も乗り入れ不可なので、結構歩かされます。

前史 余は以下にして直島を訪れようと決意したか

2022年12月から翌1月にかけて兵庫県立美術館で催された李禹煥展を観ました。特に李禹煥さんについては知らなかったのですが、たまたま時間があったのでふらっと観てみたら、あまりにすごい作品たちに打ち震えました。
その際に、直島には李禹煥の個人美術館があると知り(A4サイズの美術観のチラシがおいてあった)、これは、訪れざること能わざるなり、と決意した次第。
お尻の重い僕には珍しく、一年も経たないうちに直島訪問を実現させましたのは、ひとえに李禹煥作品の衝撃に突き動かされたから。

本村エリア 家プロジェクトなど

岡山県の宇野港から宮村港にフェリーで自家用車で上陸後、そのまま車で本村(ほんむら)エリアへ移動。本村エリアには無料パーキングがあるのでそこに車を停めて自転車で本村ラウンジ&アーカイブへ。
家プロジェクトは単体ごとにもチケット買えますが、共通チケット(1050円)のほうがお得。窓口のおねいさんに所要時間を尋ねると「1時間から1時間半くらいでしょうか」と言われたけれど、僕は2時間半滞在して、それでも全ては回り切れませんでした。無駄に道に迷ったりしたのもあるけれど、12時から13時まで、あるいは13時から14時までお昼休憩で入れない施設もあるので、スケジュールは余裕を持って組んだ方が良いと思います。

角屋

靴脱ぎます。宮島達男さんのデジタルカウンター作品。長い時を経ている古民家という場所で、せわしなく時間を刻み続けるデジタルカウンターの取り合わせが面白いし考えさせられます。

南寺(みなみでら)

安藤忠雄の設計したお寺で、ジェームズ・タレルさんの作品を体感します。15分刻みの予約制で、本村チケット&アーカイブで予約券もらいます。予約時間に間に合わなかったらまた本村チケット&アーカイブに行って予約券もらいなおすと大丈夫です。
内容は知らない方が楽しめます。できる限り情報を遮断して、素で体験してください。

護王神社

杉本博司が最初に設計した神社らしいです。石段の参道を登るのでちょっと大変ですがその価値あります。案内のおにいさんが地下もあるよと教えてくれるので、お見逃しなく。
僕は、折口信夫の『死者の書』冒頭を想起しました。読んでおくと楽しめると思います。
なお、護王神社の地下からご来光を拝める特別宿泊プランというのがベネッセホテルから案内来ました。むっちゃ魅力的です。

石橋

千住博の襖絵とウォーターフォールがあります。どちらもすごく良いです。とくにウォーターフォールは、間近で見れます。千住ファンはお見逃しなく。ここも靴脱ぎます。

碁会所

木彫りの椿があります。ちょっと印象薄いです、すいません。

ANDO MUSIUM

家プロジェクトとは別料金になりますが、安藤さんの建築の魅力が簡潔にまとまっています。ここで売っている直島の写真集は、直島の安藤作品が漏れなく(最近作のヴァレー・ギャラリーまで)収められていて、旅の思い出にぴったりです。

The Naoshima Plan “水”

無料スペースですが、映像作品や、足湯ならぬ足水?が体験できます。タオル持っていくと𠮷。タオルは現地でも売ってますが、ちょっと高い(200円)の割にあまり可愛くなかった(個人の感想です)。

李禹煥美術館

「前史」に記した通り、今回の直島訪問は、まず何よりも李禹煥美術館が目的でした。まぁこれだけ期待値が高いと、実際に訪れてみると、ちょっと期待値に届かなかったかな、なんてことは往々にしてありますが、今回の李禹煥美術館に関しては、こちらの期待値を軽く超えてきたという感じでした。

作品数が少ない割に入場料高いとか、10分もあれば見終わっちゃうとか、google mapのレビューでもちょいちょいディスられていますが、まぁ確かにそもそも李禹煥の作品にシンクロできるかできないかで、この美術館の評価って全く変わってきますね。僕には1時間半では全然時間が足りませんでした。(でも次の地中美術館の予約があったので泣く泣く・・・)

今回僕は、有料のプライベートツアーというものに申し込みました。事前予約が必要で、入館料のほかに2160円が必要です。少しお高いのですけれど、李禹煥の作品について、いろいろなことを教えてもらったり、意見を交換しながら見て回る体験は、とても有意義なものでした。

