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High Expectation 期待は高く持て

今年最後の学校行事、小学部のホリデーコンサートを無事に終えることが出来た。
あえて、「無事に」というのは、この時期の学校行事は、インフルエンザなどの流行性の病気にタイミング悪く当たると最悪、行事が出来なくなることがあるからだ。

手洗いうがいをしっかりやりましょう、と言い続けたところで、ウィルスの感染自体をシャットアウトしようとすれば、休校にするしかない。
要は、予定通りの行事開催には、特に冬季の場合、運も手伝うのだ。

この日のために、練習を積み重ねてきた子ども達の気持ちを考えれば、我々はもう祈ることしかできない。

結果、一人だけ運悪く参加が叶わなかった生徒がいたが、それ以外は全員出席できたのは運に恵まれたとしか言えない。神様仏様ありがとうございます。

小学部の今年のホリデーコンサートに向けては、ひとつ大きな挑戦があった。パフォーミングアートへの取り組みだ。
パフォーミングアート、そしてスポーツ、これからは、私がこの4月から幼稚園部の園長と小学部の校長職を兼務するようになり、さらに充実させたいと思ってきたことだ。

演劇、ダンス、ミュージカルなどを指すパフォーミングアートは、日本の一般的な学校教育においてはまだあまり馴染みがない。
あえていえば、ダンスが平成20年から中学において必修科目になったというのはあるらしいが、いちいち必修だとか、科目だとか聞くと、それだけで楽しさが半減する気がする。

例えば今回うちの高学年が取り組んだミュージカルなども、ある程度のところまで成果を期待して、練習をしようとすれば、それなりに時間とエネルギーを注ぎ込まないといけない。

「たどり着きたい到達点」のようなものよりも、「そのために割ける時間」を優先してしまうと、楽しさや達成感も半減してしまう恐れがある。
このような活動は、「達成感と子どもの成長」ありきで、先生達も覚悟を決めて思い切りストレッチする(時間を拡大する)必要があるというのが私の考えだ。

とは言え、うちはダンススクールでも劇団四季でもないので、他にもやるべきことは山ほどあるし、そのやりくりは現場の先生達にかかっている。
特に今回は初めてのことであったし、何しろ校長の私が頭の中で描いているイメージを把握することさえ簡単でないのに、相当迷いもあったであろうが、そこはうちの職員の潔いところで、いざやるとなったら、担当の音楽の先生を中心にスケジューリングを行い、最大限の時間を確保して取り組んでくれた。

コンサート当日、リハーサルを見ながら私の心は、子ども達の成長を感じる喜びと、関わった先生や専門家の方々への感謝で溢れた。
と同時に「やっぱりやらせれば出来るのだ」とそれを確信した。

リハーサルの様子 約100名の生徒達のフィナーレ

今回、題材に選んだ「マチルダ」というミュージカルは、以前、海外で私が観たことがあり、それに出ていた小学生くらいの子ども達をみて、「子どもでもこんなに出来るんだ」と、とても驚き、感激して、その頃から、いつかチャンスがあれば自分の学校でもやってみたいと、そういう妄想を持ち続けていたので、今回音楽の先生にそれをお願いしてみた。

教育実践の中に「High Expectation」という言葉がある。要は、「高く期待を持つ」という意味で、これは、指導者が生徒に対して、高い期待感、つまり、「まだまだやれるはずだ」そう思いながら指導するのと、「どうせこれは難しいであろう」と思いながら指導するのでは、同じ集団を教えても結果が異なるという、実証研究データがいくつもあることからきている。

もちろん、「なんでも出来る」という言葉をそのまま理解すれば、そんなわけにはいかないが、生徒達をリードする側が、大人が、子ども達のポテンシャルを決して低く見積もってはならないというマインドセットの話である。

そして私の中では今回、それは十分に証明されたと考えている。
本当に限られた時間の中で、教師も、親も、期待していた以上のものを見せてくれた。
しかし、それは先生達が、子どもの可能性を信じ続けたからであり、先生達も一緒に取り組む姿勢を生徒達に見せたからだ。

またもや、「褒め足りない」、うちの生徒と教師達の話になった。

そして改めて、この「High Expectation」という考え方、教師も生徒も一緒になって、やったことがないことへ挑戦すること(やみくもに同じことや、やったことがあることを繰り返すことばかりではなく)、学校としての「個性」を持つこと、そういうことに気づきを与えてくれた今年最後の行事であったと思う。

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