【映画観覧記】『GONIN(1995)
松竹シネマPLUSシアター にて無料公開中(終了)
『GONIN』
監督・脚本: 石井隆
製作総指揮: 奥山和由
出演: 佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平
ビートたけし、木村一八、鶴見辰吾、永島敏行
なんと前回に、いつかちゃんと書きたいと宣っていたら、youtube(公式)で観られた。
「その男、凶暴につき(1989)」とこの映画はその後の日本娯楽バイオレンス映画の金字塔(と思ってる)
90年代にレザボア・ドッグス('92) パルプ・フィクション('94) とクエンティン・タランティーノ映画が始まっているので、同時期このジャンルは沸点へと向かってるといえる。
ここから以降、これを模する作品数知れず、今回改めて見返してみてやはり面白いゾ。
この豪華な顔ぶれ、タイトル5人に扮するは、佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平、この5人がヤクザのお金を強奪、
ヤクザは鶴見辰吾、永島敏行、殺し屋にたけしと一八。
5人にヤクザが報復する。
それだけのストーリーであるが、それぞれのキャラ分けが凄まじく卓越してる。
佐藤浩市が強奪計画の発案者、彼はさておき(なぜさておくのかというと映画上のナビゲーター的役どころなのでそんなに面白くない)
モッくんは本領発揮のコールボーイ、もうアイドルだった片鱗さえ捨てきって役者然としている。
最初はイケイケキレキレでいいけれど、先へ進むに人間味が強まりBL好きにはたまらないところだろう。
根津甚八ですよ、やはり、もう脂がのりきっていてね、それでいて乾いてる。
奥さん役は、永島暎子(竜二での奥さんね)
しかしあの交通事故さえなければまだまだやれる役者だったのに、本当に残念でならない。
(ちなみに根津甚八の遺作ともなった「GONIN サーガ」はダメ映画だった。でも彼を最後に見られてよかった。)
竹中直人は衝撃、「無能の人('91)」から役者としてノリに乗ってる時期。
彼のやり過ぎるくらい粘着質な演技が、ここぞとばかりに炸裂してるゾ。
この映画の企画を石井隆に推したのも旧知の中だった竹中さんだということだ。
娘役で栗山千明が出演していたことは今回初めて知りました。
椎名桔平はもっと活躍して欲しかったが、役どころが元ボクサーパンチドランカーなので仕方ない。
恋人役の横山めぐみは、タイ人売春婦、2人とも悲しい結末。
ヤクザ組長永島敏行、子分鶴見辰吾と、二人とも貫禄充分、この映画から先こんな役どころが増えていく感じ。
さて中盤からヤクザの巻き返しで登場するは、たけし&一八の殺し屋。
どうしてもたけしが出てきてしまうとおいしいところ全部持っていってしまう。
それくらい存在感があるのだろうが、それにしても一八、たけしのカマ役を見事に演じていて凄く良い。
正直言ってエキセントリックな役柄が多いので見失ってしまうが、つまらない事件(彼が起こした暴行事件とか)に翻弄されなければもう少しよい役者になれたのかも知れない。
たけしは相変わらず、どこまでいっても曲がらないし曲げようもなく突っ走っていくターミネーター。
役者さんの名前をつらつら並び立てるだけでしたが、
あくまでも娯楽バイオレンスだ!
見なけりゃわからない。
28年前にこんな凄い映画があったということを、ぜひ確認して欲しいのです。
余談:
95年公開当時、僕は20代半ばでした。
この映画に出てくる"新宿バッティングセンター"にはよく行きました。
歌舞伎町とかでお酒飲んで、ほろ酔いでバッティングして、それでエスカレーターで中国人と揉め、つい蹴りを入れてしまった。
そしたら、そいつが果物ナイフ(ちょっと錆びてる)を懐から出し、サクサクと突いてきた。
僕とその中国人との間に友人が仲介に入り、その場は収まったのだが、
その友人の衣服から累々と血痕が!
なんと仲裁に入った友人がナイフに刺されてしまうという顛末。
深夜に救急病院、幸いたいした怪我ではなかったが、酔っ払っているとはいえ新宿の暗黒面を痛いほど思い知る。
竹中直人さんにバットで殴られなくてよかったけど、怖いですねバッティングセンターは。
無闇矢鱈に喧嘩を売るのは止しましょう。映画とは違うんだから。(教訓)