【映観】『ひとくず』(2017)
『ひとくず』(2017)
監督・脚本・主演:上西雄大
出演:小南希良梨、古川藍、徳竹未夏、堀田眞三 木下ほうか、田中要次
去年に見た邦画では一番フルっていた作品。
まったく予備知識もなく見始めたので、いったいこれはどんな毛色の映画なのか、
次から次へと予想を裏切っていく展開に震えた。
それだからなるべく内容は知らなければ知らないほど、肝を冷やすコトでしょう。
主演の上西雄大(敬称略)には、驚いた。
こんな乱暴な人、攻撃色がいつでも真っ赤っかで、相手を恫喝させるような暴言と行動、
それがこの物語を、予想のつかない領域まで引き上げていく。
この役者さん知らなかったけれど、よく見てみたら、どこかで見たような気もする。
wikiってみたら、スコセッシ監督「沈黙 -サイレンス-」にもちょい役で出てるし、
テレビドラマにも多数出演されている。
元々は、劇団(劇団テンアンツ)で活躍されていて、2016年から映画制作(10ANTS)という流れらしい。
僕は「竜二」の金子正次を思い出してしまった。
それくらい尖った演技で攻めていた。
他の演者、どの人も、普通に居るような(居そうな)けれども居ないよな、居るかな〜、居そうだな、という昭和の匂い。
漫画みたいな立ち振る舞い、それでいて現実味があるのだから、
みなさん名演といって差し支えないのかも知れない。
子役は素晴らしい。
とにかくこの映画の鍵を握ってるのは子役、そして主人公。
主人公の過去と、現在軸とが交差して、物語が進行していくので、どちらも重要。
これは見逃せない作品です。
子供の虐待シーンがたくさん出てくるので、それが厭な人は敬遠してください。
主人公の傍若無人さも、まず最初には引きますが、その理由を見つければ安心します。
見たくないものを見る、という自由にチャンスを!
余談:
上西雄大の次作「ねばぎば 新世界」についてですが、こちらは期待を裏切りました。
赤井英和・主演で大阪の新世界を描くとなれば、面白くないわけないハズなのに、
ぜんぶが間違ってる。
阪本順治的な世界観を出したかったのか、それでも空気感は悪くないのですが、
宗教とか絡ませる意味が不明、やるなら徹底的にヤルべきだし、そうかと思えば人情話挟み込んだり、とっちらかっていて中途半端な作品。残念でした。
普段はダメだった映画は書きたくないんですが、彼に期待しすぎていたので。