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[クラフトビール] Pliny the Youngerを求めて

今年もPliny the Youngerを飲むことができたので、ブリュワリーでの体験などを纏めてみた。

Pliny the Younger TIPAとは?

Pliny the Youngerのドラフト

Pliny the Younger (プライニー・ザ・ヤンガー) は、Russian River Brewing Co (RRBC: ロシアンリバー・ブリューイング) が年に一度リリースするアルコール度数10%以上のトリプル IPA (インディア・ペール・エール)。手間暇がかかり、使われるホップの種類も量も尋常ではないため年に一度しか作られないが、それを求めて世界中からビール好きがブリュワリーのある Santa Rosa (サンタローザ) とWindsor (ウインザー) の町に集まる。つくられる量も少ないことから一年に2週間しかドラフトで飲むことが出来なかったが、2020年よりボトル販売を開始。とはいえ、一般に購入できるものではなく、期間中にブリュワリーに並んで中に入れた人のみが手に入れることができた。なお昨年はパンデミック中だったので、ボトルはオンラインでのみ販売されたが一瞬にして売りきれた。

Santa Rosaタップルーム

一年中飲むことができる RRBC の Pliny The Elder DIPA (ダブル IPA) は West Coast (ウエスト・コースト) IPA の代表ともいえるビールで、クリア且つダンクさ(奥行きのあるあまさ、松やにっぽさ)のバランスが素晴らしい。Pliny the Younger は、Elderのダンクさをさらに別の次元に昇華し、アルコール度数も10%という強烈なTIPA (トリプル IPA) のビール。今でこそ TIPA をつくるところは多いが、Russian River Brewing はTIPAの先駆けなのだ。

通常は2月のサンフランシスコ・ビア・ウィークにあわせてブリュワリーでも飲むことができるのだけど、今年はオミクロンの影響もあり時期をずらし3月25日ー4月7日までの期間となった。

Pliny the Youngerを飲むには?

今年は時期がずれたものの、通常は Pliny the Younger と言えば SFBW(サンフランシスコ・ビア・ウィーク)の期間でサンフランシスコのビアバーや、サンフランシスコ市内から1時間半ほど車で北上したRussian River Brewing のSanta Rosa もしくは Windsor のタップルームで飲むことができる。

Windsorのタップルーム

市内のビアバーでは開栓する場合は時間がアナウンスされており、1時間以内に無くなることがほとんど(今年の SFBW は RRBC のブリュワリーのイベントとずれたためか、Youngerを出すところが多く、故にもう少し残っていたところもあった様子)。また、例年は SF BW のオープニングのイベントでも飲むことができる。

しかし、上記のイベントでは飲めても少量を一杯。故にYoungerをとことん味わいたいと思ったらブリュワリーに行くしかない。また、2020年よりブリュワリーで飲んだ場合にはボトルを購入することができるので、後日家で飲むこともできる。

Pliny the Younger のドラフトをブリュワリーで飲む

Pliny the Younger を飲むために初めて Santa Rosa のブリュワリー兼タップルームに並んだのは2015年。その時は朝の6時に並びはじめ7時間並んで漸く飲むことができた。ブログでも書いたがこのときの並んでいる人同士の一体感は凄くて、入れた時に皆に祝福された感じが忘れられない。

その時の様子はこちら。

2018年 Santa Rosaでの行列。朝6時で1ブロック続きさらに角を曲がって続いていた。

その後2020年には新しくできたWindsorの方のブリュワリー兼タップルームで並んだが、こちらもおよそ6時間程。

2020年 Windsorの行列。

2022年のPliny the Younger行列は?

今年2022年は思い切って平日(しかし実はカリフォルニア州の祝日だったと後で知る)を狙って並ぶことに。SF BWと重なってもいないので以前よりは人は集まらないのではないかと予想。

平日であれば9時前か4時以降がおすすめと言っていた公式のInstagramのポストを参考にし、安全を見て朝の8時に Windsor に到着。ブリュワリーへの道を曲がり、いつものところの人が全く並んでいないのに驚き、さらに正面の入り口にもほとんど人がいないのでもっと驚いた。急いで椅子(必須)を持って並びに行くと、前から5組目。1巡目に入ることが出来るのを目指していたので今回は大成功だった。

到着して30分後の様子。我々の後ろにもかなりの人が並び始めていた

3月末とは言え内陸なので10度以下の気温の中オーナーのVinnieさんとNatalieさんが出てきてガスストーブをつけてくれたり、並んでいると人と話をしたり、とかなりアットホームな雰囲気。同じ目的できているので、前後の並んでいる人達とも自然と会話がはずむ。そして、この時間帯で並んでいる人達はほとんどに人が椅子を持参して思い思いの方法で時間をつぶしていた。

並んでしばらくするとリストバンドが配られた。Pliny the Younger をハーフ・パイント (約240ml) 3杯分+お土産用のボトルのチケット代わりで、店員さんが注文のたびに取っていく仕組み。

日付は当初予定していた日付のまま

2時間半ほど経った10時半に列が長くなったためか30分早めに開店し、お客さんが少しずつ入り始め、間もなく座ることができた。幸運にもビールの種類が見えるボードの目の前の席へ。ここはある意味ブリュワリーの顔ともいえる場所。

左の列の一番下にYoungerを発見!

早速一杯目を注文し、待ちに待った Pliny the Younger が到着。

Youngerのドラフト!