李禹煥の作品は、観る者に思索を要請するタイプの作品ですので、鑑賞するということは、思索するということに他ならないと思うのですが、一人で考えるのではなくて(そういう時間も大切ですが)、作品を観て感じたことを言語化しながら誰かに伝え、その過程でまた自分の考えが深まったり、相手の反応によって、新しいことに気づかされたり、そういうダイアログを高いレベルで行うことができました。

やはりプロの学芸員さん、しかも李禹煥に詳しい、となると、レスポンスも素晴らしい内容で、本当に本当に参加して良かったなと思います。

ベネッセパークホテル、杉本博司ギャラリー「時の回廊」、ベネッセミュージアム

宿泊はベネッセパークホテル。部屋にもアート作品が飾ってあり、僕の宿泊した部屋にはジェームズ・タレルの絵が飾ってありました。バルコニーからは瀬戸内の海と、杉本博司の茶室「聞鳥庵」が見える部屋。

このホテルに昨年、杉本博司ギャラリー「時の回廊」が開設され、宿泊客は23時まで鑑賞することが可能だと聞いて楽しみにしていました。

ギャラリーは、ホテル内のフロア・廊下・通路を利用したもので、まさに「回廊」、歩きながら見て回ります。またラウンジもあって、そこではお茶を飲んだりできるのですが、そこにあるテーブルたち(「三種の神樹」)も杉本さん制作、名前の通り、大きな木を使った意匠です。また、家プロジェクトの護王神社の模型もあります。またギャラリー前の庭は茶室「聞鳥庵」が据え付けられていて、中には入れませんが、じっくり眺めることができます。

またホテルの別棟(歩いて10分くらい離れている)にあるミュージアムも宿泊者は無料で23時まで入館できます。僕は残念ながら夜の美術館には行けなかったのだけれど、次は体験してみたいなと思います。ベネッセミュージアムには杉本博司「海景」シリーズの作品が屋外に展示してあって、瀬戸内の海と杉本さんの写真の海とを同時に眺めるという鑑賞ができます。あとは現代アートらしい作品が展示してあって、今ちょうど都現代美術館でやっているホックニーの作品も何点かありました。

また、ホテル周辺の屋外にもインスタレーションやオブジェが点在していて、有名な草間彌生さんのかぼちゃ(今のものは4代目らしいです)もそのエリアにあります。(宮浦港には、赤いかぼちゃがあります。)

ホテルエリアの屋外作品を学芸員さんの説明を聞きながら見て回るツアーというのをやっていて(1000円)参加しました。これは李禹煥美術館のツアーとは全く趣が違って、興味深いエピソードや裏話などを交えながら楽しくわいわい見て回る雰囲気でした。これもとても楽しかったです。直島のアート施設の多くが休館になる月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)に開催されるもののようです。

地中美術館、ヴァレー・ギャラリー

地中美術館にはクロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、そして家プロジェクトで鮮烈な体験を与えてくれたジェームズ・タレルの作品があります。

入館する前は、正直いまさらモネ観てもなあって感じでしたが、実際に観てみるととても良かった。安藤忠雄さんこだわりの、自然光で見るモネの部屋。(ここも靴脱ぎます。)すごく良かった。

直島の美術館は多くが安藤忠雄さん設計。毀誉褒貶ある安藤さんですけれど(僕も手放しで「好きだ」とは言い切れないものを感じます)、やはり地中美術館は訪れる価値のある美術館だと、モネの部屋で感じました。

またタレルさんやデ・マリアさんの作品も素晴らしかった。タレルさんの作品は数人ずつしか鑑賞できないもので(ここも靴脱ぎます)ちょっと待ち行列長くなることもあるようです。タレルさんの部屋も、入館人数を制限していますが、大きな部屋なので待ち行列ができるほどの制限にはなっていませんでした。比較的空いている日だったので、混雑時はどうか分かりませんが。

李禹煥美術館の向かいに最近できたヴァレー・ギャラリーは、やはり安藤さん設計の建物に、草間彌生さんの作品があります。水玉シリーズではなくて、シルバーの玉がたくさんあるもので、面白いけれど、それ以上に迫ってくるものはなかったかな。

最後に

以上はぼくが訪問・体験できた場所に関する記録です。観れなかった、行けなかったところもたくさんあります。また、画像も敢えてつけませんでした。実際に直島を訪れて、リアルに鑑賞するのが一番で、そのためにはできる限り知識はない方が良いと思うので。
と言う割には作品についてもごちゃごちゃ書いちゃってるところもありますが…
とにかく初直島はとても充実したものでした。ぜひまた再訪したいと思います。


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