流石のYounger。世界中から人が飲みに来るだけのことはあり、美味しい!Elderのダンクさは素晴らしいが、それをさらに超える濃厚なホップ爆弾。そしてアルコール度数10.25%。しかし不思議と飽きが全く来ないので、休みつつも気づいたら3杯飲み終わっていた。West Coast IPAを充分なまでに堪能できた。

今回は食事は軽めにポテトを食べただけだったが、ここは食事も充実しているので昼御飯や晩御飯を食べに来るのにもおすすめ。
帰りにはお土産のボトルを購入。

ボトルは一人あたり二本まで購入することができる。

無料の工場見学

更に、酔い冷ましに無料でできるブリュワリー見学をすることに。

タップルームの左側の入り口から入る

予約制の有料のツアーもあり、RRBCのサイトから申し込むことができる。以前に参加したことがあるが、有料ツアーでは施設の中に入り施設の解説をしてもらいつつ、途中途中でビールのテイスティングがあるという素晴らしい内容。最後に飲むのに使ったグラスを記念にもらうことができる。

有料ツアーの様子はこちら。

無料のSelf-guidedなツアーの方はツアー用の廊下からガラス越しに施設を見学できるというものだが、これがなかなか面白い。それなりの距離を歩くのでちょっと酔いを冷ますのにもちょうど良い。

発酵中のPliny the Elder
ボトリングの工程

ツアー全体の動画はこんな感じ。やはりボトリングの工程は見ていて飽きない

Pliny the Youngerグッズ

一年に一度のイベントということもあり近年はグッズも充実している。Tシャツやパーカーはもちろん、ステッカー、グラス、コースター、帽子、そして傘など様々なものがあるので記念に購入するのはおすすめ。毎年色が異なるので記念にもなる。オンラインでも購入可能

2022年はボルドーカラー。

2つのタップルーム

前述のように、Russian River BrewingのタップルームはSanta RosaとWindsorの2か所にある。車で15分ぐらいの距離。

Santa Rosa
725 4th Street, Santa Rosa, CA 95404
毎日 11AM-10PM
こちらはRussian River Brewing Coが始まった場所。そしてアメリカのビアパブの雰囲気を充分に感じ取ることができる場所だ。Santa Rosaのダウンタウンにあるため周りにも書店等があり、飲んだ後に酔い覚ましに時間をつぶすこともできる。またホテルも多い。ビールが大好きな地元の人達と一緒に飲む雰囲気を味わいたいのであればここがおすすめ。スヌーピーの作者であるSchulz氏の博物館も市内にはある。

Santa Rosa 店内

Windsor
700 Mitchell Lane, Windsor, CA 95492
パブ: 毎日 11AM-10PM
ギフトショップ: 毎日 11AM-9PM
最近できた新しいタップルーム兼ブリュワリー施設。ここはとにかく広大な芝生のビアガーデンが最高に気持ち良い!また席数も多く、大きなギフトショップが併設されている(Santa Rosaにもギフトショップはあるがかなり小さい)。そしてこの記事にも書いたがブリュワリー施設の見学も可能。ただし、周り(特に徒歩圏内)にはホテルも含め何もない。

ファミリーでも楽しくのめる芝生のビアガーデン

ビア・フライト

Pliny the Youngerは10.25%なので、それ以外のビールを飲むことは無いと思うが、もしもそれ以外のタイミングで訪れたときにおすすめしたいのが全種類のビールを少しずつ飲むことができるフライトだ。RRBCはWest Coast IPAであるPliny the YoungerやElderが有名だが、実は果物やワインの葡萄を使ったサワーでも有名。新しいブリュワリー施設には自然発酵用の麦汁冷却槽であるクールシップやビールを樽で熟成させるための巨大な倉庫がある。そんな様々なRRBCのビールをフライトでは飲むことができる。

ある日のビアフライト

その他のPlinyリリース

今回飲んだのはPliny the Younger だったが、実は他の種類のPlinyもリリースされている。

まずは定番、Pliny the Elder。こちらは未だにボトルとドラフトでのみの販売。缶の販売は無い。Windsorの施設ができてからはドラフトも多くのところで見かけボトルもかなり入手しやすくなったが、それまでは限定された店舗でのみ購入可能で、入荷した瞬間に店内でアナウンスが流れ瞬く間に売り切れるという幻のビールの一つだった。Youngerの弟ともいえるダンクなWest Coast DIPA。名前の由来はPliny the Elder (大プリニウス)が自然史の著書にてホップに関して記述していたことから。

緑赤丸。

続いてはDDH (Double Dry Hopped) Pliny the Elder。こちらはたまにRRBCから缶でリリースされているが、こちらは通常のPliny the Elderに比べて倍のホップを使ってドライホップされているホップ強化版。

銀赤丸。

そしてPliny for President。こちらは上記の DDH Pliny the Elderの原型となったビールで、レシピはほぼDDHと同じ。2020年のアメリカ大統領の選挙の時に初めてリリースされ、 次のリリースは2024年の次期選挙の時とのこと。

青。このグラスが有料のツアーでもらう事ができる。

まとめ

ここ数年の飲みやすいHazy IPAのブームは理解できる反面、やはり West Coast IPA 特有のダンクさは癖になる。その中でもトップクラスの Pliny the Younger はドラフトが旨い!並ぶのに時間はかかるものの、イベントと割り切って椅子を持ち込んで楽しみながら待つのがおすすめ。Santa Rosa はいわゆるブリュワリーという雰囲気と本店の歴史が感じられ、Windsor の方は大きくお土産等も充実している。どちらで飲んでも楽しめる!
今年はニュースを見ていると、2時間-3時間程で飲めているそうなのでやはり SFBW とずれた事による良い影響があった様子。

過去数年の経験を踏まえて、来年に向けた Pliny the Younger 攻略

今年の経験を踏まえて2022年4月時点での来年に向けた攻略を考えてみた。

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